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ピレン誘導体のOLED

論文を読んでいるのですが、基礎力不足のためにまだ以下の2箇所の内容がまだよく理解できません。 なんとか完全に理解したいので、すみませんが少しでも良いので手助けお願いします。全体としては、ピレン誘導体(1,1-ジピレンがDP、1,4-ジピレニルベンゼンがDPBと呼ばれています)をOLEDの発光層に用いて、特性を調べるという内容です。ピレン単体を用いるよりも効率などが良いと書かれています。 ・The shift of emission spectra in films of DP and DPB probably are due to the difference in dielectric constant of the environment and the improvement in the coplanarity of pyrenyl units in the solid state. おそらく、これ以前に出てきた溶液中(クロロホルム)でのDP、DPBのPLスペクトルと、薄膜で用いたときのDP、DPBのスペクトルの違い(薄膜では赤方シフトしている)についての理由を述べているのですが、誘電率の違い(?)によってなぜシフトするのか、また、共平面性の改善とは具体的にどういうことなのかがよくわかりません。 ・EL素子として、ITO/NPB/発光層(DP or DPB)/BCP/Alq3/LiF/Al を作成してスペクトルをはかっているのですが、DPはDPBと違い、HOMO値がNPBよりも低いために、一部のキャリアがNPB層で再結合し、よりブロードなスペクトルになると書かれています。(具体的なHOMO値は、NPBが5.5、DPが5.4、DPBが5.7) 勝手な感覚として、NPBよりDPの方がHOMO値が低いなら、よりDP側にホールが流れやすいような気がしてしまっているのですが、なぜNPB側での再結合がHOMO値の高いDPB素子のときよりも起こりやすいのでしょうか。

みんなの回答

  • Ryofui
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回答No.1

ここまでの質問から、分子の平面性が増してπスタックすると 電子が非局在化(共役が伸びる)してスペクトル的には長波長側にシフトすることがおわかりかと思います。 さて、溶液状態では分子は大量の溶媒分子に囲まれて、比較的自由に運動していて 分子内での立体障害などは避けるようにねじれた構造も自由に取ることができます。 しかし膜状態ではそういった分子個々の事情よりもパッキングした状”態膜全体として”の エネルギーを下げる必要が出てきます。その時には分子が平面的になってパッキングたほうが具合が良い、 つまりπスタックに代表されるような分子間相互作用が大きくなる方向に膜が作られると考えられます。 ねじれた状態では分子を積み重ねることは難しいというのは直感的に理解できるでしょう。 このような膜状態での発光スペクトルのレッドシフトはほとんどの発光材料で見られます。 誘電率に関しては、当然分子の吸収・発光スペクトルというのは外部環境に影響をうけます。 とくに、励起状態のエネルギー準位は分子が置かれている環境(=誘電率)によってどの程度 安定化をうけるかが違います。例えば、励起状態の極性が高いとすると溶媒の誘電率(極性)が 高いほうがより安定化を受けてエネルギー準位が下がり、その準位からの発光がレッドシフトします。 質問の文章では扱っている分子のことをあまり知らないので、よく分かりませんが基本的には クロロホルムと固体状態では分子の置かれている”場”の誘電率が違うのでスペクトルも変化するの だと言いたいのでしょう。 最後の質問も、私は論文の解釈がおかしい気がしますね。どちらかというとLUMOが効いてくるはずです。NPBからDPのほうがむしろホールが流れやすいのは確かでしょうし(DPBとそれほど差がない気はしますが)、それよりもDPのHOMOが高いということはLUMOも低い可能性があって、電子がDPを通り抜けやすく 再結合がNPBで起きるという解釈が一般的だと思います。