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核分裂誘起能力と中性子の速度について

高速中性子より、中低速中性子の方が他の原子核を核分裂させる能力が大きいそうですが、それはなぜですか? 単純に運動量のより大きい中性子の方が、ぶつかった時の衝撃が大きくなるので、核分裂を誘発する上では、より有利なのではないかと思うのですが、なぜそうではないのでしょう?

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  • Tann3
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回答No.3

 No.2です。補足に書かれたことについて: >1個のウランの核分裂で生じる2個の中性子は、いずれも高速中性子だと思われますが、なぜそれで核分裂の連鎖が起きて核爆弾が爆発できるのでしょうか?  1回の核分裂で生じる中性子は2個で決まりではなく、どのように分裂するか、分裂によってできた原子核がどのようなものかによって、平均で2~3個です。  ウランも「高速中性子」では核分裂を起こさない訳ではなく、あくまで「核分裂を起こす確率が小さい」というだけです。従って、光速中性子であっても多数存在すれば核分裂連鎖反応が起こります。(この「核分裂を起こす確率」を、「衝突しやすさ」のアナロジーで「核分裂断面積」と呼びます。「吸収されて消滅する確率」も同様に「吸収断面積」と呼びます)  前にも挙げた、核分裂断面積のカーブを見てください。 http://www.jaea.go.jp/04/fugen/compilation/report/honbun/236.htm  また、原子炉の水(その中の水素原子核)は中性子を減速する効果が高いですが、ウランの中でもウラン原子核に衝突して中性子は減速しますので、高速中性子しか存在しないというわけではありません。  要するに、1回の核分裂で生じる中性子のうち、吸収・外部に漏れ出しなどで損失せずに、次の核分裂に使われるものが1個を超えていれば、それが熱中性子だろうが高速中性子だろうが、核分裂連鎖反応が起こるということです。 >ウラン型原子爆弾には、減速剤も装着されているのでしょうか?  上に書いたように、減速材がなくとも核分裂連鎖反応が起こればよいので、原爆には特別な減速材はないと思います。 >プルトニウム原子核が、ウランより高速中性子を捕獲しやすいのは、なぜですか?  それは原子核内の状態などが関係するのでしょう。私にも説明はできません。  どの程度か、というのは、上記の核分裂断面積にカーブを見てください。  ただし、単純に「プルトニウムは高速中性子で核分裂し、熱中性子では核分裂しない」ということではないので、注意してください。  たとえば、高速中性子、熱中性子に対する核分裂断面積のウラン/プルトニウムの比較は、こんなサイトを参考にしてください。プルトニウムも熱中性子による核分裂断面積は大きいのです。 http://amamiya-lab.net/essei/kikikanri/genpatu.html  「もんじゅ」などの高速増殖炉で高速中性子を利用するのは、単に「核分裂」を起こしやすいからということではなく、「プルトニウムの核分裂を起こしながら、燃えないウラン238をプルトニウム239に転換する」という目的があるからです。  普通の軽水炉(現在日本で運転している原子炉~現実には止まっていますが)でも、発生する熱量の30%はプルトニウムの核分裂といわれています。(核分裂するウラン235を約5%程度に濃縮したウラン燃料に含まれる、95%の燃えないウラン238が中性子を吸収してできたプルトニウム239の核分裂)  繰り返しますが、「ウランは熱中性子でしか核分裂せず、プルトニウムは高速中性子でしか核分裂しない」というのは全くの間違いいですので、せっかく興味を持たれたのですから(というより専門的に学問している?)、この際正しく、定量的なものも含めて理解するようにしてくださいね。

torukimuOK
質問者

お礼

詳しい解説、ありがとうございました。

その他の回答 (2)

  • Tann3
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回答No.2

 ウランを核分裂させるには、エネルギーの小さい中性子の方が確率が高くなります。エネルギーが小さい、すなわち気体分子のようにフラフラと「熱運動」している状態のアナロジーで「熱中性子」と呼ばれます。「熱を持っている=エネルギーが高い」ということではないことは、ご存じのようですね。  これはウランの核分裂が、「中性子が衝突する衝撃」で起こるのではなく、ウランの原子核がいったん中性子を捕獲して「励起した状態」の原子核になり、それが分裂するというという過程を経るからです。中性子が原子核内に捕獲されるには、エネルギーが高くて高速で通過するより、フラフラと漂っている方が確率が高そうだと想像できますよね。  これは「ウラン」の場合であって、同じ核分裂でも「プルトニウム」の場合は、中性子のエネルギーが高い「高速中性子」でも核分裂します。核分裂のメカニズムはウランとほぼ同じで、遅い中性子ほど核分裂を起こしやすいのですが、ウランと違って特定の中性子エネルギーでも核分裂を起こしやすくなるという、一種の「共鳴」現象があるというイメージです。 http://www.jaea.go.jp/04/fugen/compilation/report/honbun/236.htm  なお、蛇足ながら、中性子は原子核外に安定して存在することができず、半減期約15分で「陽子+電子」になります。

torukimuOK
質問者

お礼

核分裂の連鎖反応は、中性子を捕獲したウラン原子核が励起状態になっていることが一因なのですね。 中性子の移動速度と、捕獲されやすさはの関係は、あくまで確率の問題なのですね。

torukimuOK
質問者

補足

1個のウランの核分裂で生じる2個の中性子は、いずれも高速中性子だと思われますが、なぜそれで核分裂の連鎖が起きて核爆弾が爆発できるのでしょうか? 原発では、軽水などで減速することで核分裂しやすくしているようですね。 ウラン型原子爆弾には、減速剤も装着されているのでしょうか? プルトニウム原子核が、ウランより高速中性子を捕獲しやすいのは、なぜですか?

回答No.1

ちゃんと調べてね http://www.geocities.jp/atom2314/kisogenri/tyusesihannou.html 「高速中性子 熱中性子」で検索すると出てくるよ

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