クライン・ゴルドン方程式ではなくて、光の波動方程式
(∂^2/∂t^2)E(t,x)=c^2 (∂^2/∂x^2)E(t,x)
でも、光円錐そのもの、つまり
E(t,x)=δ(x-c・t)/2 + δ(x+c・t)/2
を解に持つのは初期条件
E(0,x)=δ(x)
で解いたときですよね?
初期条件として平面波を用意してしまったら、クライン・ゴルドン方程式に限らず、
光の波動方程式でも原点からSpace-likeに離れた点に場が振幅をもってしまうのは当然ではないでしょうか?
というのも平面波:E(t,x)=Aexp±i(kx-wt) は
t=0の初期条件で既に
E(0,x)=Aexp±i(kx)
という風に原点以外の領域(つまり、原点からSpace-likeに離れた領域)に振幅を持っているからです。
数式を使わないで相対性理論を説明をする啓蒙書でも
t=0で一瞬だけ光る点光源(つまり、初期条件E(0,x)=δ(x))
から広がる球面波(つまり、E(t,x)=δ(x-c・t)/2 + δ(x+c・t)/2 )
を用いて議論しますよね?
……………
ただ、ここまで書いておいて申し訳ないのですが...
ではクライン・ゴルドン方程式で
t=0のときE(0,x)=δ(x)を初期条件として解いたら
E(t,x)=δ(x-c・t)/2 + δ(x+c・t)/2
が得られるというかと?いうと、得られないのではないかと思います。
というのもクライン・ゴルドン方程式は質量項のおかげで分散を持つ(波長ごとに微妙に速度が違う)ため、δ(x-c・t)/2 や δ(x+c・t)/2 は指数関数の裾野を引いて(ガウシアンのように)だんだん太くなって行くのではないか?と思います。
つまり、t=0のときE(0,x)=δ(x)の初期条件を用意しても
指数関数の裾野の非常に微小な量とはいえ、光円錐の外側に光速を超えて染み出す成分が発生してしまうのではないか?と。
この話題に関しては
Peskinの「An Introduction To Quantum Field Theory」
http://www.amazon.co.jp/dp/0201503972/
の2.4章「The Klein-Gordon Field in Space-Time」に記述があるのですが、
私にはPeskinの主張は
「染み出しはあるけども、Spaec-likeに離れたxとyについて、場の振幅の交換関係[ψ(x),ψ(y)]を計算すると0になるからxでの場の振幅の観測はyでの場の振幅の観測に影響を与えない。だから因果律には影響しない。」
と言っているように読めました。
私の誤読であってほしいのですが...というのも
[ψ(x),ψ(y)]=0
とは
「xでの場の振幅の観測行為がyでの場の振幅の観測結果に影響しない、つまり地点xと地点yで場の振幅の同時測定が可能である」
ということを意味していると私は思うのです。
(この場合の「同時測定が可能である」の意味は「自由粒子のエネルギーと運動量は同時測定が可能である」というのと同じ意味での「同時測定が可能である」です。片方の物理量の測定行為が片方の物理量の測定結果を破壊しないという意味です。)
だとするならば、地点xと地点yで同時測定の結果「すごい小さい量だけども光速を超える染み出し成分」が観測されてしまうのではないかと...
すみません。
点線以下の部分は私も理解できていない部分ですので点線より上の部分だけを正式な回答としてください。
お礼
返事が遅れたことを、お詫びします。 グリーン関数を勉強して、おっしゃることが、やっとわかりました。 それで、僕の疑問は (x,t)=(X0,0) にあった、粒子の存在確率が光円錐の外で≠0になるか というのではありません。 この場合の存在確率の伝播は、おっしゃるように、光円錐の外では0です。 しかし、僕の疑問は、p=一定の場合、始めからψ(x)が-∞から+∞に広がっているのが 腑に落ちない ということです。 よく考えると、完全性条件<ψ'|ψ>=∫<ψ'|x><x|ψ>dx=∫ψ'*(x)ψ(x)dx =δ(ψ-ψ') ですから、xは-∞から+∞ でないといけないですね。