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粒子集団と固有状態
- 磁場勾配の中を銀原子のビームを通すと、スクリーンに二つのドットが現れるというシュテルンゲルラッハの歴史的な実験があります。
- 電子スピンの状態がSz=±1/2しか取り得ないことの説明に引き合いに出されますが、スピンはSz=±1/2の状態しか取り得ないことはなく、勝手な方向を向いてラーモア歳差運動することも確かです。
- シュテルンゲルラッハの実験の解釈としては、「粒子集団の中の粒子は固有状態に居る確率が非常に高い」ということになるのでしょうか?銀の原子ビームは粒子密度が小さいため、孤立原子でも固有状態に居る確率が高いと考えられます。
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#1のKENZOUです。 >スピノールでt(1,0), t(0,1)と、|↑>と|↓>を表現した場合でも、t(1,1)~|↑>+|↓>はSxの固有状態なので横を向いていると考えるのではありませんか? う~ん、と、スピン角運動量演算子を2行2列の行列表示で書くと。。。としたのですが、ここではうまくかけないので#1で紹介したpdfファイルの5ページ(15)式をご覧になってください。cuprateさんの表記法による|↑>+|↓>は仰っているSxの固有状態ではなく、x成分のスピン角運動量演算子の行列表示ではないでしょうか。 スピン角運動量演算子のx、y、z各成分は互いに可換ではない(exa:[Sz、Sx]≠0)・・・)ので、例えばSzとSxの同時固有値は存在しませんね(*)。つまりSzを測定すればSxは不確定性の原理より値は不確定となります。今、量子化軸(外部磁場の方向)を仮にz軸としますと、Szを測定した場合、Sx,Syは”解らない”ということになります。このあたりの事情は、書かれているように >この状態を「観測」すると、波束の収縮が起こり、|↑>か|↓>のいずれかとして観測されるということなのでしょうか ですね。この|↑>と|↓>の出現確率は一方向に偏りなしの1/2となります。 (*)S^2とSz,Sx,Syはそれぞれの組合せで同時固有値を持ちますね。この辺は軌道角運動量演算子の話と同じです。
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- KENZOU
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ご承知のように量力学で”確か”というのはオブザーバブルの期待値(固有値)を意味しますね。 >勝手な方向を向いてラーモア歳差運動することも 確かです ラーモア才差運動はスピンを古典的なアナロジー(電子の自転により磁気能率)描像で捉えた場合の議論で、磁場の周り電子の自転軸が才差運動する。これはこれで結構いろんな現象を説明するのに役立つ(EPRやNMR等の磁気共鳴等)ので、決して文句をいう筋合いのものではないのですが(笑い)、スピンは数学的にはスピノールというもので記述されることになります。余談がすぎましたが、スピンは観測してはじめてその値がわかるのであって、観測していないときの状態を古典論のように議論するのは量子力学では意味がない、ということになるのではないでしょうか。スピンについては朝永振一郎博士の名著「スピンはめぐる」に非常に丁寧に書かれていますので図書館等で一読されることをお勧めします。以上、アドバイスまで。 (P.S)参考URLにはスピンのわかり易い解説が載っています。また、ココ↓ http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/CoffeeBreak.html にはスピノールについての解説が載っていますので、気が向けば覗いてみてください。
お礼
ありがとうございます。 スピノールでt(1,0), t(0,1)と、|↑>と|↓>を表現した場合でも、t(1,1)~|↑>+|↓>はSxの固有状態なので横を向いていると考えるのではありませんか? この状態を「観測」すると、波束の収縮が起こり、|↑>か|↓>のいずれかとして観測されるということなのでしょうか。
お礼
詳しい説明ありがとうございます。KENZOU様の原稿も拝見し、やっと少しわかったような気がしてきました。 |↑>+|↓> の状態を一回観測すると、 (この表記はα+βあるいは、Sz=+1/2と-1/2の状態の重ね合わせという意味です) 必ず、観測するためのハミルトニアンの固有状態である、|↑>の|↓>のどちらかが見えるわけですね。 可換でない演算子の成分が観測できないことはわかっていた「つもり」だったのですが、全然わかっていなかったことも判明いたしました、、、(いつも集団平均ばっかり見ているもので、、、言訳)。