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整流回路の理論値
整流回路を使用して、入力にトランスを使用し、負荷抵抗(可変)Rlに流れる電流ioに対する出力電圧Vo(DC)、リプル電圧Vp(AC)を測定しました。また、その出力波形を観察しました。使用した整流回路は、(1)ダイオードとコンデンサに負荷抵抗を接続した回路、(2)CRリプルフィルタ((1)の回路に微分回路と負荷抵抗を接続)、(3)トランジスタを用いたリプルフィルタ、(4)定電圧回路、です。 これらの整流回路を用いたときの、出力電圧とリプル電圧の理論値を求めたいと思っています。 ダイオードを抵抗として考えると、出力電圧(DC)の理論値は求められるような気がしています。この考えは合っているでしょうか? また、(1)の回路では、出力波形にみられるリプル成分の傾きを求め、リプル電圧の理論値が出せると思います。しかし、他の場合のリプル電圧の理論値の導き方が分かりませんでした。 参考書などを調べたのですが、それぞれの回路がどのような特徴があるといったことは書いているのですが、理論値の出し方は載っていませんでした。どなたか教えてください。お願いします。
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(1) の回路でリップル電圧をまともに計算すると以下のようになります(式の導出は省略します)。 ANo.2 の回路はちょっと書き直しました( 信号源の出力抵抗 R を Z としただけです )。 Di Vin ┌─ Z ─ r ─┬──┐Vout ┌──┐Vout │ │i1 │i2 │i1 │i2 信号源 C ↓ RL ↓ C ↓ RL ↓ │ │ │ │ │ └────-─┴──┘ └──┘ (1) 充電時 (2) 放電時 【 コンデンサインプット型整流回路 】 (1) 充電時の出力電圧 ダイオードがONのときの等価回路を抵抗 r、入力信号を Vin = A*sin(ω*t) 、充電開始時(t = 0 )の出力電圧を Vout = V[n] としたとき Vout = [ [ V[n]*{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 } + A*RL*{ ω*C*R*RL*cos(ω*t) - ( R + RL )*sin(ω*t) } ]*exp{ -( R + RL )*t/( C*R*RL ) } - A*RL*{ ω*C*R*RL*cos(ω*t) - ( R + RL )*sin(ω*t) } ]/{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 } --- (1) となります。ただし、R = Z + r です。 (2) 放電時の出力電圧 放電開始時( t = 0 )の出力電圧を V[n+1] とすれば、ANo.2で計算したように Vout = V[n+1]*exp{ -t/( C*RL ) } --- (2) (3) 十分時間が経過したときの Vout (1)の計算では、初期電圧を V[n] と一般化しましたが、最初はゼロ( V[0] = 0 )とおけば、充電期間の最後( t = π/ω ) の電圧は、式(1)で V[n] = 0、t = π/ω としたときの値になります。この電圧は、次の放電の開始電圧に等しいので、その値を V[1] とすれば、その放電期間が終了した時の電圧は、式(2)で V[n+1] を V[1] に置き換えて、t = π/ω としたときの値になります(この計算では各区間の開始時間を t = 0 としています)。この値は次の充電期間の開始電圧となますが、このように、各サイクルの初期電圧はサイクル数が進むに従ってどんどん変わっていくので、最終的なVout の最大値と最小値を求めるのは一見困難です。しかし、十分時間が経過すれば、それらの電圧は一定値に収束するはずです。つまり、充電の開始電圧 V[n] は次の放電の終了電圧に等しくなるはずです。したがって、式 (2) で、 t = π/ω とした値は V[n] に等しいはずなので V[n] = V[n+1]*exp{ -π/( ω*C*RL ) } --- (3) この式の V[n+1] というのは、その前の充電期間の終了電圧ですので、これは式 (2) で t = π/ω としたときの値 に等しいはずです。 V[n+1] = [ [ V[n]*{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 } - A*ω*C*R*RL^2 ]*exp{ -π*( R + RL )/( ω*C*R*RL ) } + A*ω*C*R*RL^2 ]/{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 } --- (4) 式(3), (4) から V[n] = A*ω*C*R*RL^2*exp{ -π/( ω*C*R*RL ) }*[ 1 - exp{ -π*( R + RL )/( ω*C*R*RL ) } ]/{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 }/[ 1 - exp{ -π*( 2*R + RL )/( ω*C*R*RL ) } ] --- (5) V[n+1] = V[n]*exp{ π/( ω*C*RL ) } --- (6) となって、最終的なVout の最大値と最小値が求められました。V[n] < V[n+1] なので、リップル電圧は ΔV = V[n+1] - V[n] = V[n]*[ exp{ π/( ω*C*RL ) } - 1 ] (4) Vout の平均電圧 リップル率の計算には、Voutの平均電圧 Vm が必要ですが、これは、充放電時の波形がすでに計算できているので、それを時間で積分して、積分区間で割った値になります。この場合、積分区間は充電時も放電時も t =0 から π/ω になります(各区間の始まりを t = 0 としているので)。つまり Vm = ω/π*∫[ t = 0 ~ π/ω ] [ [ V[n]*{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 } + A*RL*{ ω*C*R*RL*cos(ω*t) - ( R + RL )*sin(ω*t) } ]*exp{ -( R + RL )*t/( C*R*RL ) } - A*RL*{ ω*C*R*RL*cos(ω*t) - ( R + RL )*sin(ω*t) } ]/{ ( R+ RL )^2 + ( ω+C*R*RL )^2 } dt + ω/π*∫[ t = 0 ~ π/ω ] V[n+1]*exp{ -t/( C*RL ) } dt となります。この積分は難しくありませんが大変複雑な式となります。リップル率は ΔV/Vm で計算できます。
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- foobar
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ダイオードがONしているときの出力電圧、OFFしているときの出力電圧は#4さんが書かれているように、初期状態とOFFからONに移る時刻、ONからOFFに移る時刻が決まれば解析的に計算できます。 が、正弦波入力の整流回路だと、ダイオードがONからOFFに移る時刻、OFFからONに移る時刻は入力電圧だけでなく平滑コンデンサの電圧(と電流)によって変わります。 大雑把には、負荷抵抗が低く出力電流が大きいとコンデンサの電圧低下が大きくなって、ダイオードが早くONし遅くOFFします。結果、ダイオードのONしている期間が延びてOFFする期間が短くなります。これがあるので、全体を解析的に計算するのは難しくなります。 ただし、コンデンサが十分大きく、リプル電圧が出力電圧と比べて十分小さい、という条件下では、ダイオードがONするのは交流電圧が正のピークになった一瞬だけ、残りの部分(半波整流だと交流の一周期、全波整流だと半周期)がすべて放電期間、と近似することができます。 この近似の元だと、#4さん回答にある(2)の式を使って、解析的に出力電圧波形を計算することができて、リプル電圧の理論値(ただし近似)を計算することができます。
お礼
たびたび回答ありがとうございます。 近似できる状態で、近似式を使用すればいいことがよく分かりました。とても参考になりました。
- foobar
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ダイオード整流器の出力にコンデンサを繋いだ回路では、コンデンサの電圧と交流電圧の大小で、ダイオードが導通するか否かが変わります。このため、リプル電圧などを解析的に計算するのはかなり難しくなります。
お礼
回答ありがとうございます。 やはりいろいろな条件があり難しそうですね^^;頑張って生きたいと思います。
- inara
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>ダイオードを抵抗として考えると、出力電圧(DC)の理論値は求められるような気がしています。この考えは合っているでしょうか? ダイオードがONのとき、ダイオードを何らかの等価回路(抵抗、または抵抗+電圧源)で置き換えて、OFFのときは絶縁状態にするような考えでは、十分時間が経過したときの整流・平滑後の平均電圧を計算するのが大変です。半周期ごとに計算モデルが異なり、しかも十分長い時間が経過するまでそれを繰り返す必要があるからです。さらに、充電期間の電圧の式自身がこれまた複雑です(解析的に解けないのでなく式が大変複雑)。しかし、平均電圧でなくリップル電圧なら計算できます。 ご質問の回路はたくさんあって全部説明できませんので、(1) の回路での計算方法を紹介します。他の回路形式でも考え方は同じはずです。(1) の回路は下図のようなものだと思います。充電期間での電圧の式は大変複雑なので、図の(2)の放電期間について考えます。 Di Vin ┌─ R ─ → ─┬──┐Vout ┌──┐Vout │ │i1 │i2 │i1 │i2 信号源 C ↓ RL ↓ C ↓ RL ↓ │ │ │ │ │ └──────┴──┘ └──┘ (1) 充電時 (2) 放電時 【コンデンサインプット型整流回路】 図の回路に信号が入力されてから十分時間が経過した状態の、ある時間 ( t = 0 ) でダイオードが OFF になったとします。この瞬間に、コンデンサの電圧が Vout = V0 になっていたとします(これを計算するのが大変)。コンデンサの電圧と電流の関係は、よく知られているように、Vout = 1/C∫i1 dtの関係がありますが、これを時間 t で微分すると、 dVout/dt = i1/C --- (1) となります。一方、負荷抵抗 R に流れる電流 i2 は、この場合、閉回路になっているので、i2 = -i1 。したがって負荷抵抗の電圧(Vout)は Vout(t) = RL*i2 = -RL*i1 --- (2) 式(1), (2) から dVout/dt = -Vout/( C*RL ) → dVout/Vout = -1/( C*RL ) → ln(Vout) = -t/( C*RL ) + k → Vout = k' *exp{ -t/( C*RL ) } --- (3) t = 0 のとき、Vout = V0 だったから k' = V0 したがって Vout = V0*exp{ -t/( C*RL ) } この放電は、t = 0 から t = 1/( 2*f ) の間まで続くので、 t = 1/( 2*f ) での電圧 V1 は V1 = V0*exp{ -1/( 2*f*C*RL ) } したがって、リップル電圧 ΔV は ΔV = V0 - V1 = V0*[ 1 - exp{ -1/( 2*f*C*RL ) } ] --- (3) となります。 整流・平滑後の平均電圧 Vm が分かれば、リップル率は ΔV/Vm で求められますが、Vm を厳密に計算するのは困難です(回路シミュレータなら可能ですが)。 式(3)から分かるように、リップル電圧を小さくするには、exp( ) を1に近づければいいので、f*C*RL を大きくします。C と RL が大きいと良いのは分かりますが、単なる放電回路なのに、f を大きくするのは不思議に思えるかもしれません。f が大きいと放電期間が短くなるので、十分放電しきらないうち(電圧があまりさがらないうちに)に次の充電サイクルが来るため、結果的にリップル電圧が小さくなるのです。
お礼
回答ありがとうございます。 とても詳しく説明していただき、リプル電圧の求め方がよく分かりました。
- himara-hus
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>これらの整流回路を用いたときの、出力電圧とリプル電圧の理論値を求めたいと思っています。 定量的に求めるのは、なかなか難しく面倒ですよ。 >(1)の回路では、出力波形にみられるリプル成分の傾きを求め、リプル電圧の理論値が出せると思います。 こういう出し方では難しいと思います。 整流波形をフーリエ級数展開して、DC、基本リップル周波数成分、n倍リップル成分に分けて後計算する必要があります。 (2)は、上記を入力して、出力を計算すればよい。 (3)、(4)はその回路の原理を理解して計算しなくてはいけません。 どのような回路かで変りますが、トランジスタのベース電圧がどの程度リップルが入ってくるか(リップルフィルタでの減衰や定電圧ダイオードの特性などから)、そしてトランジスタのhFEから計算します。 値が非常に小さくなりますので、データ(定電圧ダイオードの特性やトランジスタのhFE)の誤差などが大きく影響するとは思います。
お礼
回答ありがとうございます。 確かに定量的には求めるのは難しいので、近似して求めてみたいと思います^^;
お礼
たびたび回答ありがとうございます。 近似を使わないとこんなに複雑な式になるんですね^^;リプルを考えるとき、いろいろな要因を考えなければいけないことがよく分かりました。