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民法危険負担
「物の実質的支配の有無によって危険負担を決定すべきである」という考え方は危険負担の債務者主義でしょうか?それとも債権者主義でしょうか?また、なぜそうなるのか根拠を教えて下さい。
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ここはどうしても説明しにくい。少し難しい説明なってしまうかもしれないが、すまぬ。。わからなったら補足してまた聞いておくれ。 >「物の実質的支配の有無によって危険負担を決定すべきである」という考え方は危険負担の債務者主義でしょうか? 質問者のいわれる考え方(通説)の理解をして、これを債務者主義と言うのは、間違った理解じゃと思う。 通説は、債務者主義ではない。債権者主義である。ただし、本条の適用は、限定する。という考え方である。 それはそうじゃろう。民法をみていただけるじゃろうか。 ↓↓ (債権者の危険負担) 第五百三十四条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。 特定物の危険は、「債権者の負担に帰する」条文にとはっきり書いてある。だれがどうみても、条文は債権者主義である。 これを無理やり、債務者主義に読み替えるのはもはや解釈の域を超える。 だから、質問者に対する回答としては、通説も、条文どおり「債権者主義」である。ということになる。 >また、なぜそうなるのか根拠を教えて下さい。 しかし、かかる原則を貫くのは不合理である。たとえば、家屋の売買契約を例に取るとしようかのう。(たのむから、宅建法などは考慮しないでおくれ) 売主Aが、買主Bに家屋を売渡す契約を締結したが、その翌日に隣家の火災によりその家屋が消失したた。という事例において、 債権者主義を貫くと、買主は家を一度も使わないまま、また、売主は家を引き渡していないのにもかかわらず、家屋の代金を請求できるという結論になる。これは、消費者保護の精神にもとるし、不公平である。 だから、本条の適用は、限定的にされなければならない。(もう、ローマ法の話など忘れてよいじゃろ。) 本条の趣旨は、売買契約が締結され、買主が目的物の自分の支配に収めることができるから、物の危険を負担させても良い点にある。だから、本条は、買主が物の実質的支配をした時点でのみ、はじめて本条の適用があると解釈すべきである。(民法コンメンタールp998) 先のたとえで言うと、買主が家の鍵を売主から渡された時、家を実質的に支配したといえるから、本条の適用がある。そして、鍵を渡された後に家が焼けたら、買主の代金債務は存続する。 逆に、鍵を渡される前にに家が焼けたら、それは原始的不能、契約は無効となり、買主は代金債務を免れることになる。 なお、ここは近いうち、民法大改正で、間違いなく改正される条文であり、このような難儀な限定解釈は将来しなくてすむことになると思う。
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早速のご回答ありがとうございます。本当にとてもよくわかりました。ありがとうございます。