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高周波等価回路の回路変換とその特徴について
- 高周波等価回路において、回路変換が行われる際にはいくつかの特徴があります。
- 1段目の増幅器と2段目の増幅器の回路構成が異なる理由と、抵抗RL1と抵抗RL2が異なる形で接続される理由について
- 変換前の回路と変換後の回路の違いについて、特にRE1とRE2の接続の違いと、赤で◯を付けた部分の接続について説明します。
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No.2です。 知識不足で良い回答ができませんが、辛抱してお読みください。 "負帰還"についてですが・・・ >>>負帰還の効用は、(1)周波数特性がフラットになる。(2)歪を軽減することができる。(3)雑音を軽減することができる。(4)出力インピーダンスを低くすることができる。・・・です。 帰還率βで、出力電圧を入力にマイナスに帰還すると、 V2 = A*(V1 - β*V2) V2: 出力電圧 A: 増幅器の裸利得(オープンループゲイン) β: 帰還率 変形して、 V2/V1 = A/(1 + A*β) A*β≫1ならば、 V2/V1 = 1/β となります。これが負帰還増幅器の主要な部分を語っています。 負帰還をかける前の増幅器の増幅度Aは周波数特性を持っていたり、高調波ひずみをもっています。また、電源電圧の変動や周囲温度の変化によりAの値が変化します。 負帰還をかけた増幅器では、V2/V1 は1/β となって、Aのもつ周波数特性や、高調波歪の存在に左右されず、動作環境により増幅度が変化しない安定な増幅器が実現できるのです。 β=1(100%帰還)なら、V2/V1=1、β=1/10ならV2/V1=10 というように増幅度を自由に設定することができます。 ただし、すべて、A*β≫1が前提です。 ここで、負帰還率の式についてですが、これは電圧利得の逆のVin/Voutで求められるのでしょうか。 >>>違うと思います。 ご質問の回路の帰還率をどのようにして求めるか考えがまとまりません。No1で回答の帰還率の式は、どうも間違っているような気がしてきました。 Rπを無限大にすると、帰還率がゼロになるからです。実際、ご質問の回路はRπが無限大の時帰還率が1になると思います。よって、No.1 の時の回答の帰還率の式はなかったことにしてください。 http://homepage1.nifty.com/dcr/dcmic/unck/allefzo/allefzo.htm に、極めて巧妙な手法をみつけましたのでごらんください。 このページの図では、電流源がIb*βとなっていて、gm*Vbe ではありませんが、帰還率の考え方は同じだと思います。 ※このページでは、電流源は、Ib(ベース電流)*β {β=α/(1-α)α: 伝達率} ご質問の回路は、gm(相互コンダクタンス)*Vbe(エミッターベース間電圧) で表現されています。 この点に関して、等価回路においてrπ1とRE1がこの様に繋がれている目的は負帰還率を1にするためでしょうか >>>Rπはトランジスタのベースーエミッタ間抵抗なので、人為的につないだり、切り離したりすることはできません。 RE1の両端の電圧がV2ですが、それがどのように入力側に帰還するか、視覚的に考えてみました。V1は、上側がプラス、アース側がマイナスとします。 V2は、上側(エミッタ側)がプラス、アース側がマイナスとなります。 V1とV2を電池と考えてください。 エミッタから辿っていくと、エミッタがV2電池のプラス極アースがV2電池のマイナス極、アースはV1電池のマイナス極につながり、V1電池のプラス極がRsにつながっています。 簡略化すると、{V1「+」-「ー」}-{V2「ー」-「+」}と逆につながっていることがわかります。= V2が100% 負帰還 2段目の出力側に繋がっている容量の役割について、 これは出力電圧の脈動成分をカットするのが目的であると書かれていますが、 >>> No.2の回答の次の部分ですね? ------------------------------ 実際の回路では電池ではなく電源回路が用いられることが多いと思いますが、回路の出力側には大きい容量が接続されています。出力電圧の脈動を小さくするためのものですが、容量が大きいため、図の回路に使われているどの抵抗よりインピーダンスが極めて小さいので、ゼロとみなして差し支えありません。 ------------------------------ 「回路の出力側には大きい容量が接続されています」という記述があいまいでした。 「電源回路の出力側には大きい容量が接続されています」とすべきでした。ご質問の回路の二段目出力側のC4 のことではありません。 Vccは交流的にはアースと導線でつながっているのと等価であることの説明のために、電源回路の出力側に接続されている容量を引き合いに出しました。出力電圧の脈動成分をカットするというのは、電子機器によく使われるスイッチング電源は数10kHz~100kHz で動作していますので、動作周波数が脈動として出力に現れます。それを抑制するためにインダクタと容量の大きいコンデンサで構成されるフィルタが使用されますが、「そのコンデンサが電源の出力インピーダンスを小さくすることに役立っている」と言いたかったのです。 なお、C1, C3, C4 は直流分をストップするために入れられるものなので、等価回路には現れません。(CE2は交流分をショートするため、これがないと、負帰還がかかります。) C1, C3, C4 の値は、1/ωC の値が、つぎに接続される抵抗の値より十分小さい値となるように決められます。
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- m_and_dmp
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No.1 です。 電流源gmVBE1から出た電流の経路を、"Vccが交流的にアースと考えて追っていくと電流源→RE1→アース→RL1→電流源に戻ってくる"と書かれていますが、 Vccが交流的に接地とみなせるのは、Vccに対して容量C1が並列に繋がれているためでしょうか。 >>>容量C1 ではなく、電源そのもののインピーダンスが非常に低いからです。 図では、Vcc源は電池で記述されていますが、理想的な電池の出力インピーダンスはゼロです。交流的にはアースと直接つながっているとみなされます。 実際の回路では電池ではなく電源回路が用いられることが多いと思いますが、回路の出力側には大きい容量が接続されています。出力電圧の脈動を小さくするためのものですが、容量が大きいため、図の回路に使われているどの抵抗よりインピーダンスが極めて小さいので、ゼロとみなして差し支えありません。 また、逆にVccが交流的に接地されていない場合は、電流源gmVBE1の流す電流の経路は上記のものとは異なるものになってしまうのでしょうか。 >>>電源のインピーダンスが図の回路のどの抵抗に比べても無視できるほど小さくない場合は、トランジスタに流れる電流のルートに電源のインピーダンスが直列に入ったものとして考えなければなりません。しかし、そのような電源では、回路の動作が不安定になったり、期待した動作をしなかったりして、使い物になりません。電源のインピーダンスが高かったり、電源から回路までの線の長さが長くて、線の部分がインピーダンスを持つようなら、回路のVccとアース間にコンデンサを接続します。 次に、RE1とRE2についてです。 RE2はCE2は並列に繋がれていて、この部分の合成インピーダンスは、 1/{(1/RE2)+(1/jωCE2)}=R/{1+jω(CE2)R}になっていると思います。ここで高周波ω→∞にするとこの合成インピーダンスは0に近づくので、この部分は導線と等価とみなし、RE2は変換後の回路には現れないという事でしょうか。 >>>そのとおりです。ω→∞ではないとしても、例えば周波数が1MHz 、CE2の容量が1μFとすると、CE2のインピーダンス(リアクタンス)は0.16Ωくらいになりますのでゼロとみなしてさしつかえないと思います。 一方のRE1についてですが、このRE1には交流成分を多く含む電流も流れているのでしょうか。 それとも、交流成分を多く含む電流はC3方向に流れ、RE1には、直流成分を多く含む電流が流れているのでしょうか。 >>>「電流がC3の方向に流れるだろう」ということは考えていませんでしたが、言われてみれば、C3の方向にも流れます。C3から右側と見たときの抵抗はRE1の値にに比べかなり大きいのでC3に向かう電流はRE1を流れる電流に比べ無視できると考えていましたが、等価回路には、(R12//R22)//rπ2が書き込まれていますので、おっしゃるとおりC3の方向に流れる電流を無視してはいません。私の考えが少々乱暴だったと思います。 なお、等価回路では、直流分は考慮しません。「gmVBE1の向きが上向きになっている」ということから直流的なイメージがありますが、次のように考えてみてください。 入力電圧は交流ですので、常に変化しています。「入力電圧が上向き(アースに対してプラス)で、値が最大(V1)になったとき、電流源の向きが上向き(回路に示されている↑の向き)になるように回路が動作する」ということです。入力電圧が反転してマイナスに振れた時は、電流源の電流の向きも反転します。 最後にこのRE1とrπ1が繋がっている理由について、RE1にかかる電圧がrπ1と経由して入力側に負帰還され、負帰還率が(RS1//R11//R21)/((RS1//R11//R21)+rπ1)と書かれていますが、この『負帰還』という言葉を私自身勉強不足で聞いた事が無く、調べてみますと、"入力側と出力側を比較する事により、所望の出力電圧を得ることをフィードバック制御といい、特にネガティヴフィードバック(負帰還)と呼ぶ"と書かれていたのですが、いまいち意味がよく分かりませんでした。もし宜しければ、この負帰還そのものについて教えてください。 >>>きちんと説明できるかどうか自信がありませんが、やってみます。 負帰還とは、出力電圧の一部または全部を入力側に、入力電圧の向きとは逆向きに帰還することです。負帰還をかけると、入力電圧による作用が低減~帳消しにされ、電圧増幅度が「負帰還をかける前の電圧増幅度」(裸利得とか、オープンループゲインと呼ぶようです。)より小さくなります。 ご質問の回路の前段では、出力電圧は、RE1の両端の電圧です。入力電圧をかけたことにより、電流源に電流が流れ、RE1の両端の電圧が上がります。すると、トランジスタのエミッタ電圧が上がります。電流源はgmVBE1 ですから、エミッタ電圧が上がればVBE1は小さくなり、結果、電流源の電流が小さくなるように作用します。すなわち、負帰還がかかっているのです。少々乱暴な言い方ですが、出力電圧(RE1の両端の電圧)の全部がエミッタ電圧を上昇させ、入力電圧を帳消しにするのに寄与していますので、帰還率は1(100%)です。 裸利得の大きい増幅器に100%の負帰還をかけると、電圧増幅度は1になります。よって、この回路(前段)の電圧増幅度はおおよそ1です。 「電圧増幅度が1=無いと同じ」ではないのです。この回路は、負帰還(電圧負帰還)増幅器の特性として、入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いので、インピーダンス変換回路として働きます。信号源のインピーダンスが大きい時は有効だと思います。
- m_and_dmp
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まず、「変換後の回路の赤で◯を付けた部分についてですが、なぜこの部分は繋がっているのでしょうか。」につきまして、 >>>VCCは、交流的にはアースと考え、1段めの電流源から供給される電流は、電流源の矢印の向きのとおり追うと、「電流源→RE1→アース→RL1 →電流源に戻る」のルートで流れますので、赤で◯を付けた部分はつながっていなければなりません。つながっていないと、RE1に電流が流れません。むしろ、「RE1と入力側がrπ1を経由してつながっているのはなぜか」と考えるべきです。(後述します。) 「変換前の回路のRE1が変換後の回路で並列に繋がれているのに対して、RE2の方は変換後の回路には見当たりません。」につきまして、 >>>コンデンサがなければ、1段目と同じように「電流源→RE2→アース→RL2→電流源に戻る」ルートで電流が流れますが、RE2にはコンデンサが並列に接続されていますので高周波的にはこの部分のインピーダンスはゼロ(針金で直接つながっているのと等価)です。よって、RE2は等価回路には現れません。 「変換後の回路で1段目の増幅器と2段目の増幅器を比べた時に、2段目の方は電流源gmVbe2が下向きに、・・・・・・1段目の方は電流源gmVbe1が上向きに、抵抗RL1と直列に入っています。」につきまして、 >>>「上向き/下向き」と違っているように見えますが、電流源からRE1またはRE2に流れる電流の方向に着目すると、実は同じ方向なのです。電流源はRE1/RE2の方向に電流を押出、RL1/RL2から電流を吸い込みます。 「RL2は、2段目のトランジスタのコレクタ~エミッタ間抵抗で、電流源VBE2の内部抵抗として並列に入っているのではないかと考えています。」につきまして、 >>>等価回路のRL2は実際の回路のRL2です。トランジスタのコレクタ~エミッタ間の抵抗は等価回路に記入するとしたら、RL2と並列になります。しかし、コレクタ~エミッタ間の抵抗はRL2とくらべて非常に高いので無限大とみなされ、等価回路には現れません。 「RE1と入力側がrπ1を経由してつながっているのはなぜか」につきまして、 >>>等価回路ではRE1、rπ1を経由して、入力とつながっていますが、rπ1 というのは、どこかに説明はありませんか?たぶん、rπ1はベース~エミッタ間の抵抗を表しているものと思います。出力電圧V1 (= RE1の両端の電圧)がrπ1 と経由して入力側負帰還しています。 帰還率は (RS//R11//R21)/{(RS//R11//R21)+rπ1} になります。 ※rπ2 は、2段目のトランジスタのベース~エミッタ間の抵抗だと思います。
お礼
とても分かりやすく、そして丁寧に説明していただきありがとうございます。 最初にrπ1とrπ2についてですが、すみません書き忘れていました。rπ1、rπ2は共にそれぞれのトランジスタのベース~エミッタ間抵抗です。 次にRL2について、これは写真上の回路のRL2そのもので、電流源の内部抵抗にあたるコレクタ~エミッタ間抵抗は別にあり、これは回路に並列に繋ぎますが、RL2に比べてインピーダンス十分に大きいため開放とみなし、変換後の回路には現れない訳ですね。1段目の電流源のコレクタ~エミッタ間抵抗も同様に省かれている事に気がつきました。 そして、2つの電流源の違いについてですが、これもご指摘の様に、それぞれの電流源から出た電流が最終的にそれぞれRL1, RL2を通って再び元に戻ってくると考えると、どちらも同じ方向を向いている事が分かりました。 ここからすみません。質問があります。 まず、◯を付けた部分についてです。 電流源gmVBE1から出た電流の経路を、"Vccが交流的にアースと考えて追っていくと電流源→RE1→アース→RL1→電流源に戻ってくる"と書かれていますが、 Vccが交流的に接地とみなせるのは、Vccに対して容量C1が並列に繋がれているためでしょうか。 また、逆にVccが交流的に接地されていない場合は、電流源gmVBE1の流す電流の経路は上記のものとは異なるものになってしまうのでしょうか。 次に、RE1とRE2についてです。 RE2はCE2は並列に繋がれていて、この部分の合成インピーダンスは、 1/{(1/RE2)+(1/jωCE2)}=R/{1+jω(CE2)R}になっていると思います。ここで高周波ω→∞にするとこの合成インピーダンスは0に近づくので、この部分は導線と等価とみなし、RE2は変換後の回路には現れないという事でしょうか。 一方のRE1についてですが、このRE1には交流成分を多く含む電流も流れているのでしょうか。 それとも、交流成分を多く含む電流はC3方向に流れ、RE1には、直流成分を多く含む電流が流れているのでしょうか。 最後にこのRE1とrπ1が繋がっている理由について、RE1にかかる電圧がrπ1と経由して入力側に負帰還され、負帰還率が(RS1//R11//R21)/((RS1//R11//R21)+rπ1)と書かれていますが、この『負帰還』という言葉を私自身勉強不足で聞いた事が無く、調べてみますと、"入力側と出力側を比較する事により、所望の出力電圧を得ることをフィードバック制御といい、特にネガティヴフィードバック(負帰還)と呼ぶ"と書かれていたのですが、いまいち意味がよく分かりませんでした。もし宜しければ、この負帰還そのものについて教えてください。
お礼
最初にRE2//CE2の部分について、容量がある程度大きく角周波数ω十分に大きい時には、ご指摘の様にインピーダンスは限りなく無視できる値になる事を改めて確認しました。 次に等価回路の電流源の向きについてですが、等価回路では直流成分については考慮していないという事と、等価回路の電流源の向きは入力電圧の向きと関連しているという事を恥ずかしながら全く知りませんでした。しっかりと抑えておきます。 "負帰還"についてですが分かりやすく説明していただき大変助かりました。 負帰還とは、出力電圧の一部または全部を入力側に帰還させて、入力電圧による出力電圧への影響を低減させる事だったんですね。 ご指摘の通り、この回路に入力電圧がかかるとRE1に電流が流れて、RE1にかかる電圧は上昇しますが、この時逆にベース~エミッタ間電圧は減少します。すると電流源gmVBE1の流す電流はベース~エミッタ間電圧に依存するので小さくなり、これを負帰還がかかっていると呼ぶ訳ですね。 ここで、負帰還率の式についてですが、これは電圧利得の逆のVin/Voutで求められるのでしょうか。 等価回路のRS1の左側からRE1の右側までFパラメーターを用いて行列式を作りI1=0とすると、Vin/Vout=1となりましたが、これが負帰還率に等しいのでしょうか。 この点に関して、等価回路においてrπ1とRE1がこの様に繋がれている目的は負帰還率を1にするためでしょうか。つまり、変換前の回路でRE1がこの様に繋がれている時点で、負帰還率が1である事がすでに分かっているので、等価回路では負帰還率を1にするように等価回路の様にrπ1とRE1を繋ぐという事でしょうか。 そして電源Vccについてです。 Vccのインピーダンスが0であるため、交流的に接地されているとみなす訳ですね。また、Vccのインピーダンスが0でない場合は、回路の動作点が変わってしまい不具合が出るので、コンデンサを並列につないで、Vccのインピーダンスを0にするのだと理解しました。 最後に再度質問が多くなってしまってすみません。 2段目の出力側に繋がっている容量の役割について、 これは出力電圧の脈動成分をカットするのが目的であると書かれていますが、具体的にいうとどの様にカットされるのでしょうか。例えばRE2//CE2の部分の容量CE2は、高周波に伴ってインピーダンスを0にし、RE2//CE2の導線と等しい状態にしている事が理解できました。 出力側の容量について、この役割を捉えるための式などがもしあれば教えてください。