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負のエネルギーとは
水素モデルのシュレディンガー方程式をとき,電子のエネルギー準位を求めると,そのエネルギーは負となります. 一方で,Dirac方程式で負のエネルギー状にあたるものは反粒子であるという説明を受けました. 水素の電子は反粒子でないのになぜ負のエネルギーなのでしょうか. もしくは水素の電子は無限遠でのエネルギー状態を0としていて,それに比べて安定だから負のエネルギーということでしょうか. そうだとすると反粒子の負のエネルギーとは何を基準としたものなのでしょうか. よくわからなくなっています.
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- doc_somday
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#1のお答え通り、量子論を特殊相対論と統一すると、Dirac方程式が生まれます。 これが「場の量子論」です。 ディラックの海が用いられなくなったのは以下の理由。 ディラックの海が必要だったのは電子の対生成の説明であり、ある閾値以上のエネルギーを持つ光子 を物質(説明が面倒だから均一な非金属と云う事にしよう)に照射すると電子と空孔が生じ、陽電子 (ポジトロン)が生ずる。 たしか照射エネルギーが知られているとき、生成する電子のエネルギーは不連続になるが、 これを説明したのがアインシュタインで、「奇跡の年」の三本の報文の一つだ。 これが量子論の基礎の一つだが、アインシュタインは「こんなの報告しなきゃ良かった」と一生悔やんだ 話しは有名だ。 さて、エネルギーを変えていくと陽子が跳び出してくる、これも対生成だ、だがディラックの海で 下の方に詰まって居るのは電子だとしたのに、陽子と反陽子が出て来てしまう、だからディラックの海 は「歴史的遺産」という「納屋」に放り込まれてしまった。 #1のお答えにも触れられているが、マイナスのエネルギーを解決したのが、朝永先生とファインマン 先生の「繰り込み理論」で無限大から無限大を引くというとんでもない「解決法」だった。 #1のお答えの冒頭に誤りがある、この方法は重力には使えない、だから物理学はのたうち回っている これを解決するのが「最終理論」だが、非常に筋が悪い、一体どうなることやら。
>もしくは水素の電子は無限遠でのエネルギー状態を0としていて,それに比べて安定だから負のエネルギーということでしょうか. その通りです。電磁気力や重力でもポテンシャルエネルギーは無限遠を0と置くのと同じことです。この場合、0より大きいという状態が存在しません。 >一方で,Dirac方程式で負のエネルギー状にあたるものは反粒子であるという説明を受けました. どうも不正確な説明を目にされたようです。シュレディンガー方程式を特殊相対論で書き直してDirac方程式が出てきたわけですが、素粒子自体のエネルギーが0を挟んで正負どちらにもエネルギーがあり得るような解になってしまうのです。 そのため、Dirac方程式に単純に従う宇宙があるとすると、いくらでもエネルギーが下がっていく底なし沼になり、物質が安定して存在するといったことになりません。もちろん、それは現実世界とは全く異なります。 しかし、Dirac方程式が示すエネルギーが負に落ち込むことを、数学的に排除することはできないようだということも分かってきました。そこでディラックが考えたのがディラックの海(空孔理論)です。真空には負のエネルギーの素粒子(電子についてなら、負のエネルギーの電子)で満たされているというアイデアです。ただし、現実世界からは直接は観測はできないような状態になっています。 もう負のエネルギーで満ちているから、新たに負のエネルギーになれる素粒子がない、ということになります。さらに、負のエネルギーの素粒子に素粒子1個分の隙間が現れると、それは現実世界では反粒子として観測されるということも出てきました。電子に対しては陽電子ですね(ディラックは最初、陽子と考えたが、実は電子の反粒子、陽電子だった)。 つまり、Dirac方程式で負のエネルギーにあたるものが『無い』場所が反粒子であるわけです。反粒子は負のエネルギーではなく、正のエネルギーとなります。 P.S. 空孔理論は、その後ファインマンなどにより、そう考えなくてもよいという理論展開があり、今ではディラックの海は存在しないという解釈が主流になっているようです。
お礼
回答ありがとうございます. 参考 http://okwave.jp/qa/q8834587.html