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古文『給へる用意』について
『気色ばかりぶたうし給へる用意』 少しばかり拝礼なさる心配り この文の『給へる用意』の給へるは尊敬語なのでしょうか?それとも謙譲語なのでしょうか? 教えてください よろしくお願いします。
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「給へる」という単語はないと思います。NO1の方も書いておられるように、「給ふ」には尊敬語の四段動詞・補助動詞と、下二段動詞・補助動詞がありますが、「給へる」はありません。 四段活用 給は・給ひ・給ふ・給ふ・給へ・給へ 下二段 給へ・給へ・給ふ・給ふる・給ふれ・給へよ 活用は以上の通りですから、「給へる」はありません。 となると、「給へる」は「給へ」と「る」の二語と考えられます。「る」で可能性がある単語は、受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」の終止形と、完了・存続の助動詞「り」の連体形「る」の二つになります。 どちらであるのか識別するのは簡単で、「る」の下が「用意」という名詞=体言なので、体言の上には原則として連体形が来ますので、「る」は連体形になります。つまり、この「る」は完了の助動詞「り」の連体形となります。 次に、完了の助動詞「り」の接続を考えると、四段活用型には命令形(已然形との説もある)と、サ変活用型の未然形に接続します。 謙譲語の「給へ」は未然形にありますが、下二段活用なので合致しません。つまり、この「給へ」は四段活用=尊敬の「給へ」となります。 次に「給へ」が動詞か補助動詞かですが、直上にある「し」を考えます。候補はサ変動詞「す」の連用形、過去の助動詞「き」の連体形、副助詞とあります。過去の助動詞は連体形なので、下の「給ふ」が動詞か補助動詞という用言なので合致しません(上の「ぶたう(舞踏)」が名詞なので接続も合致しません)。 副助詞の「し」は、「し」を除いても意味が通ずるのですが、「舞踏給へ」で意味がおかしくなります。つまり、「給ふ」が用言であることから考えても「し」はサ変動詞「す」の連用形の「し」ということになります。「し」が動詞ということは、「給ふ」は補助動詞になります。 ちなみに、品詞分解をすると、 『気色(名詞)ばかり(副助詞)ぶたう(舞踏=名詞)し(サ変動詞の連用形)給へ(四段補助動詞の命令形)る(完了の助動詞の連体形)用意(名詞)』となります。なお、「ぶたうし」は名詞にサ変動詞がついて一語のサ変動詞を形成したものとも考えることはできます。 訳は下に書いてあるので省きますが、「ぶたう=舞踏」は叙位・任官・褒美をもらった時・朝賀・節会の時などの拝礼作法の一つで、(お礼の)拝礼、拝舞と訳すことが多いです。 また、「~なさる」は尊敬の意味です(謙譲は「~いただく」)。 長くなりましたが、結論的には「給へる」は、尊敬の補助動詞の命令形「給へ」に、完了の助動詞「り」の連体形の「る」がついたもので、尊敬の意味を表しているということになります。 以上、参考まで。
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ありがとうございましたm(__)m