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法律について教えてください。
事例1 「取引先の会社が資金難に陥ってしまったことから、以前より取引関係にある当社が、取引先に対して低利で貸付を行いました。しかし、当社の貸し付けにもかかわらず、当該取引先は倒産し、当社は貸付金の回収をすることができませんでした。 取引先に対する貸付にあたって、当社の取締役に法的な責任があるとされる、どういった場面でしょうか。また、貸付にあたり取締役が、情報の不備や不足によって取引先の業務状況について誤解していた場合は、先にあげた法的責任との関係はどうなるのでしょうか。」 事例2 「事業再編計画の策定のために、当社は、当社の属する企業グループの再編の一環として、傘下の子会社を完全子会社とするために、少数株主からその株式を買い取りました。 この買い取り金額について、当社の株主が、その評価額に誤りがあるとして、当社の取締役に対する損害賠償を求めています、 その買い取り金額は時価評価額の5倍の1株5万円でした。 この買取に係わる交渉を担当し、また取締役会決定に参加した取締役として 私には、法的責任はあるのでしょうか。 あるとすればどのような法的責任でしょうか。」 教えてください よろしくお願いしますm(_ _)m
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- aokisika
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取締役は、過失により会社に損害を与えた場合には、責任を負わなければなりません。 事例1 取引先が突然倒産して売上代金が回収できなくなったのであるなら、過失はないと考えられます。 しかし、資金難に陥ったことを知り、資金を貸し付け、そして倒産して貸付金が回収できなくなった場合には、貸し付けの判断に過失がなかったかどうかが問われることになります。 資金難に陥ったということは、常識的に考えて、経営状況が悪化したわけですから、倒産して貸し付けた資金が回収できなくなる危険性が高くなっていると考えられます。 資金を貸し付けなければ、相手企業が倒産し売上債権が回収できなくなって損害を生じてしまうが、貸し付けることによってその会社の経営状況が好転し、貸し付けた資金と売上債権が回収できるようになるので損害が少なくなるはずだ、と判断すべき根拠があったかどうか、が問題です。根拠がないのに貸し付けをしたとしたら、「貸し付けをする」という判断に過失があったことになりますから、取締役は賠償責任を負わなければなりません。 情報の不備により取引先の状況を正しく判断できなかったとしても、資金難に陥っていることは知っていたわけですから、貸し付けに当たっては当然に慎重な判断が要求されると考えられますから、慎重な判断を怠るという過失があったと考えられます。従って賠償責任があると考えられます。 事例2 株式の買い取り価格を、時価評価額の5倍の1株5万円としたことに過失がなかったかどうかが問題です。 常識的に考えて、時価の5倍で買い取るということは高すぎると判断するのは当然です。にもかかわらず5倍の価格で買い取るためには、それだけの必然性がなければなりません。 たとえば、5倍の価格で引き取ることで早期に完全子会社化が行なえ、その結果グループ企業全体の機動性が増加して買い取り価格以上の利益を上げることができると考えるに足る合理的な根拠があること、などです。 5倍の価格で買い取ることを正当化する合理的な理由がないまま5倍の価格で買い取る、という判断をしたのであるなら、『本当なら安く買えたはずのものを高い価格で買い取ってしまうという過失を犯した』ことで会社に損害を与えたわけですから、やはり賠償責任が生じます。