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目を閉じて状態でも頭の中で映像を浮かべることができるのは、なぜですか?
目を閉じて状態でも頭の中で映像を浮かべることができるのは、なぜですか? 脳のどの部位の働きによるものでしょうか?
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こんにちは。 目を瞑って情景を思い描くのは「記憶情報を用いた脳内シミュレーション」です。視覚記憶といいますのは視覚機能によって再生されます。このため、見ているのと同じ感覚が再現されます。 我々の視覚の主要機能といいますのは「後頭葉:視覚連合野」であり、ここでは視覚情報の識別と、視覚記憶の出し入れが行われます。ですが、これだけではまだその方角や位置関係を把握することはできません。実はこの処理を行っているのは視覚連合野ではなく、「頭頂葉:体性感覚連合野」というところです。我々の視覚や記憶はここに送られることによって、それがどのように見えているのかが決まります。 どうして体性感覚が必要なのかといいますと、物の見える方向というのは自分の身体が中心になるからです。頭頂連合野では全身の体性感覚を基にした「三次元空間座標」が作られており、以下のような機能があります。 「内側頭頂間野MIP:網膜中心座標による目標の把握」 「腹側頭頂間野VIP:脳中心座標による情報の統合」 「前側頭頂間野AIP:記憶情報の連結」 目を瞑って机の上に何があったかを思い出してみて下さい。そこにパソコンやコーヒーカップが見えれば網膜座標による目標把握の機能が使われています。次に、自分が今部屋のどの位置にいるのかを考えて下さい。首を動かさなくとも360度が把握できるはずですが、これが脳中心座標ですね。このように、視覚連合野からの記憶情報が頭頂葉の空間座標に送られるならば、そこでは見ているのとほぼ同じ情報処理が行われます。 ただ、記憶というのは曖昧なものであり、中でも視覚情報といいますのは正確に思い出すのがたいへん困難です。ひとの顔などはだいたい思い出せますが、どんな服を着ていたかまでは定かではありません。では、記憶にないのにどうしてそのひとは服を着ているのでしょうか。それは、常識的に考えて服を着ていないはずがないからです。このように、我々の脳は欠落した情報を体験や常識によって勝手に穴埋めしてしまいます。 視覚記憶を再現しているよりは、脳がそれを論理的に組み立てていると言った方が良いかも知れません。このため、我々は様々なシミュレーションや想像を行うことができるわけですが、外部情報が遮断されている限り細かい部分が事実とはだいぶ異なります。ここで辻褄合せに情報の穴埋めが行われるため、それが専ら我々の「思い違い」や「記憶違い」を作り出します。
お礼
丁寧な解説、ありがとうございました。 書きこんでいただいたキーワードをもとに自分なりに 改めて調べてみます。 非常に勉強になりました。