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ドーパミンの役目ってひとことでいうと何なのでしょうか。
ドーパミンの役目ってひとことでいうと何なのでしょうか。 ドーパミンが足りなくなるとパーキンソン病になるということは知っていたのですが、最近、ドーパミンが快楽物質だということを書いているのを見つけました。 これは、いいことがあるとドーパミンが出て、脳の他のところに働きかけ何かの役に立つ意味でしょうか(とすると、何に?)。それとも、ドーパミンがいいことそのものを伝えるということでしょうか。あるいは、単なる俗説でしょうか。また、パーキンソン病とどう関係するのでしょうか。
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- ruehas
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こんにちは。 脳内で「DA(ドーパミン)」を保有する神経核はA8~A12までの数系統が確認されており、それぞれに役割と受け持ちが違います。 パーキンソン病の原因となるDAは「黒質密部A9」から線条体へ投射され身体の運動機能を調整します。この分泌の不足がパーキンソン病であり、無動、固縮、振戦など様々な運動の障害が発生します。これに対しまして、俗に「快楽物質」と呼ばれているのは「中脳腹側皮蓋野A10」から大脳辺縁系を中心とする「報酬系回路」に投射され、我々動物が報酬行動を選択するために分泌されるDAです。 「大脳辺縁系」は脳内で「情動機能」を司る組織であり、「良いことと悪いこと」の判定を下しているのは「偏桃体」という神経核です。ここが辺縁系の入り口であり、我々にとって「全ての感情の出発点」となります。 偏桃体には身体内外からのあらゆる感覚情報が入力されており、ここではそれに対して「利益・不利益の判定」を下し「快・不快の情動反応」を発生させます。ここで「利益(報酬)」と判定されますと腹側皮蓋野に連絡がゆき、A10神経核から「DAの一斉投射」が行われます。これにより辺縁系を中心として構成される「報酬系回路」の働きが活性化されるわけですが、我々はこの変化を「喜び・快感」と解釈しています。ですから「快楽物質」というのは「良いことと判定されたときに分泌されるDA」というのが正解です。 DAといいますのは「神経伝達物質」の仲間ですが、ここでは情報の伝達ではなく、標的組織の働きを変化させる「修飾性」の伝達物質として使われています。 「修飾性」といいますのは特定の組織に情報を伝達するのではなく、脳内広域に一斉投射され、その働きを活性化したり抑制したりするものです。偏桃体で利益と判定された結果は「Gul(グルタミン酸)」などの「連絡性」の伝達物質によって腹側皮蓋野に送られて来ます。そして、これによりA10核からDAが分泌され報酬系回路の働きが活性化されます。 脳内でこの報酬系回路といいますのは「報酬行動の動機」を発生させるための機能です。つまり、我々動物はこの働きによって利益と判定された物に対して積極的な接近行動を行うことができるわけです。従いまして、報酬系回路におけるDAの機能を一言で括りますならば、それは「生物学的利益に対する動機の発生」というのがその役割ということになります。
お礼
回答ありがとうございます。快楽物質という名前が誤解を呼ぶんですね。動機物質といえば分かりやすいのに。それにしても、扁桃体って相当賢いんですね。どうやって、よいことと悪いことの判定を一気に引き受けられるのか分かりません。