ATP合成に必要なプロトン量論
私が高校生の頃は(1990年代前半)、ミトコンドリア内膜の運搬によるロスを無視した場合、
1分子のグルコースから2 ATP, 2 GTP, 10 NADH, 2 FADH2が合成され、
NADH + H+ -> NAD+ + H+ + 2 e-
1/2 O2 + 2 H+ + 2e- -> H2O
の間に介在する電子伝達系の過程で、
3 ATP (FADH2由来だと2 ATP)が段階的に合成されるので、
最終的に38 ATPが得られると教科書に堂々と書いてありました。
しかるに現在は化学浸透圧説が定説となり、電子伝達系では、
NADH-ubiquinone oxidoreductaseで4 H+、
ubiquinone cytochrome c oxidoresuctaseで4 H+、
cytochrome c oxidaseで2 H+、
合計10 H+がミトコンドリア膜外に排出され、
そのプロトン駆動力でATP synthaseからATPが合成されると説明されています。
問題はそのATPを合成する際に必要なプロトンの量ですが、生化学の教科書によって答えがまちまちです。
3 H+/ATPだとすると、グルコースから合成されるATP量は41.3分子となり、
4 H+/ATPだとすると、グルコースから合成されるATP量は32分子となります。
現時点でATPシンターゼがATPを合成するのに必要なH+の量論は解決しているのでしょうか?
解決しているとして、そのことについて書かれたreviewはありますか?
いずれかの質問への回答を御願いします。