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インダクタによる電源デカップリングフィルタ

高周波で動作するデバイスの電源デカップリングフィルタとして、LCフィルタを電源ラインに付加することがよくあります。 このとき、デバイスから放射される動作周波数成分のノイズは確かにこのフィルタにて抑制されそうですが、同時に、自分の動作周波数のAC電流も抑制されてしまう気がします。 そうすると、デバイスの必要な電源インテグリティが確保できなくなってしまいそうですが、果たしてどうなんでしょうか?

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  • tadys
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回答No.2

>デバイスから放射される動作周波数成分のノイズ デバイスから放射されるノイズは空間を伝わるので電源ラインには関係有りません。 電源ラインを伝わるノイズ成分が有れば電源ラインからノイズが放射されるのでインダクタを使用してノイズを閉じ込めるのは効果が有ります。 >自分の動作周波数のAC電流も抑制されてしまう これは全くの勘違いです。 高周波回路を安定に動作させる為には電源のインピーダンスを十分に低くする必要が有ります。 その為にはバイパスコンデンサ(パスコン)を使用します。 回路の動作に伴うAC電流はパスコンを通してグランドに還流されます。 これはラインフィルタの有無とは関係有りません。 「デカップリング」とは「デ+カップリング」であって、カップリングを低下させるという意味です。 それでは何がカップリングしているのでしょうか。 それは前後の回路の間でのカップル(結合)です。 前後の回路での結合が有ると高周波での発振やモーターボーディング等の異常が発生する事が有ります。 その為、結合を低下させる目的でインピーダンスが高くなるインダクタを挿入するのです。 インダクタ挿入によって増加する電源変動に対してはパスコンの容量を増やす等で対策します。 電源インティグリティが問題になるような回路は主に、低電圧で高速動作をするデジタル回路です。 このような回路ではインダクタによる直流電圧の低下が許されないのでインダクタは使用しません。 また、このような回路では電源ライン(電源プレーン)は伝送線路として取り扱う必要が有ります。 インピーダンスのミスマッチのある伝送線路では定在波が発生し、線路の場所により電圧が異なって来ます。 この事が電源インティグリティを難しくする原因の一つです。 高速回路では複数のパスコンを並列にして使用しますが、パスコンの残留インダクタによる反共振によりインピーダンスが大きくなりパスコンの効果が打ち消されます。 その為、わざわざロスの多いパスコンを使用する事が有ります。 http://www.murata.co.jp/products/article/ta1082/index.html

hitman-k
質問者

お礼

詳細なご説明ありがとうございました。 >>自分の動作周波数のAC電流も抑制されてしまう >これは全くの勘違いです。 はい。この点に勘違いがありました。 皆さんのご指摘の通り、パスコンの容量を増やすことで電源インピーダンスを低く保つことができますので、結果、インダクタに流れる電流量の変化はなく、例え高帯域のインピーダンスが高いとしても、電圧変化(リップル)はほとんど生じないということですね。 「インダクタ=高帯域でのインピーダンスが高い」と考えて、動作周波数にて自分の電源をデコボコにしてしまうのでは・・と考えたのですが、杞憂のようでした。 その他の情報についても参考になります。有難うございました。

その他の回答 (2)

  • tance
  • ベストアンサー率57% (402/704)
回答No.3

Tadysさんの回答は完璧です。これ以上付け加えることは何もありませんが、イメージをつかむためにちょっとアナロジーを。 上の階の人が床にモノを落としたり、乱暴に歩いたりするので、階下のあなたの部屋が揺れて困っているとしましょう。 揺れなくするには部屋に大きな石を置いて、動きにくくすれば良いのですが、相当重い石を置いても完璧には振動は抑制できません。 そこで、上階との間にスポンジ層を設けたらどうなるでしょう。スポンジがクッションになり、振動が大幅に抑制できることは解りますね。全階にスポンジ層があると、互いの部屋どうしの振動干渉は防げますが、自分が歩いただけで部屋が揺れるようになってしまいます。そこで、やはり石を置くと良いのです。 石はパスコンで、スポンジはインダクタです。そして上の階の暴れ者は他のノイジーな回路です。 車のサスペンションも同じ考え方です。ダンパを使って余計な共振を無くすところまで考え方は一緒です。

hitman-k
質問者

お礼

ご回答有難うございます。 デカップリングの考え方がすっきりと理解できました。

  • MOMON12345
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回答No.1

高周波デバイスの電源ラインはバイパスコンデンサによって十分低いインピーダンスにされているはずです。 そこにあえてLを入れるのは、より多くのアイソレーションを得たいからです。 Lですと自己共振などもあるのでQの低い、つまり高周波成分を熱として吸収してしまうフェライト製品なども多く使われています。

hitman-k
質問者

お礼

ご回答有難うございます。 なるほど。インダクタの代わりにフェライトビーズを使用するの場合が良く見られるのですが、この使い分けについて疑問に思っていました。自己共振を防ぐ意味もあるのですね。 参考になりました。