K.マルクスの「資本論」の訳書を列挙致します。
版元品切等もあります、大きな図書館等で借りて下さい。
(1)高畠曽之訳 改造社、未来社 ・・・歴史的な訳書。<版元が消滅?> 青空文庫に所収予定。日本で最初の完訳の最終改訳版。
訳文が日本語としては素直だが、兎に角古い。誤訳も少なくない。(初訳は大鐙閣、而立社版、改訳版は新潮社、再改訳版は改造社、未来社、東洋書館などはそれの再版)エンゲルス版の訳
(2)宮川 實訳 学習版、所々に参考となる文書が入っている。<絶版> ヴェルケ版の訳。
(3)長谷部文雄訳 青木文庫、青木書店、角川文庫、河出書房 <絶版?> アダラツキー版の訳だがカウツキー版などと原文を校合している。(元日本評論社を改訳したもの)
上記高畠訳の誤訳や論理的の不都合の多さに新たに稿をおこしたもの。国際的に高い評価を得ているが、少し文章が硬く読みにくい。
(4)岡崎次郎訳 国民文庫(大月書店) <版元品切?>
ヴェルケ版の訳。
大月書店のマルクス・エンゲルス全集に収めた訳を更に改訳したもの。
(5)向坂逸郎訳 岩波文庫、岩波書店 <単行本は絶版?>
アダラツキー版の訳をヴェルケ版で改訳したもの。
上記、長谷部訳と並んで行われたもの。大内兵衛は訳していない。
学術的に厳密なものは、長谷部文雄訳。読み易いのは向坂訳或いは岡崎訳。
未完の訳。松浦要訳(大正期、訳書の嚆矢、2冊で中絶)、
生田長江訳(大正期、1冊のみ)上記松浦訳の誤訳が多いために高畠訳が出来る迄の間に合わせにだしたもの。当時の評価概ね好評。
河上肇、宮川實共訳(岩波文庫、改造社:いづれも中絶)。カウツキー版の訳。(昭和初期)
他にカウツキー版の本文写真版に邦訳をつけた対訳本(白揚社)もあるが、中絶で激しく入手困難。(戦前)
鈴木鴻一郎ほか訳 中央公論社 アカデミー版の抜粋訳。
英語が良く出来るのならば、英訳本で読んだ方が判りやすいとも云われています。
仏蘭西語版の第一巻は、マルクス自身が翻訳の校閲を行いそのために、独逸語版改訂をしたと云うものです。
御参考にならば幸甚です。