まず正確な定義など存在しません。
現在、実際にどのような使用がされているのかについて、下記の文献によると「関西」を冠する事業所数からいくと(1)京阪神を指すというのが最有力ですが(2)京滋阪神+岡山+香川まで(3)三重を含む近畿地方+福井県若狭地方+四国・中国地方まで(4)富山・岐阜・愛知~九州までと段階的に広い範囲を覆うとする考え方もできるようです。また、関西名を使用する支社・支店・支部などが管轄する範囲についてもアンケート調査を実施しており、その範囲は(1)京滋阪神奈和が最有力(2)+四国・岡山・広島・鳥取・島根(3)+山口(4)富山・岐阜・愛知~九州とこれも段階的に広範囲を示す可能性が指摘されています。
従って、最大で富山・岐阜・愛知以西の「関西=西日本」説が考えられ、小さくは京都(京都市を含む南山城)・大阪・兵庫(阪神地方)の「関西=京阪神」説が成り立つのではないでしょうか。
もちろん語源は近江逢坂関あるいは三関より西の範囲を指すことから来ていますので元来は西日本全体を指したと思われます。文化的先進地域であり中央であった京阪神からみて関の東を漠然と指した「関東」という語が先に成立し、鎌倉・江戸成立以降に関東から見た語として「関東」に対応する地名として「関西」が生まれたものと思われます。従って、東からの視点で関西と呼ぶときたいていの場合は上方すなわち京阪地方を指したものがほとんどだと思います。
京都大学近畿圏総合研究会編『近畿圏~その人文・社会科学的研究~』1969,鹿島研究所出版会 の中で歴史地理学者足利健亮氏が「関西の区域-その変遷と現状」という論文を書いておられます。恐らく、学術的参考文献はこれだけだと思います。
お礼
そうなんですか。これだけのことなのにいろんな説や歴史があってとても興味深いです。本当にありがとうございます。