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葉緑体はなぜ緑色が有効だったの?
科学書を読むのが趣味な一般人です。 陸上に繁栄した光合成は、なぜ緑色ばかりになったのでしょうか? 進化の結果論として、「他の光合成式を主体とする生物より先に陸上に繁栄したから」という回答は無しでお願いします。 たぶん、事実はそうとしか言えないと思うのですが、推測の範囲で何か考えられそうな要因があればぜひ教えてください。空想(妄想)を広げるために、勉強してみたいです。 個人的に気になっているのは、オゾン層形成後の地上に届く太陽光スペクトルです。 【1】葉緑体の利用率がやや劣る緑色の波長付近が、一番高いエネルギー強度を持つこと → 強すぎて使いづらい?? 【2】光子の個数密度で考えれば赤色付近の方が豊富で、励起電子を生産するチャンスが多いこと → 励起エネルギーなら青、励起頻度なら赤、緑は中途半端だった?? (使いづらいとか中途半端という言い方こそ、構造的な理由を見つけないと進化の結果論だという気はしますが……) 興味と意欲はありますが、素人ですので適度に易しい言葉で教えていただけると助かります。どうぞよろしくお願いします。
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- marsablack
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私は学者ではないから解答じゃないけれど、わたしも疑問に思っていて、黒が一番効率がいいのになぜ緑だけを残すのか、それは動物が関係しているんじゃないでしょうか。もちろん花の美しさで虫たちをよぶけれど、バックカラーとして一色だけを残しているとより美しくなります。だから動物を媒体としない海では海藻は黒色が多いですよね。動物の力を借りる陸では全体としても見つけてもらいやすくするために一色だけは吸収してしまうことは思いとどまったのではないでしょうか。
- suiran2
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植物の芽や若葉が赤いものは葉緑体が原因ではありません。ご質問者様の知識の方が正しいものです。 葉緑体が形成される過程では、光は光障害と言いまして葉緑体形成等にも害があります。ですから芽や若葉は、アントシアン系の赤系の色素で光を遮ったり、表皮細胞を細かな毛に変化させ光を散乱させたりしまして光障害を回避しています。葉緑体やその他の酵素が細胞に完全に出来ますとアントシアン系の色素が少なくなり、産毛のような毛も少なくなりまして葉は緑になります。むろん光障害に弱い植物はアントシアン系の色素が少なくなることがなく一年中赤い葉をしています。 赤と青を吸収する理由は、参考URLの何処かに記載されているかも知れません。クロロフィルのポルフィリン環は四角でして二種の対角線で励起されます光の波長が違うためです。光合成細菌の先祖と考えられています熱水噴出口に棲息します高熱耐性菌が熱を感知するために生み出したクロロフィルの元になった分子も熱水噴出口が放出します800~950nmと1,000~ 1,050nmの2箇所にピークを持つものを感知できるようになったものです。 この分子が分子内の共役二重結合の数を変化させて吸収波長を変化させてきました。しかし、ここで赤外線は光合成を行うにはエネルギーが不足し、紫外線ではエネルギーが高すぎて障害が出ますので、可視光線の範囲内で二つの吸収ピークを得るには、分子の構造進化の範囲内では、赤と青が最適だったようです。緑に一方の吸収ピークを持ってきますと他方の吸収ピークは赤外線領域になるか紫外線領域にならざるを得ないからです。
>陸上に繁栄した光合成は、なぜ緑色ばかりになった なっては居ません。 多くの若い植物の芽は赤いです。これも葉緑素(矛盾ぽいが)なのです。 でもなぜ成体では緑が強く赤は弱いのかあまり良い説明を知りません。 多分、赤い方はエネルギーの蓄積効率が悪く、全部成長に使ってしまうので、蓄積に向かないのではないかと想像するばかりです。
お礼
ありがとうございます。 >多くの若い植物の芽は赤いです。これも葉緑素(矛盾ぽいが)なのです。 これは初耳でした。 バラの芽など多くの植物で、若い芽や葉が赤いことは見たことありましたが、あれは葉緑体ではなく、液胞などにある赤色の色素だと理解していました。 また、葉緑体のなかにも緑色付近を吸収する(緑色じゃない)色素がありますが、それらは数量として通常の緑色素に劣るため、結果的に葉緑体自体が赤く見えることはないと考えていました。 多くの陸上植物で葉緑体の赤い時期があるという点について、もっと詳しく知りたいと思いました。オススメの本などありましたら、ぜひ、教えてください。
- Ligandable
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やや怪しくなるのですが, <地上に届く太陽光スペクトル <葉緑体の利用率がやや劣る緑色の波長付近が、一番高いエネルギー強度を持つこと → 強すぎて使いづらい?? へは,このようなところでいかがでしょうか。 紫外線で壊れやすいにせよ,好熱細菌に限らず,様々な環境に適応して 反映してきた「生物」です。おそらく紫外線くらいは利用する生物も出た でしょう ただ,参考URL のリンク先を見ますと,太陽放射に占める紫外線・ 400nm未満における放射強度はそう大きいものではありません。 適応して十分なメリットが無かったのかもしれません。 一方可視光線は侮りがたく,紫外線に次いでエネルギーも量も大きな 線源です。これを利用するものとして,つい動物のご先祖様も よくやったと・・・ 閑話休題 酸化・還元に十分な反応エネルギーをを得るためには可視光線利用が 必須だったと考えられます。 では,なぜ緑を嫌うかというのは一般論。ストロマで二酸化炭素を 固定する酵素(カルボキシラーゼ・ルビスコ)に必要な水素とひいては ATP生産に青色光(光化学反応系IIと電子伝達系)。水素運搬体 NADP・2H生産に赤色光(光化学反応系I)を作るのに必要。 なぜなら共鳴でしょう。 その二つの反応系がよくその2種の 波長を吸収するからです。 これは,「ナトリウムの黒い炎」 http://socyo.high.hokudai.ac.jp/more_html/buturi/news/bsn9705/a06.htm がよいでしょう。高エネルギー状態(励起状態)における物体は励起 エネルギーに相当する波長の電磁波を放出し,非励起状態では,励起 エネルギーに相当する波長の電磁波を吸収しやすいためです。それが 赤と青であったため,共鳴(励起?)を乱す緑をはじくのでしょう。 お酒飲んで解答する場ではありませんね 乱文ご寛恕 ではでは
お礼
ありがとうございます。 青と赤の波長での励起エネルギーがそれぞれ、 合成の過程でちょうど良かったということですね。 これは反応系と吸収色の関係に、一種の構造的制約があるということでしょうか? 「反応系において、青と赤の吸収が最適だったから緑が繁栄した」ということは、 ATP生産などを実現する反応経路が複数ありえても、緑波長の励起エネルギーを使う経路は存在しなかった、あるいは存在しても効率に劣った。従って、海中のように可視光が減じられる環境を除いて、普通の地表では「赤と青を吸収する緑色植物が必然的に勝ち残る」とする仮説だと理解しました。その通りであれば、緑色って凄い! その辺をさらに勉強してみたいです。 黒い炎、面白いですね! ありがとうございました。
- suiran2
- ベストアンサー率55% (1516/2748)
下記サイトが参考になりましたなら… ○熱水生物群集の成り立ち http://www.photosynthesis.jp/nessui.html ○光合成質問箱 http://www.photosynthesis.jp/faq.html
お礼
園池先生のサイトは、私も大好きです。 いただいたリンクのページはまだ読んでいなかったので、とても参考になりました。 改めて読んでみると、緑色素の光合成生物が陸上に繁栄したことについても、「ありえる仮説としては~」といった形で紹介があったようです。 ありがとうございました。
お礼
おおおおおお! 大興奮の回答です。緑の波長を採用しなかったのではなく、二つのピークを持ちその間に谷ができるのは仕方ないという進化的な条件下で、可視光の赤と青を捉えたということですね。 二又フォーク状にピークを選択するなら確かに、太陽光スペクトルのなかで緑色付近のエネルギー強度が最も高いとしても、そのサイドを取った者のほうが吸収できるエネルギーは多くなりそうです。面白い! クロロフィルのポルフィリン環については、中心の金属元素以外はヘモグロビンにそっくりだとかそういう話題で聞いたことはありましたが、もっと詳しく学んでみたいと思いました。励起される仕組みや、それと構造の関わりなど、本を探してみたいと思います。オススメがあればぜひご紹介ください。ありがとうございました。