- ベストアンサー
検閲?小林秀雄 「批評と人生」
小林秀雄の著書で、 タイトルの一部と出版社名の削り取られた本を見つけました。 ずいぶん前に家族が古書店で入手したものらしく、 「批評と**~**のことば~」**書房 と**の部分が全ページ消されています。 おそらく「批評と人生」という題だと思うのですが、なぜこのように検閲されているのでしょうか? 《人生》という単語がどういう理由でひっかかったのか不思議です。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
今晩は。 この本は番町書房から出されていました。が、調べてみるとこの出版社からの刊行は1980年代後半で終わっています。確実なことはウェブの検索では判りませんでしたが、どうやらその時期に倒産したようです。 とすると倒産後に在庫を処分された際、なんらかの意図で本の一部を改竄して廃棄したものではないでしょうか。古紙としての廃棄だったとすれば、市場での流通を防止するために、題名の一部を削除したり、出版社名を削り取ったりしたのではないでしょうか。 出版社が倒産した場合、その在庫を非再販本として古書市場に出す場合もあります。30年ほど前に虫プロが倒産してしばらくして、神田の古書店でこのようなものを扱う店では店頭に20種以上の漫画単行本が並んだことがあります。 一方そのような再流通の手間を掛けることすらせずに、「潰し」という古紙再生用に回されてしまうことも少なくありません。私の推測ですが、その本はこのような処分品の中から助け出されたのかもしれません。このような本の山の中からごく少数を関係者が持ち帰ることは良くあったことのようです。或いはこの本に関して言うと、山の一部を題名等の削除をすることで非再販ルートに回すことを認められたのかもしれません。 結局真相は実際の関係者でなければ判りません。本の世界の裏側にはこんなこともあるのだということの一例でしょう。 以前何かでこのような再生工場行きの本に関する話を読んだことがあります。それは出版社に勤めていた人が書いたものだったかと思います。自社の出した本の山から、再生用にカバーや厚紙の表紙をむしり取る作業を延々と続ける。それは悲しく、辛く、空しい作業だった。こんな内容でした。
お礼
大変わかり易く詳細に教えていただきありがとうございます。 家族で興味深く拝見いたしました。 出版というものの側面を考えると、感慨深いものがあります。