北半球の渦が左巻きである理由
前に述べた理論を、全面的に撤回します。流体が中心に向かって流れ込んだ場合、真直ぐ中心に向かうか、左に(時計と逆回り)又は右に回って中心に向かうかの3種類があります。北半球の渦が左回りであることを、北極の例で説明します。北極点を中心として、半径1,000mの流体(円Iの位置)があります。この流体の円周上にある物質Aは、地球が自転しているので、1日に円周I上を6,200m左回りに移動しています。その物質が北極点の方向に流れ込み、半径500mの位置(円IIの位置)に来たとします。その位置にあった物質Bは地球の自転により、1日に円周II上を3,100m左回りに移動していました。物質Bは既に北極点に到達しています。Aが円周II上を3,100m/日の速さで左回りに回れば、渦巻きは起こらず、北極点に立つと流体は真直ぐ北極点に向かって流れ込んでいると観察できるでしょう。しかし、Aは慣性により円周IIの位置に来た時でも6,200m/日の速さで左に回ります。北極点に立つと、Aは3,100m/日の速さで左回りに回ると観測出来ます。今度は、赤道上に半径1,000mの流体(円IIIの位置)を置きます。円IIIの円周上の物質Cは、西から東に(地図で言えば左から右へ)500m/秒で移動しています。Cが中心に向かって流れ、半径500mの位置(円IVの位置)に来た時も右へ500m/秒で移動しています。この円の中心に立つと、流体は真直ぐ中心へ向かって流れ込んでいると、観察出来ます。今度は、北緯45度の位置に半径1,000mの流体(円Vの位置)を置きます。この場合物質D(中心より赤道よりの位置)は、地球の地軸を中心として、赤道側に45度傾いた円周上を、250m/秒の速度で左回りに移動しています。半径1,000mから500mの位置にDが移動すると、半径が354m縮んだ円上を回ることになります。速度はそのままなので、Dは左に回転していると観測されます。逆にEが中心より北極点よりであった場合は、500mの位置に来た時、元回っていた円より半径354m大きい円周上を回ることとなり、逆に右回りと観測されるのではと考えられます。しかし、自転の力に引っ張られてEは、どんどん加速していきます。逆にDは減速する力は働きません。従って、Dの左回り力の方が大きく、結果として左回りになります。南半球では逆の事が言え、右回りとなります。特に、コリオリ力を持ち出さなくても良いのです。
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