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反重力は実在する?
粒子と反粒子の間には反重力が働くと言う考え方があります。重力が斥力になるにはどちらかの粒子の質量が負でなければなりません。正質量と負質量の粒子の対は斥力によって自己加速され続けるという負質量のパラドックスが起ります。ポジトロニウムは粒子と反粒子の束縛状態ですが、自己加速されたりはしないと思います(電子-陽電子間の重力が極めて微弱なので、自己加速が観測される前にポジトロニウムが消滅するのかもしれませんが)。また粒子の質量が正、反粒子の質量が負とすると、粒子と反粒子が一致するような粒子は質量が0でなければなりませんが、中性π中間子の質量は0ではありません。私はこれらのことから、粒子-反粒子間に働くのは反重力ではなくて通常の重力だと考える理由がすでにあると思うのですが、なぜ未だに粒子と反粒子の間には反重力が働くと言う考え方があるのでしょうか。
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>しかし下記URLのGuang- Jiong Ni の論文では宇宙の膨張が加速している(かもしれない)ことが、粒子-反粒子間の反重力による可能性が考察されています。 私は、Guang- Jiong Ni という方を知りませんが、 電子アーカイブは審査員がいるわけでもなく、 誰でも好きなことを書いて発表できますから、 過度の信頼をおかれない方がよろしいかと思います。 検索したところ、おそらくおっしゃっている論文は 去年の8月に出た論文のことだと思います。 実際私自身はこの論文の内容を読んで真偽の程を 確かめてはいませんが,少くとも現時点では、 (SPIRESの検索結果から判断するに、) どこかの学術誌にacceptされているものではないようです。 >重力が場の量子論で記述されるとすることに問題はないでしょうか。 >(中略)重力の量子化の直接的な実験的証拠があるでしょうか。 もちろん実験的な証拠はないですが、 重力が何らかの意味で量子化されなければならないと考えるのは自然なことでしょう。 4つの力の内3つがゲージ場の量子論で(完全ではないにせよ)統一的に理解されている中、 重力だけ古典論でよいと考える方がどうかしていると言わざるをえません。 一般相対論における特異点定理も重力場の量子論の必要性を支持する と考えて良いでしょう. 現時点で真の重力場の量子論はないので、 私が前回コメントした理由だけから即 粒子と反粒子間で重力が逆にならないとは言い切れません。 しかし、真の重力場の量子論がもつべき性質といったものはあるわけで、 (もちろん、いろいろ前堤はあるわけですが)、 「スピン2->引力」の性質は 最終的にどんな重力理論が出来るにしても low energyで成り立つ性質だと信じています。 >電磁相互作用の場合は符号の同じ電荷は反発し、符号の異なる電荷は引き付け合うことを説明するのに場の量子論による必要はないと思います。ローレンツ不変性とゲージ不変性を仮定するとMaxwellの理論がほぼ再現できます。そしてMaxwellの理論には符号の同じ電荷は反発し、符号の異なる電荷は引き付け合うということも含まれています。 符合の同じ電荷が反発し、異なる電荷が引きつけ合うことは 古典Maxwell理論でもちろん言えると思います。 反粒子の定義を粒子と電荷が異なるものとして定義するのであればそれでいいですが、 物質場も量子化してそれに基づいて物質と反物質を定義しようとすれば, 場の量子論がもちろん必要になります. その上で、反粒子の電荷が粒子の電荷の逆になると定義できるのか? と考えるべきでしょう. 古典Maxwell理論では、電流は本質的に手で与えるもので、 4元電流ベクトルの保存則以上の性質は議論できません。 荷電粒子が存在すれば、それと電荷が逆の粒子も存在する、 とか、正電荷流があれば負電流もある等の議論は 古典論では出来ないと思います。 同様に考えると,粒子-反粒子間に働く重力を議論するには, 量子論を考えなくてはならないでしょう.
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少くともフェルミオンの電磁相互作用を場の量子論の立場で考えなければ -> 少くともフェルミオンを場の量子論の立場で考えなければ に訂正です。
>しかしこれは重力場の量子論を考えなくてもCPT定理だけで良いのではないでしょうか。 CPTに基づいて粒子、反粒子の間でmが変わらないのはgrothendieckさんの言う通りで、 重力相互作用は古典論で扱えば十分という立場なら、このことから、反重力はないと言ってよいでしょう。 前回のコメントの最後にある、「量子論を考えなくてはならないでしょう」は、 少くともフェルミオンの電磁相互作用を場の量子論の立場で考えなければ (そもそも粒子、反粒子が定義できない)でしょう、という程度の意味です。 とはいっても、粒子、反粒子間の重力相互作用を考慮するとしたら、 重力場も含め全てを一貫して場の量子論の立場で扱い、 gravitonのやり取りを通した重力相互作用を見る、 すなわち、QEDのeAμjμに対応するG hμνTμνの性質を見る、 というのが筋の通った考え方だとは思います。 それでも、粒子、反粒子間で重力相互作用は変わりません。 (これが、私が1番最初に書きこんだことです。)
お礼
御回答ありがとうございます。先にibm_111さんへのお礼で書いたことでは反粒子は粒子から反発力を受けるが粒子は反粒子から引力を受け、やはり矛盾が起ってしまいます。そこで「電磁力 ma = -e(E + v×B/c) …(1) の場合は慣性質量の符号の反転で反粒子の方程式が得られるとするが、重力 F = -Gm1m2/|x2-x1|^2 の場合はなぜか重力質量の反転で、反粒子を含む系の運動方程式が得られる。」 と訂正させていただきます。それとも電荷と重力質量の比をQとして(1)を ma = -Q(E + v×B/c) と書き直せば、両方とも重力質量の反転に統一できるかもしれません。いずれにしても電荷の保存則からこの様に考えることはできないと思います。
Guang- Jiong Ni 氏の論文を見てみました。 >なぜ未だに粒子と反粒子の間には反重力が働くと >言う考え方があるのでしょうか。 一般相対論が効いてくるほどの世界では検証はされてないでしょう? 私に読みとれたのはこんな論旨です。 4枚目の左側、(22)あたりですが、 1.Einstein equationは、変換m→-mに対して不変であるべき。 2.そのためにはenegy-momentum tensorを(22)のように書き換える。 3.すると、antigravityが出てくる(?) かなり適当に読んだので間違ってるかもしれません。
お礼
御回答ありがとうございます。お礼が遅くなって申し訳ございませんでした。Guang- Jiong Ni 氏の考え方は、一般相対論が効いてくるような領域だけでなく、ニュートン力学の範囲にも関わっているようです。Guang- Jiong Ni 氏の考え方を縮めて言うと、次の様になると思います。 「反粒子の質量は正で、粒子の質量と同じとする。ただし反粒子の方程式は粒子の方程式の慣性質量の符号を反転したものであると仮定する。電磁場の下での電子の運動方程式を ma = -e(E + v×B/c) …(1) 陽電子の運動方程式を ma = e(E + v×B/c) …(2) とすると、(2)は(1)の電荷の符号を変えたものと考えるのが普通であるが、質量の符号を変えたものと考えることにする。すると反粒子の電磁場の下での振る舞いは説明できる。反粒子の質量も正なのだから負質量のパラドックスは起らない。粒子の質量をm1、反粒子の質量をm2として重力ポテンシャルを、 U = -Gm1m2/|x2-x1| とすると、反粒子の運動方程式は -m2 a = -∂U/∂x2 (慣性質量の符号のみを変えている) すると重力は粒子-粒子間あるいは反粒子-反粒子間では引力となり、粒子-反粒子間では斥力となって粒子-反粒子は互いに遠ざかって行くことになる。」 この考え方は、慣性質量と重力質量を区別していることから等価原理を破っていると言うことを別にしても粒子と反粒子の電荷を同じにしてしまったのでは電荷の保存が成り立ちません。やはり信用できないと思います。
- bttf2003
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お久しぶりです。 最近は、「物理カテ」で難問を連発されていますが、それに回答される方が、いらしゃってご同慶の至りです。 今回のご質問は、私も昔々に考えた事がありましたのでアドバイスを致します。 >なぜ未だに粒子と反粒子の間には反重力が働くと言う考え方があるのでしょうか。 「対称性」という考え方を、基本にすれば「粒子と反粒子」が存在するなら「重力と反重力」も存在べきだという、単純明快な考え方から来ていると思われます。 それが、粒子・反粒子間にあると考えるのはあまりにも単純すぎますが、「反重力は絶対にない」と言い切れないところに、現代物理学の限界があるのでしょう。 私の考えでは、今知られている4つの力(相互作用)が、統一された理論として認知されるまでは、この論争は続くと思います。
お礼
御回答ありがとうございます。わたしは反重力があるとは思っていません。CPT定理によれば粒子と反粒子の質量は等しくなければなりません。またK0とK0バーの質量が等しいことは実験で確かめられています。
>なぜ未だに粒子と反粒子の間には反重力が働くと言う考え方があるのでしょうか。 そんなことをまともに言っているまともな研究者はいないと思いますが... 自然が場の量子論で記述され、かつ、 重力場がスピン2で記述されることを認めれば 重力は引力しか許されません。
お礼
御回答ありがとうございます。私も最近まで反重力なんてことを言っているのはオカルト研究者だけと思っていました。しかし下記URLのGuang-Jiong Ni の論文では宇宙の膨張が加速している(かもしれない)ことが、粒子-反粒子間の反重力による可能性が考察されています。 >自然が場の量子論で記述され、かつ、 重力場がスピン2で記述されることを認めれば 重力は引力しか許されません。 ということですが、重力が場の量子論で記述されるとすることに問題はないでしょうか。たとえば電子の異常磁気能率は電磁場が量子化されなければならない証拠と考えられますが、同じ様な重力の量子化の直接的な実験的証拠があるでしょうか。また理論的にも繰り込み不可能な相互作用になってしまうのではないかと思いますが… 電磁相互作用の場合は符号の同じ電荷は反発し、符号の異なる電荷は引き付け合うことを説明するのに場の量子論による必要はないと思います。ローレンツ不変性とゲージ不変性を仮定するとMaxwellの理論がほぼ再現できます。そしてMaxwellの理論には符号の同じ電荷は反発し、符号の異なる電荷は引き付け合うということも含まれています。 http://jp.arXiv.org/
- mmky
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参考程度に 哲学的な観点で考えると、ニュートン先生の指摘のように引き合うことを重力と称するならば反発することは反重力になりますね。この考え方には正負の質量の概念はありません。質量が正であろうが負であろうが概念的に反重力は存在します。質量が正だから重力、負だから反重力という考え方も一面的な見方になります。正負の質量間に重力が働くことも、正正の質量間に反重力が働くことも考えられます。grothendieckさんのご指摘のようにもし重力で説明がつくのであれば重力でもよいと思います。でも人類の現状の科学技術程度の知識で反重力を否定することはできません。そういうものかと思います。
お礼
御回答ありがとうございます。正負の質量間に働く引力や、正正の質量間に働く斥力は重力相互作用とは言えないと思います。
お礼
ご回答ありがとうございます。ゲージ不変性により電磁相互作用がeAμjμの形であるとして、ここでeは実数という以外は任意なのだから、eを負の値にしてみたらどうかと考えてみました。しかしQEDのパラメーターは微細構造定数α=e^2だけなので結果は何も変わらないと思います。すると同符号の電荷が反発し、異符号の電荷が引き付け合うのはゲージ不変性のためと言えそうです。場の理論で反粒子の電荷が粒子の電荷の逆になることは言えますが、質量についてはそのようなことは言えないので、粒子と反粒子間に反重力が働くと考えるのは無理そうに思えます。しかしこれは重力場の量子論を考えなくてもCPT定理だけで良いのではないでしょうか。