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シュテルン―ゲルラッハの実験について
- シュテルン―ゲルラッハの実験において、原子線は不均一磁場に通すと複数に別れて進むことが観測されました。
- 教科書には中性の原子は電荷は0で、軌道角運動量による磁気モーメントは生じないと書かれています。
- しかし、水素原子のような単純な原子において、軌道運動だけによる電子と陽子の磁気モーメントの比は約千倍であるため、教科書の記述とは異なります。
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磁場Bのかかった空間を、速度vで運動する電荷qの粒子は、ローレンツ力Fを受けます。数式で表せば、 F=qv×B (F,v,Bはベクトル、qはスカラー、×は外積) です。従って、粒子は磁場によって運動方向を曲げられます。しかし、シュテルン・ゲルラッハの実験では、銀原子の電荷は0ですから、銀原子の運動方向は曲げられません。 このことを、教科書は「電荷0の原子の軌道運動は、磁気モーメントを生じない」と言っているのです。 s軌道の電子の軌道角運動量量子数lは0です。よって、s軌道の電子の軌道運動による磁気モーメントは0です。しかし、電子の軌道は、s軌道ばかりではありません。s軌道以外の軌道にある電子は、軌道角運動量量子数lを持ちます。つまり、s軌道以外の軌道にある電子は、軌道運動による磁気モーメントを持っています。一般に、原子全体の磁気モーメントは、原子核のスピンと、電子のスピンと軌道運動それぞれの磁気モーメントの総和になっています。 cannon333さんの磁気モーメントの計算はちょっとよく分かりませんが、原子の磁気モーメントは、量子力学によって計算できるものです。
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- Mell-Lily
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その教科書の内容の前後の部分まで、もう少し詳しく書いて頂いた方が分かり易いと思います。 陽子と電子の磁気モーメントは、どのように導かれたのでしょうか? 水素原子の場合、s軌道(全角運動量量子数l=0)なら、電子の軌道角運動量は0です。
補足
説明不足ですみません。 ○教科書には「銀原子の原子線を不均一磁場に通すと2つに別れて進むという シュテルン・ゲルラッハの実験は、銀原子が+と-の2つの方向の磁気モーメントを 持つものよりなることを示している。中性の原子であるから電荷は0で、 軌道運動による磁気モーメントは生じない。従って磁気モーメントは原子が持つ スピンから生じるものであるが、銀原子の基底状態ではスピンはs電子のスピンに よるものだけであるということがわかった。つまり1個の電子と同様に磁気モーメントは z方向に+μ_B(ボーア磁子)と-μ_Bをもつ」と記述されております。 ○陽子と電子の軌道角運動量による磁気モーメントですが、ここでは完全な円運動として 考えています。回転運動の中心からの距離をr、質量をm、角振動数をω、速さをv、 軌道角運動量の大きさをLとして、電子の各量に"'"をつけます。まず、クーロンの法則から mrω^2=m'r'ω'^2 とでき、円運動なのでω=ω'とできます。従って、 mr=m'r' (*) となります。そして、L=rmvより L/L'=v/v'=(r/ω)/(r'/ω')=r/r'となり、(*)より =m'/mとできます。 陽子の質量は電子の約1000倍ですのでL'~1000Lとなり、磁気モーメントは角運動量に比例するので μ_e~1000μ_pとなるので、結局水素原子の角運動量による磁気モーメントはμ_eとなりなり、 原子の電荷は0であるにもかかわらず、磁気モーメントは0にはならない、と考えたのです。 ○教科書の銀原子の場合は、Mell-Lilyさんの仰る通り、軌道が基底状態なので軌道角運動量による 磁気モーメントは考えなくてもいいのですが、一般に、電荷0の原子で基底状態ではないときに 軌道角運動量は絡んでくるのでしょうか? 教科書の「電荷が0で、軌道角運動量による磁気モーメントは生じない」 といわれると、からんでこないきがするんです。 補足が長くなりましたが、よろしくお願い致します。
お礼
大変迅速なレスありがとうございます。 やってしまいました!読み間違えました・・・・ 「電荷0の原子は軌道運動による磁気モーメントを生じない」で、 軌道運動を軌道角運動量と勘違いしてました。 そうですね。電荷0の原子は仰るとおりローレンツ力をうけないので 電子・原子核の軌道角運動量とスピンだけが原子ビームの軌跡に効いてくるわけですね。 (補足;解答の補足の”~”は”~”のあやまりです) なにか、Mell-Lilyさんの貴重なお時間を裂いてしまったようで申し訳ありません。 ありがとうございましたm(_ _)m