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宅地建物取引業法と売買の成立時期
宅地建物取引業法によれば、「契約より前に(早いぶんにはどんなに早くても構いません)取引主任者が「重要事項説明」を行い(説明後に重要事項説明書を交付)、それから売主と買主がそれぞれ売買契約書に署名押印したとき、初めて売買契約が成立したものと」みなされるという説明が不動産取引を解説したサイトにありました。 根拠条文を教えてください。
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ご引用の文章もかなり簡略化して書かれているようですね。専門的な文章でないので仕方がないのでしょうが,ネット上の情報を読んでいろいろ思いこみをしてしまう人がいて,困ってしまいます。 愚痴はこのくらいにして,根拠条文はありません。強いてあげれば民法92条でしょうか。 根拠は不動産取引における慣行となります。 たとえば 「相当高額の土地の売買にあっては、……売買契約書を作成し、手付金もしくは内金を授受するのは、相当定着した慣行であることは顕著な事実である。……契約当事者が慣行に従うものと認められるかぎり、右のように売買契約書を作成し、内金を授受することは、売買契約の成立要件をなすと考えるのが相当である。……慣行のように売買契約書を作成し、この時点で内金を授受することに合意していたのであるから、売買契約書を作成し、内金が授受されない以上売買契約は不成立と言うべきである」(東京高判昭和50年6月30日判時790ー63) これは結構極端な裁判例といえると思いますが,ご指摘の文章の根拠となりうる裁判例でしょう。 このほかにも, 「不動産売買の交渉過程においては、当事者間で多数回の交渉が積み重ねられ、その間に代金額等の基本条件を中心に細目にわたる様々な条件が次第に煮詰められ、売買の基本条件の概略について合意に達した段階で、確認のために当事者双方がそれぞれ買付証明書と売渡承諾書を作成して取り交わしたうえ、さらに交渉を重ね、細目にわたる具体的な条件総てについて合意に達したところで最終的に正式な売買契約書の作成に至るのが通例である、……通常、右売買契約書の作成に至るまでは、今なお当事者双方の確定的な意思表示が留保されており、売買契約は成立するに至っていない」(東京地判昭和63年2月29日判タ675ー174) 一般的に不動産取引において「買付証明書」と「売渡証明書」を交換したとしても当事者の意思表示が最終的・確定的になされていなければ契約の成立を否定している実務の取り扱いです。 そして当事者の意思表示の最終性,確定性を示す客観的メルクマールとして,契約書の調印を重視する傾向があります。 したがって,契約書の調印によって売買契約が成立するという表現もあながち間違っているとはいえませんが,例外もあることになります。 >>民法の規定では契約成立の時期は申込と承諾という意思表示が合致したときですよね。 調印前の合意を講学上「予備的合意」と呼んでいます。予備的な合意ですから,契約は成立しないというロジックでしょう なお,ご指摘の通り,所有権移転の時期と契約成立の時期は必ずしも一致しているわけではありません。
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>民法の規定では契約成立の時期は申込と承諾という意思表示が合致したときですよね。 はい。 >契約成立の時期を意思表示の合致から契約書への署名捺印に変更している根拠は何でしょうか? 別に変更しているわけではないと思いますよ。「申込と承諾という意思表示」として契約書に署名捺印していると考えるだけでしょう。 もし、それ以前(ただし重要事項説明の前であれば後で契約無効の主張が可能だからその後)でも何らかの方法で明確に契約締結の意志を表明できればそこで成立していると思います。 ただ口頭でというのであれば後でいつの時期なのか不明確になるから、契約書の署名捺印の時点までは、口頭での発言は契約成立とはみなさないようにしておきましょうというだけだと思います。 もし、一方が口頭での発言を捉えて契約が成立していると主張しても、証明は出来ませんよね。 だから民法上の契約成立の意思表示自体は必ずしも契約書署名捺印でなくてもよいけど、その時点としましょうと当事者間で合意しているだけだと思います。契約には民法にあるとおり「両者の合意」ですから。 当事者間で契約書署名捺印ではなく、他の手段にしましょうと合意すれば他の手段でも有効ではないかと思います。少なくとも、契約書への署名捺印によらなけければ契約が成立していないとする根拠法はないと思います。 当事者の一人でも契約書署名捺印前は「契約成立していない」と考えているのであれば、そもそも民法で言う契約も成立していませんからね。
- zephyr-breeze
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>契約成立の時期を意思表示の合致から契約書への署名捺印に変更している根拠 ご指摘のとおり、民法上は売買は諾成契約であり意思表示のみで契約が成立しますが、不動産のように高額な物件が売主・買主の意思表示のみで所有権が移転するとした場合、後日言った言わないで紛糾するケースが多発する事態が想定されるため、特約で「書面契約への記名捺印により所有権が移転する」旨定めています(宅建業の元締である(財)不動産適性取引推進機構による不動産売買契約の雛型では他にも特約を設けて民法上の原則を修正しているケースがあります。特定物の危険負担につき民法534条の債権者主義を修正、債務者主義としている点などがその好例です)。 現実の取引では所有権移転や借入が絡む場合の抵当権抹消・設定など書面を要する手続が多く、これらとともに文書で契約意思を確認し、一括して手続を完了させることは売主・買主双方の立場を考慮しても理に適っています。 ご参考になれば幸いです。
厳密に言うと、契約の時期は売買契約書に署名捺印したときです。 でもその契約が重要事項説明がなされる前に行ったものだと、宅地建物取引業法の35条に違反するので、結果的に契約が無効となるという意味で書かれているのだと思います。 第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
お礼
ご回答ありがとうございます。 民法の規定では契約成立の時期は申込と承諾という意思表示が合致したときですよね。契約成立の時期を意思表示の合致から契約書への署名捺印に変更している根拠は何でしょうか?その部分が理解できないところです。
- lion30
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こんにちは。ご質問の条文は以下の通りだと思います。 宅建業法35条1項に取引業者は取引の相手側に対し、その取引についての契約が成立する前に取引主任者をして 対象不動産の重要事項を書面に記載してこれを交付することにより説明しなければならないとあります。 また37条1項2項に取引業者は売買等の契約を当事者間等で締結したときは、成立後遅滞なく一定の契約内容を記載した書面を当事者に交付しなければならない。とされています。 契約の成立時期に関する条文は業法にはありあせんが、 当然上記の行為が完了した(双方記名押印した契約書が交付され金員の授受がなされた)時点が契約が成立したと考えられます。
お礼
ご回答ありがとうございます。 参考になりました。 しかし、教えて頂いた条文での規定がなぜ、合意をもって契約成立としている民法の規定を、契約書への署名捺印に変更するのかがまだよくわかりません。取引主任者による説明後に合意に至ったのであれば、契約書への署名捺印がなくても契約成立になるようにも思えるからです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 宅地建物取引業法ではなくて、特約で契約成立の時期を変更しているということでしょうか? しかし、所有権移転の時期と契約成立の時期は必ずしも一致しているわけではないと思いますし、契約書の特約で契約成立の時期を変更するというのもなんだかへんな話のような気がします。 別な根拠がありそうに思えるのですが……