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化学の熱力学・平衡の問題です。
化学の熱力学・平衡の問題です。 (当方現在大学の物理学科2年です) ピストンのなかに温度T、圧力P、体積Vの単原子気体(理想気体)1molがある。 今、ピストンを急に推してこの気体を断熱圧縮した。 この結果体積はV/10になった。 この時気体にした仕事Wを求めよ。 単純な問題のように感じましたが、教授から「A4一枚で」「参考文献なども正確に書け」とのお達しがありました。 科目は物理ではなく化学ですし、どの程度掘り下げて考えればよいかわかりません。 問題の回答及び上記の疑問にお答えくださいませ。 お願いします。
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もし断熱可逆圧縮ならば、圧縮過程の圧が気体自身の圧になり、 CvdT=-PdV とおいて、P=RT/Vを代入して積分できます。iをinitial,fをfinalとして ViTi^(1/(γ-1))=VfTf^(1/(γ-1))...(1) となります。γはCp/Cvです。温度上昇は ΔT=Tf-Ti={(Vi/Vf)^(γ-1)-1}Ti...(2) となります。今の例ではVi/Vf=10です。また単原子気体ならばγ=5/3=1.667になります。これらを代入すると ΔT=(10^(2/3)-1)Ti=3.642*Ti...(2)' となります。そして内部エネルギー上昇は ΔU=CvΔT...(3) であたえられます。単原子気体ではCv=(3/2)R=12.47ですから ΔU=12.47*3.642*Ti=45.42*Ti...(4) です。ΔUを出すには初期温度が必要です。さて、dU=dq-pdVで、dq=0ですからこの値はガスが外部からなされた仕事に一致します。なお、(1)よりPiVi^γ=PfVf^γ=κとおけますので、これを使って直接-PdVを積分しても同じ答えになります。 しかし問題ではピストンを急に押したと言って、準静的過程(あるいは可逆過程)だとは言っていません。もしガス圧Pに対してP≪P'なる圧でピストンを押し込んだら、準静的でなく急速に押し込むことになり、ガスが受け取る仕事はP'ΔVとなります。この時は -∫PdV=-P'ΔV=-P'(αVi-Vi)=(1-α)*Vi*P'...(5) がガスが受け取った仕事であり、内部エネルギー変化でもあります。ここでαはVf=αViで定義しています。終点で温度が定義できる状態にしたならば、 (1-α)Vi*P'=CvΔT ΔT=(1-α)*Vi*P'/Cv となります。Vi=RTi/Piを使えば ΔT=(1-α)(RTi)(P'/Pi)/Cv=(1-α)(RTi)(P'/Pi)/(5R/3) =(3/5)(1-α)(P'/Pi)Ti...(6) あるいは Tf=(1+(3/5)(1-α)*(P'/Pi))Ti...(6)' となります。 もし断熱可逆過程で体積をもとの50%(α=0.5)にするならば、(2)より温度は Tf=2^(5/3-1)Ti=2^(2/3)Ti=1.587Ti...(7) です。不可逆的に急に押し込む(6)'の方ならば Tf=(1+(3/10)(P'/Pi))Ti です。ここでP'=10Piならば Tf=4Ti...(8) となります。因みに終点の圧は断熱可逆ではPf={(Vi/Vf)^γ}Pi=3.175Piに対して、圧力P’=10Piで押し込むときにはPf'=(Tf/Ti)(Vi/Vf)Pi=4*2*Pi=8Piとなります。ガス圧が8Piですから10Piで押し込めていることになります。 不可逆過程の方が温度が上昇することになります。エントロピーが上昇しているはずですが、これは同じ状態にもっていく可逆過程から計算できます。断熱可逆で体積を1/2にすれば温度は1.587Tiになります。ここまではエントロピーは一定です。あとはこれを加熱して4Tiにします。その時に貰う熱量は Q=Cv(4-1.587)Ti です。またエントロピーは ΔS=∫(Cv/T)dT=Cvln(4Ti/1.587Ti) =(5/3)R*0.924 だけ増大しているはずです。 もしα=0.1にしてしまうと問題が出てきます。断熱可逆圧縮では Tf={(Vi/Vf)^(γ-1)}Ti=4.642Ti Pf={(Vi/Vf)^γ}Pi=46.42Pi ですが、不可逆断熱圧縮でP'の圧で押し込むと(6)'によれば Tf=(1+0.54P'/Pi)Ti Pf'=(Tf/Ti)(Vi/Vf)Pi になります。ここでP'=10Piで押し込むと Tf=6.4Ti Pf'=6.4*10Pi=64Pi となります。P'=10Piの定圧押し込みは出来ないことになります。P'をもっと大きくしても駄目で、単純な定圧での押し込みの断熱不可圧縮では体積は1/10にはできないようです。
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- c80s3xxx
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断熱圧縮は,ちゃんと考えるとけっこう計算は厄介だったりします.教科書の式に当てはめるだけなら,誰でもできるでしょうが. しかし,これは物理でも化学でも避けて通ることのできない熱力学の基本問題です.少なくともこの段階では物理も化学もなく,議論すべきレベルは変わりません. まあ,PV^γ が一定になることを証明して,γの意味を議論すれば1枚じゃ収まらないくらい書けるはずですが.
お礼
γの定義は偏微分とかのあたりになるのでしょうか? 確かに熱化学に関しては基礎の部分なのでいずれにせよ必要ですよね。 ありがとうございました。
- htms42
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単純な問題だと思われたのでしたら解けているはずですね。 それを書いていただかないと解答として十分なのか、そうでないのかが分かりません。 >PdVをVから(1/10)Vまで積分するだけです。内部エネルギーについても考える必要はありません。 と言うほど簡単ではないはずです。 内部エネルギーを考える必要がなければなぜ断熱圧縮で温度が上がるのでしょうか。 温度上昇の式の中になぜ比熱比が出てくるのでしょうか。 「参考文献なども正確に書け」と言われているのに「ネットで教えてもらいました」と書くわけにはいかないでしょうからきちんと調べてください。 断熱圧縮についての説明は大抵の熱力学の本に載っています。 物理であれ化学であれ理想気体でやっています。 単原子気体ということで比熱比の値が決まっているというところが一般的な式から1つ具体的になっているところです。
お礼
その比熱比が以前から苦手なのでまったくわからなかったのです。 >「参考文献なども正確に書け」と言われているのに「ネットで教えてもらいました」と書くわけにはいかないでしょうからきちんと調べてください そうですよね…ご忠告痛み入ります。 ありがとうございました。
理想気体なので掘り下げる費用はありません。 PdVをVから(1/10)Vまで積分するだけです。内部エネルギーについても考える必要はありません。
お礼
私もその程度かと考えたのですがどうも違ったような気がしたんです。 ありがとうございました。
理想気体なので掘り下げる費用はありません。 PdVをVから(1/10)Vまで積分するだけです。内部エネルギーについても考える必要はありません。
お礼
二重投稿になってしまったようですね。 ありがとうございます。
お礼
とても詳しく書いてくださってありがとうございます。 jamf0421様の回答をもとにいろいろ調べてみたら無事に書くことができました! お礼が遅くなって済みませんでした。