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原子力発電で核分裂が始まるきっかけ

原子力発電では、制御棒で中性子の数を制御して 核分裂を抑えてると書いてありましたが 最初の中性子はどこから送りこむのでしょうか? 専用の中性子発生装置があるのでしょうか? あと、燃料棒だけでは自然に核分裂は起こらないのですか? 宜しくお願いします

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  • kagakusuki
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回答No.2

 原子炉の内部には、起動用中性子源(イニシエーター)が設置されていて、これが放出する中性子を使って、原子炉を起動させます。  主に使用されている起動用中性子源には、大別して2種類あります。  1つは、ベリリウムという金属とα線を出す放射性物質を組み合わせたものです。  α線とは高い運動エネルギーを持ったヘリウム4(He4)の原子核の事です。  元素の種類は、原子核の中にある陽子の数によって決まりますが、同じ元素の原子であっても、原子核の中にある中性子の数が異なるものがあり、これを同位元素(アイソトープ)と言います。  例えば、炭素と言う元素は、原子核の中に陽子が6個と中性子が6個ある炭素12(C12)と言うアイソトープに、陽子が6個と中性子が7個ある炭素13(C13)と言うアイソトープが、1.07%混ざっています。  天然のベリリウムは、陽子が4個と中性子が5個あるベリリウム9(Be9)が100%です。  Be9の原子核がα線を吸収すると、陽子が6個と中性子が7個あるC13の原子核が出来る様に思えますが、C13よりもC12の方がエネルギー的に安定するため、C12の原子核が生じて、1個余った中性子が放出されます。  この中性子が原子炉の起動に使われるわけです。  尚、ベリリウムと組み合わされるα線を出す放射性物質には、アメリシウム(Am241とAm243)やプルトニウム239、ラジウムなど色々あります。  もう1つは、カルホルニウム252(Cf252)というアイソトープで、Cf252の原子核は主にα線を出してキュリウム248に変化しますが、中には3.1%位の割合で、中性子を吸収しなくとも勝手に核分裂してしまう原子核があります。  この中性子の吸収をせずに起きる核分裂反応の事を自発性核分裂反応と言い、反応の際にはウランの核分裂の場合と同様に、複数の中性子(Cf252の場合は平均3.8個)が放出されます。  Cf252はこの自発性核分裂が起きる確率が比較的大きく、一回あたりの自発性核分裂反応で放出される中性子の数も多いので、ベリリウムを使ったものよりも強力な中性子源となるため、高価であるにもかかわらず好んで使われています。  天然のウランには、U238が99.27%、U235が0.72%、U234が0.0055%含まれて居ます。  この内、連鎖して核分裂反応を起こすのは、U235だけですから、原子炉の燃料に使われるウランは、U235を濃縮して2~5%位に高めて、連鎖核分裂反応を継続させやすくしています。  U235を100%にしないのは、濃縮率を上げれば上げるほど費用が増加するためと、あまり連鎖反応を起こしやすくなり過ぎると、核反応が暴走しやすくなったり、臨界事故を起こさずに一箇所に集めて置ける量が少なくなって、少量ずつしか輸送や貯蔵が出来なくなったり、核兵器への転用が容易になるので危険である、など色々な理由があります。  ですから原子炉の燃料に使われるウランには、U238が含まれていますが、U238は極小さな確率ながら自発性核分裂を起こして、中性子を放出します。  又、原子炉の燃料棒を交換する時には、一度に全部交換するのではなく、燃焼が進んで内部の核分裂を起こす物質の割合が少なくなったものだけを交換します。  原子炉内でU238が中性子を吸収すると、プルトニウム239(Pu239)になります。  このPu239は中性子を吸収すると、普通は核分裂を起こしますが、まれに核分裂を起こさずにプルトニウム240(Pu240)に変化する事があります。  このPu240もまた自発性核分裂を起こして、中性子を放出します。  但し、U238やPu240が核分裂を起こす確率は小さいため、これを起動用中性子源の代わりに使って、原子炉を起動させようとすると、お話にならないくらい時間が掛かってしまい、実用にはならないらしいです。

haru-boo
質問者

お礼

詳しい説明、ありがとうございます 疑問が一気に解決しました!

その他の回答 (1)

  • ennoozuno
  • ベストアンサー率18% (27/149)
回答No.1

>最初の中性子はどこから送りこむのでしょうか? 核燃料が分裂するときに勝手に出てきます。 ので、 >専用の中性子発生装置があるのでしょうか? ありません。 >燃料棒だけでは自然に核分裂は起こらないのですか? 連鎖的な核分裂反応は、条件さえ整えてやれば勝手に始まります。 単なる核分裂反応は、黙っていても一定の確率で発生します。 原子炉では、単体の燃料棒では連鎖的な核分裂反応は起きませんが、炉心にある一定量の燃料棒を挿入すると勝手に連鎖的な核分裂反応が始まります。この時の状態を「臨界に達した」と言います。 なお、炉心部での核分裂反応を制御する役割は、燃料棒だけではなく冷却水も担っています。

haru-boo
質問者

お礼

ありがとうございました

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