• ベストアンサー

「固執」の本来の読み方は?

「執拗」、「確執」の「執」は「シツ」と、 「執着」、「執念」、「妄執」の「執」は「シュウ」と、 それぞれ読みますよね。 ところで、「固執」の読みは、「コシツ」も「コシュウ」もアリだけど、本来の読み方はドッチですか? ちなみに、 1.角川国語辞典で「こしゅう」の読みで「固執」を引くと「→こしつ」と載っています。 2.明解国語表記辞典では「こしつ」で「固執」が登場し、「こしゅう」では登場しません。 3.新明解国語辞典では『「こしゅう」は「こしつ」の老人語』となっています。びっくり! これらを纏めると(?)、本来は「コシュウ」だったが現代では(若者は?)「コシツ」と読むと?

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.6

#3です。 >「コシュウ」が「明治中期から」出ている「コシツ」よりも先に「老人語」になっちゃったと。 >新明解国語の誤謬でしょうか? もちろん明解に言えば「誤謬」です。←オイオイ。 「放送用語ハンドブック」では「「こしつ」を採り、「こしゅう」は原則として使わない」とした当のNHK自身がこの「老人語」説明をわざわざとりあげているほどです。 NHK「ことばの研究 『美男子(びだんし)』が多いのはどの地域?」 http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/kotoba/031.html その本文(adobe)の「1.3.1固執」の項参照 http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2011_10/20111002.pdf この主張の根拠と思わしきものでは、彼の文化庁国語課の担当官や審議会委員たちの議事録での「漢語・漢字に関する問題」の「「固執」は「コシツ」か「コシュウ」か」において、「「こしつ」・「こしゅう」のどちらが正しく、どちらが誤りとは言うことはできないが、「こしゅう」は伝統的ではあっても多少古めかしい感じがあり、現代の口言葉としては、「こしつ」であると言ってよいであろう。」とまとめています。 >「本来の読み方」が「古くから存在する読み方」とするならば、「コシツ」が固執の本来の読み方なのでしょうか? 1.「執」の読みの多様性と、持たせた意味の違い #2さんの回答のように、本来は呉音・漢音とも「シフ(シュウ)」です。 ただし、「礼記」や「中庸」での「擇善而固執之者也」のように、「善を擇(えら)んで固(かた)くこれを執(と)る者なり」として、「固」は修飾語で「執」が動詞として、今日的意味での熟語ではありません。 まず、平安中期の「延喜式・式部上」では「執政(しっせい)」という呼称が現れています。 「執(シフ)」のサ変動詞化した「執す」が、果たして促音便化した「しっす」なのか、促音便化しない「しふす」のままなのか、「しゅす」と記された例においても両者の判別は難しいとされています。 (参考:「古語大辞典」小学館) これが「執心・執着」の意味をもった「執(シフ(しゅう))」のまま、名詞として平安期には使われています。 「何事にも執(シフ)は留めじ思ふ世なれ」(「源氏物語・横笛」) 形容動詞としても使われています。 「執なるものの師どもを、ここかしこに尋ねて侍りしなり」(「源氏物語・花宴」) また同時期に「しゅす」に関わる「執筆(しゅひつ)」という言い方もあります。 「左大弁在衡朝臣執筆(しゅひつ)のため、…」(「九歴・天慶七年九月」) この間の事情については次の記載を採ります。 「取りもつ義より轉じ我國にては單にシフといひて、深く心に留めて守り忘れぬ義に用ふ。執着心。執念の「執」なり」(「大字典」講談社) つまり、執政など、取り持つ意味ではない場合、そのまま「執(しゅう)」と読むのだと、執着心のように。 2.漢熟語「固執」の発生時期 明治22年5月刊行の「言海」には載っていません。「日本大辞書」「ことばの泉」にもなく、明治41年の「ことばの泉 補遺」での採録(読みは「コシツ」のみ)が早い方だと目されています。 ここから唯一1888(明治21)年に現れているという「漢英対照いろは辞典」が問題となりますが、その内容は未見の為不明です。 一つの推測で英語の"insistence"の訳語に「執拗(しつよう)」とともに「固執(こしつ)」という、「執(シツ)」を揃えた表現を行っているのではないか、これはまた、その後、心理学用語などとしても「こしつ」として訳されたものではないか。そしてこれで学んだ学生たちの成長し社会で活躍する10~20年後といった形で、その後の新聞・雑誌などを通して読み・言い方に影響を及ぼしたのではないか知らん、と。 そう考えると、漱石が「コシフ」と遣いながら、同時期の新聞小説では「コシツ」となっている背景も何となく忍ばれるものと。 このためにも、まずは「漢英対照いろは辞典」での扱い方を実際に確認したいものです。 3.老人説 以上からして、平安の昔から2乃至3種の読み方が存在したと言えども、音便を入れない「しゅう」と読むのが呉音・漢音に適合し、かつ「深く心に留めて守り忘れぬ義に用ふ」に叶うのではないかと思われます。 ただし、この意味では既に、「固持・固守・堅持・護持」といった十分に熟した語彙があったにもかかわらず、英語の和訳において「執拗」と共に「固執」が改めて「こしつ」読みで創作された可能性もあり得ます。 明治後期から普及をみたこの「こしつ」が、戦後、その本来の読みとしての「こしゅう」とも読み直す動きがあったのではないでしょうか。しかしその後、改めて英語辞書などでの「口言葉」としての「こしつ」を良しとする世代が育つにつれ、先の戦後期世代を指して「老人語/多少古めかしい感じ」としているのではないでしょうか。

noname#204879
質問者

お礼

》 その本文(adobe)の「1.3.1固執」の項参照 の箇処でご紹介いただいた資料には感激いたしました! ちなみに、同資料の 37頁に、私がたまたま目にした“新明解の老人語”のことも記載されていますね。 同ページの説明文「国が示す基準としても、どちらが標準的であるかを明示するのは困難」を念頭におくことにします。 この度は誠にありがとうございました。

noname#204879
質問者

補足

本日(2012/09/21)、図書館で他の辞書における記載状況を調べたので、私自身の備忘録として記しておきます。 日本国語辞典[第二版](小学館)  →【固執(こしつ)】の補注:かつては「こしゅう」が一般的であった。 明鏡国語辞典[第二版](大修館書店)  →【固執(こしつ)】:「こしゅう」の慣用読みだが、今日では「こしつ」が一般的。

その他の回答 (6)

  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.7

#3・6です。 高橋五郎 著「いろは辞典 : 漢英対照」(明21.5)を確認しました。 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902745 本書の768頁に次のように載っています。 「こしつ[する] 固執、かたくとる、いぢはる To fold fast, to insist on.」

noname#204879
質問者

お礼

ありがとうございました。

  • SPS700
  • ベストアンサー率46% (15297/33016)
回答No.5

    #2です。やり直しです。 >> 1。  私には貴方のご説明が難解に過ぎました     申し訳ありません。やり直します。次は、下記にこの問題が要約されている部分です。 「唇内入声」は唇を使った発音で、「ジフ」「キフ」「シフ」 「エフ」「タフ」と書きましたが、これは旧 仮名遣いで「現代仮名遣い」なら「ジュウ」 「キュウ」「シュウ」「ヨウ」「トウ」となります。  「舌内入声」は舌を歯茎のあたりに付けて発音しますが、「-チ」となる場合と「-ツ」 となる場合がありますが、両方あるものもあります。「一」は「イチ」と「イツ」、「質」 は「シチ」と「シツ」、「別」は「ベチ」と「ベツ」などです。  「喉内入声」は喉の前の方で発音し、「-ク」 の場合と「-キ」の両方があります。  この「入声」が日本語の中で、もっとも問題があり、特に「唇内入声」の「十」「塔」「執」「合」「雑」など一部のものは二つの形「ジュウ」と「ジッ」、「トウ」と「タッ」、「シュウ」と「シッ」、「ゴウ」と「ガッ」、「ゾウ」と「ザッ」のように両様のの形で現れることがあります。  たとえば、普通「ジュウ」と読むのに「十本」「十手」は「ジッポン」「ジッテ」となります。同様に「塔頭」は「タッチュウ」となり、「執念」は(シュウネン)となるのに「執行」「執筆」は「シッコウ」「シッピツ」 となります。「合」は「合併」(ガッペイ) となるが、順序を変えると「併合」(ヘイゴウ)です。        http://cocologjun.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-2033.html (以下は僕の解説です)         中国では終わりに p、t、k がつく文字があり、これらは入声(ニッショウ)と呼ばれます。北京などの北方方言では無くなりましたが、広東語、客家語、など中国南部では残っています。      p で終わるのを「唇内入声」、t で終わるのを「舌内入声」、k で終わるのを「喉内入声」と言います。ご質問は、唇内入声の「執」に、なぜ「舌内入声」の読み(すなわち「シツ」があるのか,と言うことです。     簡単に架空の例でご説明申し上げますと、 tep、 tet、 tek のような音が日本に入ってきた、「さあどうする?」となり、一つの解決法は「てう」「てつ」「てく」ともう一字くっつける、方法、もう一つは「で」で三つを表しちまえ,と言う方法です。      この後者だと唇内と舌内の区別が無くなります。このため本来「しう」>「しゅう」と進むべきものが、「しつ」の方にも紛れ込んだ、と言うことです。 >>2。  「シュウ」を「本来の読み方」とする根拠を示していただいた、と理解しておきます。     おっしゃる通りです。

noname#204879
質問者

お礼

ありがとうございました。

  • SPS700
  • ベストアンサー率46% (15297/33016)
回答No.4

    #2です。補足です。 >>「出生届」における「シュッセイ届」「シュッショウ届」と同類問題かな、とも思っています。     「執」の二つの読み方は日本に入ってからできたのですが、「生」を「セイ」と読んだり「「ショウ」と読んだりするのは、日本に入る前からです。     「ショウ」は、呉音で、中国南部から仏教の僧侶が伝えたもので古い発音です。     「セイ」は、漢音で、中国北部から、呉音よりも後から伝わった発音です。下記などをご覧ください。        http://www.geocities.co.jp/collegeLife-Labo/6084/goonkanon2.htm      他にも「正」を「ショウ」(正月)と読む時は呉音、「セイ」(正義)と読む時は漢音です。      明、星、京、丁、平、霊、兵、をみょう、じょう、きょう、ちょう、ひょう、りょう、ひょう、と読めば呉音。      めい、せい、けい、てい、へい、れい、へい、と読めば漢音です。

  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.3

わが国の辞典類での読みの経緯を纏めてみました。 明治中期から昭和初期を通して、「こしつ」読みが主で、「こしゅう」が主見出しとして現れるのは昭和期に入ってからと見れます。 漱石でさえ論説文と新聞小説で読みが変わっているのは、結局音読みでは「こしゅう」だが、世間的に「こしつ」であることにもあえて固執しないということでしょうか。 1.1888(明治21)年  コシツ…主見出し(「漢英対照いろは辞典」) 2.1908(明治41)年 コシツ…主見出し(「ことばの泉 補遣」) 3.1922(大正11)年 コシツ…主見出し(「言泉 改修版」) コシフ…空見出し http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/969160 (1495頁と1497頁) 4.1919(大正8)年 コシフ…空見出し(「大日本国語辞典」) 5.1935(昭和10)年 コシュー…主見出し(「大辭典」) コシツ…空見出し 一方、作家の方から見ると、 1.こしゅう 「融通のきかぬ一本調子の趣味に固執(こしゅう)して、」(夏目漱石「作物の批評」1907(明治40)年) 「彼らはいずれも自己の性向、世界観に絶対に固執(こしゅう)していて、」(中島敦「悟浄出世」1942(昭和17)年) 2.こしつ 「たしかに頭の上で大きな音がしたのだと固執(こしつ)した。」(夏目漱石「門」1910(明治43)年)

noname#204879
質問者

補足

》 明治中期から昭和初期を通して、「こしつ」読みが主で、「こしゅう」 》 が主見出しとして現れるのは昭和期に入ってからと見れます このことだけを見ると、私の質問文の「3.」と矛盾しているようですね。 つまり、「昭和期に入ってから」現れる「コシュウ」が「明治中期から」出ている「コシツ」よりも先に「老人語」になっちゃったと。新明解国語の誤謬でしょうか? それから、… 「本来の読み方」が「古くから存在する読み方」とするならば、「コシツ」が固執の本来の読み方なのでしょうか?

  • SPS700
  • ベストアンサー率46% (15297/33016)
回答No.2

ところで、「固執」の読みは、「コシツ」も「コシュウ」もアリだけど、本来の読み方はドッチですか?     コシュウです。     もともと中国の上古音や中古音では *tiep のように再構成されています。このおしまいの [p] は、日本に入ってきた時は「う」の仮名で書き表されました。     「しう」と書かれたものは「しゅう」と発音され、「執着」、「執念」、「妄執」は、その正当な流れを示しています。    ただおしまいの p がゼロ表記の場合もあり「し」だけが書かれる場合がありました。そのため同じくゼロ表記だった t を書かない「し」と混同された時があります。     このため本来 iet で終わる漢字と一時的な混流が起こります。「執拗」、「確執」、「執事」などが産まれたのは、このためです。     同じ iep に終わる文字には「入」「十」などがああり、 入学「にゅうがく」、と入声「にっしょう」、十分「じゅうぶん」と、十手「じって」の2種の読みが見られるのはそのためです。     他の p に終わる例には「立」があり、設立「せつりつ」、建立「こんりゅう」の2種があります。     僕は多くの場合、現代の日本語では、若者語、老人語 の区別ではなく、語彙で(例えば設立は「せつりつ」と読み、建立は「こんりゅう」と読むと言う風に)決まっていると思います。

noname#204879
質問者

お礼

私には貴方のご説明が難解に過ぎましたが、「シュウ」を「本来の読み方」とする根拠を示していただいた、と理解しておきます。何だか気分がスッキリしています(^_^) 》 多くの場合、・・・語彙で(例えば設立は「せつりつ」と読み、建立は 》 「こんりゅう」と読むと言う風に)決まっていると思います 私もそのように理解しておりましたが、「固執」の読み方の元祖と使い分け(があれば、それ)を知りたくて質問しました。 「出生届」における「シュッセイ届」「シュッショウ届」と同類問題かな、とも思っています。 コメント、誠にありがとうございました。

  • multiface
  • ベストアンサー率36% (308/834)
回答No.1

ご明察! 本来は「こしゅう」です。 これが長い間使われるうちに「こしつ」の方が一般に定着しました。 まあ、「執」の字自体が「しつ」と「しゅう」のふたとおりの読みがありますからねぇ・・・ よく似た例では、遺言があります。 法令用語では「いごん」ですが、一般的には「ゆいごん」ですね。 シチュエーションによって使い分けるものとそうでないものもあります。 時と場合を考えて使うとよいでしょう。

noname#204879
質問者

お礼

》 まあ、「執」の字自体が「しつ」と「しゅう」のふたとおりの読みがありますからねぇ そのために質問した次第です。 改めて現代漢語例解辞典(小学館)を引いてみると、「シュウ」は呉音/漢音だけど、「シツ」は慣用音と載っていました。 今やダントツに慣用音が多く、“本来読み”を含む言葉は次のものしか思い浮かびません。   愛執、異執、意執、我執、偏執、妄執   執心、執着、執念 コメント、誠にありがとうございました。