朝鮮が漢字文化圏であるというのは、古代から数十年前に至るまでは事実でしたけれど、現在はかなり違っています。昭和40年代くらいまでと現在の韓国の新聞を見比べてみれば一目でわかりますね。
朝鮮の文字の「ハングル」は韓国での呼び名で、北朝鮮では「朝鮮文字」というようです。
これは李朝第4代世宗によって考案され、1446年に「訓民正音」の名で公布された、比較的新しい文字です。
しかし、朝鮮では正統な文字は漢字であり、一般的ではなかったようです。
ハングルが広くつかわれるようになったのは比較的新しく、20世紀にはいってからのことです。
そして、日本の敗戦により朝鮮半島が独立すると、民族意識の高揚によりハングルの使用に拍車がかかるようになりました。
1948年、「ハングル専用に関する法律」が制定され、韓国語はハングルだけで表記するということが決められたのです。
しかし、日本と同様に漢語というか、漢字の熟語を多く使用していたため、同音異義語が多く、表音文字のハングルだけでは不便であり、表意文字である漢字を完全に追放するのは困難です。実際、新聞もハンギョレ新聞のように「ハングル専用」を謳う一部の新聞を除き、意味がわかりにくい単語には、「ふり漢字」(笑!?)をしているところは少なくありません。
特に漢字教育で育った年配層にはハングル専用に抵抗も強いのですが、「ハングル世代」と呼ばれる現在の50代前後の人々は、漢字を勉強したことがなく、自分の名前さえ漢字で書けなくなっているなど、同じ国内でも漢字に対してはいろいろ複雑な事情があるようですね。
北朝鮮の事情はよくわかりませんが、やはり民族意識と、陸続きの隣国中国の文化的影響の排除をねらう意味でも漢字の使用は制限があるようです。
お礼
ご回答ありがとうございました。興味深く拝見しました。 大変勉強になりました。