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PET中のDEG量について
ポリエチレンテレフタレート(PET)の物性を落とすとされるジエチレングリコール(DEG)量のレベルについての情報を探しています。PETの品質管理上どの程度に管理されているのか、実際にどのように物性に影響するのか、品管で行われる定量方法など、ご存じの方教えてください。
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DEG量のレベルについては、PETが使用される用途によっても変わると思います。 私が以前関係したボトル(いわゆるPETボトル)用PETについて述べさせていただきます。 PET樹脂中のDEG量はおおむね数%程度であり、PETボトルの用途毎(耐熱ボトル(果汁飲料用等)、大型ボトル(焼酎用)等)に規格が決まっており、幅は1%未満であったと思います。(かなり前のことなので記憶が曖昧です。) DEGの物性への影響についてですが、次のことが挙げられます。 (1)DEG量が増えるとPETのガラス転移点が低下する。 すなわち、柔らかくなり、耐熱性が低下する。また、柔らかくなることで、PET樹脂を成形する時の条件が変化するため、成形機の調整が必要となる。 (2)DEG量が変化すると、PETの結晶化速度が変化する。(耐熱ボトルを製造する際には、成形したボトルを金型内で加熱して、樹脂を結晶化します。(これをヒートセットといいます。)このとき、PETの結晶化速度が変化すると、同じ条件でヒートセットした場合でも製造されるボトルの耐熱性が変わってきます。具体的な現象として 内容物を充填した時、ボトルが変形し、同じ量の内容物でもボトル中の液面の高さが違ってきます。)) (3)DEG量が増えると、樹脂の熱安定性が低下する。 具体的にはPET樹脂を成形するため、加熱溶融したとき、樹脂が着色しやすくなる。 最後にDEGの定量方法についてですが、 PET樹脂をアルカリで加水分解後、溶液を中和し、 この溶液中に含まれるDEGをガスクロマトグラフィーで 分析します。 PETボトルの製造法については次のページを参考にして下さい。 http://www.petbottle-rec.gr.jp/basic/ba_made_f.html
お礼
しばらく回答がないのであきらめていたところでした。ありがとうございます。具体的にどんな影響があるのか初めて知ることができました。"ヒートセット"という工程があるのですね、勉強になりました。現場を知らない者が実験室で研究していると、大事なことを見落としてしまうことが多くありそうです。DEG量はかなり重要な品管項目のようですが、これを1%以下に制御して合成するとなると、これにもまた重要なノウハウがありそうですね。改めてよく勉強したいと思います。