• ベストアンサー

危険負担について教えてください。

危険負担について教えてください。  民法第534、535条で危険負担の例外として債権者主義をとっていますが、特定物と停止条件付き双務契約でなぜ、債権者主義をとったのか理由が、わかりません。 民法第176条で、物件の移転は意思表示で効力を生じるとしているからだとしたら、第535条第1項、第536条の債務者主義が、説明できなくなります。  そもそも、特定物売買の実務では特約で、債権者主義を排除しているのに、 この条文がある意味、立法趣旨が理解できません。  どなたか、ご教授、よろしくお願いいたします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
noname#110938
noname#110938
回答No.1

>民法第176条で、物件の移転は意思表示で効力を生じるとしているからだとしたら、第535条第1項、第536条の債務者主義が、説明できなくなります。 「説明できない」というのは法論理的には間違いだね。 535条1項は停止条件付き契約の場合だから、停止条件付き契約の条件未成就の間には物権(物件じゃない)契約の効力は生じない。つまり、契約時において物権の移転または設定の効果は生じない。 536条は不特定物売買あるいは物権の設定または移転を目的としない契約など、意思表示だけでは物権的効力は生じないあるいはそもそも契約内容自体が物権的効力を生じない内容の場合の規定。つまり、契約時において物権の移転または設定の効果は生じない。 そこで、534条は、176条を根拠に契約により物権的効力が 生 じ た 場合に危険負担を債権者主義とする規定であると考えれば、176条に関わらず、まだ物権的効力が 生 じ て な い (あるいはそもそも生じ得ない)場合を定める535条1項、536条が債権者主義じゃなくても何の不思議もないことになる。前提が違うんだから。 よって534条1項の説明に176条を根拠とするにしても、535条1項、536条の規定とは全く矛盾しない。むしろ、535条1項、536条は534条1項と違って物権の移転または設定の効力が生じないからこそ債務者主義だという説明すらできるわけだ(ちなみに534条2項は、特定が生じればその時点で物権の移転または設定の効力が生じるから534条1項と同じになるという趣旨。裏返せば、特定が生じていなければ物権の移転または設定の効力は生じないということ。その場合は536条)。 よって「534条1項の説明に176条を持ってくると535条1項、536条が説明できない」というのは法論理的に誤り。もっとも、そもそもなんで所有権が移転したら所有者が危険を負担しなきゃならんのか?とかそういう問題はあるけどね。だから、理由付けとして所有権が移転したからなんてのは説得的でないとか根拠として薄弱とかそういう批判はいくらでもできる。だけど、それは論理的に説明できないということではない。説明が不十分なだけ。 もっとも535条2項は問題があるけどね。物権契約の効力が生じていない間に生じた損傷を債権者主義とするのはなぜか?って。これは確かにおかしな話だ。言い換えれば535条1項と2項は矛盾してないか?ってことだ。強いて言えば、「政策的な例外規定」とでも捉えるしかないだろうね。 まあ、これ以上の詳しい話は、いわゆる基本書に載っているから自分で読んで頂戴。 >そもそも、特定物売買の実務では特約で、債権者主義を排除しているのに、 >この条文がある意味、立法趣旨が理解できません。 考え方が逆だね。 この規定があるから、実務では特約で排除してんの。そもそもこの規定の合理性は相当疑わしいと言われるところで、そんな合理性に疑いのあるような規定を適用してほしくないから実務じゃ特約を付けてんの(もっとも実務的にはそもそも176条自体特約で排除していることが多いのだが。しかし、176条を排除してもそれだけで534条1項を排除するということにはならないから両方排除することになる)。 特約で排除するのが一般的だからって、排除される規定の意味、立法趣旨が理解できないってのはおかしいね。特約で排除される規定なんて他にもいくらでもある。例えば実務的には、遅延損害金の利率は、特約で法定利率を排除しているのが普通だけど、だからって法定利率の存在する意味とか立法趣旨が理解できないのかい? ただ、繰り返すけど、「合理性は疑わしい」というのは昔から指摘があるところで、廃止すべきという意見も少なくないというのは事実だけどね。だから、そもそも特約で排除しようがすまいがそんなこととは関係なしに、この規定の意味、趣旨が理解できない(正確に言えば、言いたいことは解らなくはないが、だからと言って債権者主義にするに十分な理由があるとは思えない)というのなら話は解る。

nobubonzu
質問者

お礼

明快な解答、ありがとうございました。 物権的効力が生じているかどうかを、考えれば、 私でも答えを導くことができたかもしれないのですね... 第176条から考えると、債権者主義が原則で、債務者主義が例外のような気がします。 どちらにしても、ずーともやもやしていた部分がすっきりしました。