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ガロアの理論とは一言で言うとどういう意味なのですか
ガロア理論について、何冊もの入門書を読みあさりましたが、中学生にも分かるという本でさえも 結局は何も明確な結論を書いていなかったために、 本質的にガロアのどこが画期的であるのかが全く理解することができません。 多くの本があみだくじのイラストを掲載していましたが、 その程度のことであれば難解な高等数学を持ち出す必要がどこにあるのかも 全く理解できません。 どなたか、ガロア理論を小学生にも理解できるように、 平易な言葉で説明していただけますでしょうか。
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「コンパスの話を例えとして、具体的にご解説をいただけるととてもありがたいと思います。」について 厳密な証明を高校生にも分かるように、というのは無理なので、雰囲気だけ書きます。 1 定規とコンパスでの作図とは 定規とコンパスでの作図といったとき、定規とコンパスをどのように使っても良いといことではなく、実は、次のルールがある。 (1) 定規は、与えられた 2 点を通る直線を引くためだけに使う。 (2) コンパスは、与えられた 1 点を中心とし、別に与えられた 2 点間の長さを半径とする円を描くためだけに使う。 (3) 上で描いた直線どうし、円どうし、あるいは直線と円の交点を、与えられた点に追加できる。 2 加減乗除と平方根だけ 平面上に与えられた点の座標を複素数で表すことにする。直線どうし、円どうし、あるいは直線と円の交点というのは、座標で表すと、1次方程式または2次方程式の解になる。この解は、係数の加減乗除と平方根で表すことができる。また、この係数自体も、与えられた点の座標の加減乗除と平方根で表すことができる。したがって、定規とコンパスで作図できるのは、元の点を出発点として、加減乗除と平方根を組み合わせて計算できる座標を持つ点に限られる。 (逆に、加減乗除と平方根を組み合わせて計算できる座標を持つ点は、必ず定規とコンパスで作図できるのだが、それは省略。) 3 1, 0, a = cos30度+isin30度, b = cos10度+isin10度 角を 3 等分する方法がないことを言うためには、 3 等分できない角の例をひとつ示せば十分。 30度が 3 等分できないことを示すことにする。さらに、そのためには、 10 度が作図できないことを言えば十分。30度は、複素平面上の原点0を頂点として、1を座標に持つ点とcos30度+isin30度を座標に持つ点の計3個の点で表される。以下、座標とその座標上の点を同一視する。また、cos30度+isin30度 = a と置く。そして、10 度を表す点は、cos10度+isin10度。これを b と置く。 4 b が作図できないこと b が作図できないことを言うためには、1, 0, a を出発点として、 b が加減乗除と平方根の組み合わせて計算できないことを言えばよい。まず、1, 0, a を出発点として、加減乗除の組み合わせで計算できる数全体を K と表すことにする。b は、 3 次方程式 X^3 = a の根である。また、b は、K の数を係数とする 1 次方程式や 2 次方程式の根になれないことが分かっている(証明略)。 ここから、ガロア理論及び代数の基礎知識が必要。b を含む最小のガロア拡大を L とする。b が3 次方程式の根だから、 L のガロア群の元の個数は、3 の倍数である。一方、K の数を出発点として、加減乗除と平方根の組み合わせて計算できる数は、K の 2 次拡大を何回か繰り返して得られる体に含まれる。そのガロア群の元の個数は、ある整数 n によって2^n と表される。もし、 b が加減乗除と平方根の組み合わせて計算できたすると、ガロア理論により、2^n が 3 の倍数であることになる。これは矛盾。 ********* 全然別の話で、ANo.2 に若干補足します。ガロア理論の説明の中に「体」という言葉と「群」という言葉が出てきました。誤解を恐れずに大雑把なことを言うと、体というのは、複雑なモノで、群は、それに比べれば単純なモノです。ガロア理論というのは、ある種の体とある種の群が1対1対応することを言っているのですが、これは、(複雑な)体の問題を(単純な)群の問題に置き換えることができる可能性を示しています。ガロア理論が便利な道具だというのは、正にこの点にあります。 同様のテクニックは、数学のいろいろな分野で使われます。たとえば、先だって話題になったポアンカレ予想では、ホモロジー群というのが出てきます。このホモロジー群というのは、(複雑な)幾何学の問題を(単純な)群の問題に置き換える道具です。
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- keiryu
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4次方程式までは、ゴリゴリと足し算引き算と割り算掛け算、それに開平(ルート)を使うとその解を求めることが可能ですよね。 でも5次方程式になると上の方法でがんばって解く努力をしても徒労に終わりました。これって、解はあるんだが、上の方法ではそれを導き出すことは無理じゃない、と思い、解の置換と言う方法でこの難題に向かった人も居ました。ラグランジェという数学者もその一人。 そうしているうちに、この方法でも解にたどり着きませんでした。いいところまで行ったんですが。 で、従来の方法とはまったく別の角度から新しい理論でもって、この難題を最終的に解決したのが「ガロア」、ガロア理論は、5次以上の方程式が加減乗除と開平によって解ける条件を決定したものです。置換(群)の性質を掘り下げ、それらの間にある関係を深く考察し、解ける条件を見つけた。阿弥陀くじも、置換になっていますから、例としてよく持ち出されます。従来の方法との決別が、「画期的」なのです。それ以上に、この理論は、方程式の解ける条件を決定したのみならず、新たな数学の研究分野を創造したことが画期的なことでしょう。 解ける条件とは、NO6の回答者が言っていることですが。 一番分かりやすいガロア入門は、「13歳の娘に語るガロアの数学」「天才ガロアの発想力」かな。でも、これだって結構しんどいと思います。
- kabaokaba
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小学生にもってのは無茶です No.1さんとNo.2さんのおっしゃってることが 同じに見える人はわかってる人だし 違うように見える人は・・・たぶん「ふつー」の人 >その程度のことであれば難解な高等数学を持ち出す必要がどこにあるのかも >全く理解できません。 逆です.「あみだくじ」なんていう単純(に思える)ものが 「方程式の解」なんていう数学の主対象を追いつめる 主要な道具になるというのが画期的なんです. 画期的なんで,それだからこそ あなたと同じように, ガロアの同時代の人は理解できなかったんではないでしょうか あみだくじというのは有限個のものを並び替える操作です. たとえば,5本の縦棒のあみだくじってのは 本質的に120通りあります そしてあみだくじってのは縦棒に 横棒を渡してできてますよね その横棒は「二つのものの入れ替え」です. これはすごく大事なことで 「有限個のものの入れ替えは 二つの入れ替えの組み合わせで表現できる」 となります. 横棒の種類が違っても同じあみだくじになることはありますが, ひとつのあみだくじでは, 横棒の個数は奇数か偶数かが決定されます すなわち,ひとつのあみだくじに横棒を奇数個加えれば かならず違うあみだくじになるのです. じつはあみだくじってのは ものすごく深い数学的構造をもってます. 以下,ものすごい大雑把な話をします 数学的には穴だらけです. このような「あみだくじ」の性質が じつは方程式の解の構造に関係があると喝破しているのが ガロア理論です. これがNo.1さんのいってること. たとえば・・・(x^2-2)(x^2-3)=0という方程式 これの解は,x^2-2=0とx^2-3=0の解ですが x^2-2=0の解は入れ替えてもx^2-2=0の解ですけど x^2-3=0の解√3とx^2-2=0の解√2を入れ替えたら 解にはならないでしょう? 本来四つの解があるけど,自由に入れ替えはできない 2個ずつペアにして,そいつら同士での入れ替えはできる あみだくじでいえば 4本の縦棒だけど, 実際は二つのあみだくじが並んでるだけ 方程式に対して,ある種類の「あみだくじ」を構築すると そのあみだくじが方程式の解の構造を表現するんです. ガロア理論が画期的なのは 方程式の解を探すのではなく・・ 方程式が解けるような世界を作ってしまうということにあると 私は思っています. ある方程式があって,その方程式が解けない!・・・ じゃあ,その方程式の解を仮にAとおいて 今の数の世界に加えてしまえ!「数+A」という世界なら 方程式がとけるでしょ!という考え方. こんなの詐欺みたいですが これがじつは実現できるというのが画期的. 問題なくこういう「拡張世界」が作れて その「拡張世界」でも実は方程式の計算ができるのです. そうすると 方程式の解を次から次へと無差別に追加していけば どんな方程式でも解けるんです. #じつは,追加していった究極の先, #どんな方程式でもかならず解ける世界ってのが #存在することも証明されてます で・・・この「世界の広げ方」ってのが じつはもともとの方程式からつくられる「あみだくじ」の構造と きれいに一致する・・・ってのが No.2さんのいってること. この「異なるものの関係」が実は一致している, いうなれば 「グループAの中の関係」「グループBの中の関係」 という異なったものが,じつは同じ構造をもっているという 形はきわめて重要で,一度同じだとわかれば 簡単なほうを調べれば,もう一方もわかるわけです. こういう構造は数学のあちこちにあるのですが ガロア理論にでてくるこの構造はもっとも綺麗なものです. この意味でもガロア理論は画期的. それで・・・ある方程式が解けるのか?という問題があります. もちろん解けるように世界を広げるっていうんですから 問答無用で解けるんですが・・・解き方に制限をつけます. すなわち,たとえば 加減乗除と「√」だけを使うという縛りをするんです. そーするとですね,たとえば加減乗除と√だけで 方程式が解くって場合には 世界の広げ方に制限がでてきます. そこで, ある方程式が解を加減乗除と√だけでとけるのか? という場合,その方程式を解くための世界の広げ方を考えて その制限を満たさなければ, それは加減乗除と√だけでは解けないことになります. 「加減乗除と√だけで解く」というのが「作図の問題」です ガロア理論を使うと, ここらはちょっとした応用レベルになってしまいます. 「世界の広げ方」を直接調べられない場合, 方程式からできる「あみだくじ」を調べて考えます こっちの方針で考えると「解の公式」の非存在 いわゆる「アーベルの定理」がでてきます.
- ramayana
- ベストアンサー率75% (215/285)
小学生にも理解できるように、ですか。難しいですね。ガロア理論というのは、 「ある種の体の代数拡大において、自己同型群の部分群と中間体の間に自然な1対1対応がある」 ことを主張するものです。代数になじみの薄い人には、呪文のようにしか見えないかもしれません。これがどうしてすごいかというと、大変便利な道具だからです。代数を勉強するときに、使っていることさえ意識させないほど普通に使う空気のような道具、だと言えば、雰囲気が伝わるでしょうか。 あるいは、こう言った方がよいでしょうか。ガロア理論を理解すれば、「定規とコンパスで角を3等分する作図は不可能」とか「5次以上の方程式に解の公式が存在しない」とかいうことが、あたりまえのことと感じられるようになります。
補足
定規とコンパスの話とか、5次元方程式のような実践的な用途をご紹介していただき、とても勉強になりました。 こうした内容は小学生には無理ですが、高校生程度に分かるように、コンパスの話を例えとして、具体的にご解説をいただけるととてもありがたいと思います。 よろしくお願いいたします。
- alice_44
- ベストアンサー率44% (2109/4759)
要するに、多項式の性質は、その根を入れ替える置換群の性質で記述できる ということなんですが… 小学生に解るようにってのは、流石に、説明に使える言葉が足りな過ぎるかと。 低年齢対象や平易さを謳った本が、アミダクジの話と ガロアの伝記で終わってしまうのは、そのためです。たぶん。 腰を据えて代数入門を試みるなら、最近は、一般向け数学書も充実しているし、 方程式の可解性までのとこなら、そう難しい話しでもありませんから、 あまり手軽さを求めないで、内容のあるものを読んでみるのがお勧め。 ↓こんなのは? http://www.nippyo.co.jp/book/1250.html http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320016965 http://www.amazon.co.jp/%E4%BD%93%E3%81%A8%E3%82%AC%E3%83%AD%E3%82%A2%E7%90%86%E8%AB%96-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E6%95%B0%E5%AD%A6%E9%81%B8%E6%9B%B8-%E8%97%A4%E5%B4%8E-%E6%BA%90%E4%BA%8C%E9%83%8E/dp/4000078135
補足
ご回答ありがとうございました。 置換群のような難解な言葉は高校生でも理解できない内容ですので、大学受験生のレベルで理解できるような平易な内容で、もう一度ご説明いただけると助かります。
お礼
明快なご解説をいただき感謝いたします