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歴史的かなづかいについて教えてください

古文の読み方について教えてください。 「いとほし」は「いとおし」と読みますが、 「あらまほし」はそのまま、「あらまほし」と読んでいます。 このように、歴史的仮名遣いの読み方には、いくつかの例外があると思いますが、 その基準は何でしょうか?判りやすい文献など、ご存知でしたら、教えてください。 どうぞよろしくお願いいたします。

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  • ベストアンサー
  • kimosabe
  • ベストアンサー率59% (137/230)
回答No.1

これはまた面倒なご質問ですね。 平仮名が使われ始めた平安時代初期では、「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、どの位置に現れても「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」と発音されていました。 11世紀ごろになると、「ハ行転呼(てんこ)」と呼ばれる現象が起こって、文節の頭以外の位置に現れる「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、「ワ・ヰ(wi)・ウ・ヱ(we)・ヲ(wo)」と、ワ行音で発音されるようになります。さらに後にはワ行音自体が変化して「ワ・イ・ウ・エ・オ」と発音されるようになります。このような日本語の変化にそって、「あはれ」が「アワレ」と読まれ、「たまひ」が「タマイ」、「あふ」が「アウ」、「うへ」が「ウエ」、「かほ」が「カオ」と読まれることになったわけです。 ならば、希望の助動詞「まほし」も「マオシ」になってようさそうなものですが、そうはなりません。室町時代の末期から江戸時代初期にかけて日本で活動したキリスト教のポルトガル人宣教師たちが日本語について書きしるした文献を「キリシタン資料」と呼んでいますが、そのキリシタン資料の一つである、ロドリゲスの『日本大文典』には、ローマ字表記で、   aramafoxij(あらまほしい) とでてきます。「ほ」に当たる部分が「fo(フォ)」と書かれていて、ハ行転呼を起こしていません。 なぜ、助動詞「まほし」がハ行転呼を起こさなかったかについての説明もやっかいです。 助動詞「まほし」は、「まく欲し」から変化したものだと言われます。「あらまほし」を例にとりましょう。   あら…ラ変動詞「あり」未然形。   ま…推量の助動詞「む」の古い未然形   く…上をひっくるめて体言化する接尾語(準体助詞とする考えもあります)   欲し…形容詞 つまり、「あらまく欲し」は、「あるだろうことが、欲しい」という意味です。この「まく欲し」の部分が変化して希望の助動詞「まほし」が生まれたわけです。その一方で、「まほし」の「ほし」は、形容詞の「欲し」であるという語源意識も残っていて、「ほ」は文節の頭と意識されていたようです。さきほどのロドリゲス『日本大文典』も、mimafoxij(見まほしい)と並べてmimacufoxij(見まくほしい)をあげています。 助動詞「まほし」が、なぜ「マオシ」にならないか。それはひと言でいえば、「まほし」の「ほし」が形容詞で、「ほ」は文節の頭と意識されていたため、ハ行転呼が起こらなかったということになります。 参考URLも併せてお読みくだされば幸いです。No2,No3が私の過去の回答です。

参考URL:
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=488611
root8
質問者

お礼

お礼を申し上げるのが大変遅くなりまして申し訳ございません。 ありがとうございます。 とても分かり易く、ご丁寧にご教示いただき、 ありがとうございます。 なるほどと、大変納得いたしました。また、驚いております。 kimosasbeさまの過去の回答も拝見いたしました。 かなづかいは、本当に深いですね。大変勉強になります。 ロドリゲスの「日本大文典」早速探してみます。 ありがとうございました。

その他の回答 (2)

  • kimosabe
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回答No.3

肝心なことを書き落としていました。追加します。 「歴史的かなづかい」で書かれたものを、現代人が音読する場合の原則は以下のとおりです。話しを単純にするために、実際には例がないものも含んでいますのでご了承ください。また書き落としたものがあるかもしれません。 あう、かう、やう、きやう→オー、コー、ヨー、キョー あふ、かふ → ハ行転呼 → オー、コー いう、きう → ユー、キュー いふ、きふ → ハ行転呼 →ユー、キュー えう、けう → ヨー、キョー えふ、けふ → ハ行転呼 → ヨー、キョー  おう、こう、よう、きよう → オー、コー、ヨー、キョー おふ、こふ → ハ行転呼 → オー、コー おお、こお → オー、コー おほ、こほ → ハ行転呼 → オー、コー ゐ、ゑ、を → イ、エ、オ 〔文節の頭以外に位置する〕は、ひ、ふ、へ、ほ     → ワ、イ、ウ、エ、オ くわ、ぐわ → カ、ガ ぢ、づ → ジ、ズ 上記の原則に外れるもの、つまりroot8さんのおっしゃる例外にあたるものとしては、「まほし」のようにハ行転呼に関わるものの他は、今のところ、   あふひ(葵) → アオイ   あふぐ(仰ぐ・扇ぐ) → アオグ   たふる(倒る) → タオル   ばせを(芭蕉、「ばせう」の表記もあり) → バショー ぐらいしか思い付きません。まさに例外ですが、「ばせを」以外は共通性がありそうですね。

root8
質問者

お礼

ありがとうございます!!! 大変うれしく存じます。 なるほど! 芭蕉を「ばせを」は、思いつきませんでした。 ありがとうございました。

  • kqwcs334
  • ベストアンサー率50% (8/16)
回答No.2

歴史的仮名遣ひに関心がおありなら、 ・福田恆存(ふくだ・つねあり)『私の國語教室』文春文庫 ¥619 を読まれることをお薦めします。 歴史的仮名遣ひの法則や例外について網羅的に解説されてゐます。また「現代かなづかい」がいかに非論理的で不合理であるか、丁寧かつ辛辣に批判されてゐます。 「福田恆存」の表記に関しては「福」「恆」がサイトによつて略字であつたり正字であつたりまちまちですのでネットで検索される場合は御注意ください(このサイトでは「福」の正字は表記不可能なやうです!)。

root8
質問者

お礼

ありがとうございます。 お礼を申し上げるのが大変遅くなりまして申し訳ございません。 「私の國語教室」ご紹介いただきありがとうございます。 ぜひ一度読んでみたいと思います。

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