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理想気体の状態方程式が成り立つ温度、圧力について
理想気体の状態方程式は、高温低圧の気体の場合に成り立つと思いますが、高温低圧とはどのくらいの値のことをいうのかを調べています。気体によって値は変わると思いますが、代表的な気体の一例、またはグラフなどありましたら教えてください。
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まず荒っぽい考察をします。 (こういう考察であれば高校生でも自分でやることが可能になるのではないかと思うからです。) 気体の状態方程式は気体の状態についての法則です。 気体物質が気体らしい振る舞いをする時について当てはまるはずです。 気体の振る舞いの特徴とはどういうことでしょう。 気体とは気体粒子が互いに無関係に自由に飛び回っている状態であると考えることができます。 互いに無関係に飛び回っているのですから気体粒子の種類には関係がないはずです。 気体の状態方程式が気体物質の種類や、温度、圧力の条件によってうまくあてはまらなくなるとしたら上で考えた気体らしい振る舞いをするという条件がうまく成立しなくなっているからでしょう。 気体が気体らしくなくなる一番はっきりしている現象の例は液体になるということです。 沸点がその変化の起こる温度です。液体になれば気体の粒子がくっついてしまうのですから「自由に飛び回っている」という気体の特徴はなくなってしまいます。気体の状態方程式は成り立ちません。でも沸点でいきなり気体らしさが無くなるのではないでしょう。沸点よりも上の温度でも徐々に「自由に飛び回っている」という運動の特徴はなくなってきているはずです。分子と分子がくっつくためには分子間力が必要です。沸点に近くなると分子間力の影響が徐々に出始めて自由な運動からずれてくると考えればいいことになります。 こういう風に考えると高温とか低温は沸点に対して高い温度とか低い温度のことだということになります。 沸点が100Kの物質にとっては常温は高温になりますが沸点が300Kの物質にとっては常温は低温になります。 ここまではいけますか。 沸点は圧力によって変わります。 水の沸点は100℃だということは1気圧のもとでという条件付きでの話です。 気体を圧縮すると液体に変わるという現象も起こります。 圧力も温度も変化するという場合にも当てはまる基準になる状態として採用されているのは「臨界点」という状態です。臨界点での温度、圧力、体積を臨界温度、臨界圧力、臨界体積と言います。この温度以上であれば圧力を大きくしても気体を液体にすることができなくなります。気体と液体の区別が存在するのは臨界温度以下の温度でのことになります。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%A8%E7%95%8C%E7%82%B9 高温とか低圧を臨界温度、臨界圧力を基準にして考えます。 臨界温度の2倍以上の温度で臨界圧力の半分以下の圧力であればかなりいい精度で成り立っています。 臨界圧力の1/10という圧力だとすれば精度がかなり高くなります。 臨界温度よりも低い温度であっても臨界圧力に比べて十分に圧力が低ければ状態方程式は成り立ちます。 いくつかの物質の臨界温度、臨界圧力の値を載せておきます。 H2 33.2K 13.8atm N2 126.3K 33.5atm O2 154.8K 50.1atm 常温、常圧は高温、低圧に当てはまっていることが分かります。 CO2 304.2K 72.9atm H2O 647.4K 218.3atm 常温は高温とは言えませんが臨界圧力が高いために常圧はかなりの低圧であると考えていい状態になっています。 水蒸気を理想気体として扱っても大きなずれはないだろうというのは臨界圧力がものすごく高いということから出てきていることになります。 1モルの気体についてのz=PV/RTを「圧縮率因子」と呼びます。 理想気体では温度、圧力によらずz=1です。理想気体からのずれはzの値が1からどれだけずれるかで知ることができます。 臨界温度、臨界圧力に対する比で温度、圧力を考えるとzの変化が物質によらなくなるという性質は「対応状態の原理」という名前で呼ばれているものです。 「圧縮率因子」、「対応状態の原理」で調べてもらうといいでしょう。 大学生向けの物理化学の教科書にも図が載っています。 アトキンスの本(第8版)では図1.19 バーローの本(第6版)では図1.12 が「対応状態の原理」の説明の図です。
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- manyuaru
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どのくらいの値というのは、許容できる有効数字、分子の大きさ、分子間相互作用により異なります。だから表すことができません。 下記のwikipediaでは、 「理想気体の状態方程式は高温あるいは10atm以下の低圧ではかなり有効である。気体分子間の間隔が大きいほど、相互作用も気体分子そのものの体積も小さくなるからだ。」 と書かれています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%8A%B6%E6%85%8B%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F あるいは下記のサイトでは、 「例えば、水素・窒素・酸素などの 『 無極性分子 』 などについては、常圧常温化でよい近似を示すことが知られている。無極性分子の場合、分子間の相互作用が小さいので、理想気体として扱うことができるのである。」 と書かれています。 http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/kagakuneturiki/vandel.html 理想気体でない気体は実在気体といいます。 理想気体の状態方程式PV=nRTをより実在気体に近づけた式があり、ファンデルワールスの状態方程式と呼ばれています。 上記サイトにある{P+(n^2*a/V^2)}*(V-nb)=nRTがそれです。 下記のサイトではファンデルワールス状態方程式を用いて二酸化炭素をグラフ化しています。 http://fnorio.com/0105van_der_Waals'_equation_of_state1/van_der_Waals'_equation_of_state1.htm このサイトにはaとbのファンデルワールス定数が載っていますので、それを参考にご自身で「理想気体の状態方程式のグラフ」と「ファンデルワールス状態方程式のグラフ」とを作って見比べてみてはどうでしょうか?
お礼
manyuaruさん ご回答ありがとうございます。 無極性分子は常温常圧が高温低圧条件を満たしているという点が参考になりました。
お礼
htms42さん 大変よく分かりました。ありがとうございます。 気体の状態を保つ条件で考えるという点が分かりやすかったです。臨界点が基準なんですね。臨界温度の2倍以上、臨界圧力の2分の1以下という目安も大変参考になりました。