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電池の等価回路について教えて下さい。
- 電池の等価回路とは、定電圧電源に電荷移動抵抗及び電気二重層容量の並列回路及び電解質による液抵抗が直列に繋がった構造です。
- 電池の放電電圧は時間とともに減少し、その波形は電荷移動抵抗及び電解質による液抵抗の増加によって決まります。
- レドックス反応の電位は一定であり、電荷移動抵抗及び電解質による液抵抗が時間とともに増加することで電池の波形が変化します。
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等価回路以前に,電池の仕組みを考え直すべきでしょう. もっとも単純な例として,ダニエル電池を考えます.この電池の起電力 E は, E = E°+ (RT/2F)ln[Cu2+]/[Zn2+] で決まります.重要なのは,ln の項です. 今,定電流で放電させるときには,当然のことながら[Cu2+]は時間とともに直線的に減少し,同じだけ[Zn2+]が(時間に対して直線的に)減少するわけです. 最初の電池の状態としては,{Cu2+]>>[Zn2+]ですから,放電初期の[Cu2+]の変化は,[Zn2+]の変化に対して小さく,[Cu2+]/[Zn2+]の比は,分母の急激な増加によって小さくなり,そのため,E はまず急降下します.[Cu2+]と[Zn2+]の濃度が比較的近いときは,それぞれが変化しても,比の変化はあまり大きくなく,起電力にはそのまた対数で効くために,結局起電力変化が小さい領域が現れます.最後に,放電末期では,[Cu2+]がなくなってくるために,比の変化は分子である[Cu2+]に支配されるようになり,急激に起電力が落ちます. 数字の例を出しましょう. かりに,初期の [Cu2+]=100,[Zn2+]=1 とします.すると,[Cu2+]/[Zn2+]=100,ln を取れば 4.6です. 反応が1だけおこったとします.すると[Cu2+]=99,[Zn2+]=2 となりす.すると,[Cu2+]/[Zn2+]=49.5,で,この変化は [Zn2+] の変化に支配されているわけです.そして ln を取れば 3.9.このとき,ln の項の最初からの変化量は0.6 あります. 反応が進み,[Cu2+]=51,[Zn2+]=50 になったとします.すると,[Cu2+]/[Zn2+]=1.02,ln を取れば 0.020 です. ここからさらに反応が1進んで,[Cu2+]=50,[Zn2+]=51 になったとすると,[Cu2+]/[Zn2+]=0.98,ln を取れば -0.020 です.この間の変化量は 0.04 しかありません.つまり最初期の変化の1/10以下しか,同じ反応量 (経過時間) に対して変化していないのです. さらに反応が進み,[Cu2+]=2,[Zn2+]=99 になったとします.すると,[Cu2+]/[Zn2+]=0.020,ln を取れば -3.9.ここからさらに1反応が進むと,[Cu2+]=1,[Zn2+]=100 になるので,[Cu2+]/[Zn2+]=0.01,ln を取れば -4.6 です.変化量は 0.6. 以上が,放電初期と,最終期で起電力変化が大きく,途中にプラトー部が生じることの,もっとも根源的な理由です. この変化の理屈は,弱酸の滴定曲線,あるいは緩衝液の原理とまったく数学的には同じです.