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厚生年金保険の基礎年金拠出金について教えてください
- 厚生年金保険の財源は保険料と国庫負担から成ります。
- 国庫負担は厚生年金保険が国民年金に拠出する基礎年金拠出金の2分の1です。
- ここから推測すると、厚生年金の財源から国民年金の財源へ流れる資金は約11兆円程度あり、厚生年金の財源の3分の2が国民年金に充てられている可能性があります。
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厚生年金保険の財源は、保険料と国庫負担とで成り立っています。 そして、この財源の中から、各公的年金制度(国民年金、厚生年金保険、共済組合)の共通の土台である基礎年金を維持するために、基礎年金拠出金を払い出しています。 このとき、基礎年金拠出金の2分の1は、国庫負担から賄われます。 また、残りの2分の1は、保険料から賄われます(★)。 したがって、これらのことを計算式にまとめると、次のとおりとなります。 厚生年金保険の財源 =【保険料(本人,事業主)】+【国庫負担】 =【厚生年金給付+基礎年金拠出金の2分の1】+【基礎年金拠出金の2分の1】 =【厚生年金給付】+【基礎年金拠出金】 =【◯◯厚生年金+◯◯基礎年金】 つまり、土台としての基礎年金の上に各制度独自の給付が乗っかっています。 これが基礎年金制度で、実際の年金の給付です。 上の式に平成20年度の厚生年金保険関係の額をあてはめると、次のとおりとなります。 厚生年金保険からの基礎年金拠出金の2分の1が、国庫負担です(※2)。 厚生年金保険の財源(※1) =【保険料(22兆6905億円)】+【国庫負担(5兆5135億円)】 =28兆2040億円 =【厚生年金給付(17兆1770億円)】+【基礎年金拠出金(11兆270億円)】 ★の箇所が、解説に相当します。 ★の部分を理解しないと、上の計算式(※1や※2)も理解できません。 基礎年金イコール国民年金ではありません。 あくまでも、基礎年金です。厚生年金保険の中の土台になっている、ととらえて下さい。 つまり、土台としてある基礎年金のほうへ廻しますよ、ということになります。 国民年金からも基礎年金拠出金(あとで説明します)は払い出されています。 国民年金の場合は、土台になるものが基礎年金しかありません。 このため、結果として、国民年金では基礎年金のほうへそのまま廻したらイコールとして見える、というだけの話になります。 要は、国民年金も含めた各公的年金制度から拠出金を払い出して、基礎年金(土台)を維持します。 プールする所が別にある、といったようなイメージです。 ですから、基礎年金イコール国民年金ではないのです。 上の計算式(※1や※2)は、厚生年金保険の財源から国庫負担の倍額(11兆円程度)が基礎年金拠出金として出ている、という認識では正しいです。 但し、見ればわかりますが、質問者さんが言っている「3分の2うんぬん」という所は明らかな誤りです。 また、国庫負担割合は、平成21年度から「基礎年金の財源の2分の1は国庫負担」とされたことそのものである、と考えても差し障りありません。 ちなみに、基礎年金拠出金は以下の計算式によってはじき出されます。 基礎年金拠出金(◆) =各制度[国民年金,厚生年金保険,共済組合]の頭数(人数) X 各制度共通の単価[国民年金保険料と同水準] ここで、いわゆる第3号被保険者問題が生じます。 保険料を実際には納めていないのに基礎年金としての給付が受けられるのはおかしいのではないか、という議論です。 この議論が起こるのは、被用者(厚生年金保険・共済組合に入っている人)を夫(妻)に持つ専業主婦(主夫)のときに、◆の式で、夫(妻)の加入する厚生年金保険又は共済年金の頭数に算入するためです。 実際には、この専業主婦(主夫)は保険料を負担しませんから、(基礎年金拠出金を保険料という形で)負担しているのは被用者[本人、事業主]のみです。 このようなしくみであるからこそ、専業主婦(主夫)は、保険料を納めたものと見なされて◯◯基礎年金(老齢、障害、遺族)を受けられることにもなるわけですが、何ともおかしなしくみです。
お礼
大変詳しい解説をありがとうございました! おかげさまで基礎年金拠出金などについての資金の流れが良く分かりました。 「国民年金に拠出する」というより「基礎年金に拠出する」といったほうが正確なわけですね。 ご回答を受けてあらためて本を読み返すと、「国民年金」と「基礎年金」の語が混同されている(同義に扱われている)箇所が少なくありませんでした。 難解な上にいずれ大幅な減額や制度自体の廃止も心配される年金ですが、 加入者である以上はこれからも理解を深めていこうと思います。 ありがとうございました。