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毛管凝縮がわかりません
毛管凝縮が,バルクより低圧で凝集すること, というのは調べてわかったのですがなぜバルクより低圧で凝集するのかがわかりません. ネットの説明だと表面張力により蒸気圧が低くても凝集するとあるのですが,表面張力は凝集してから初めて形成されるもので,凝集する理由にはなっていないと思います.わかる方がいたらよろしくお願いします.
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>つまり,表面で分子レベルで水が凝集しており,毛管レベルのrにな >るとσ/rの場合のrはものすごく小さく,表面張力が強くなり,その >結果蒸気圧が下がり,凝集するという理解でいいでしょうか? ちょっと違います。水の表面張力は変化しません。毛管凝縮は曲がった界面の圧力差により生じます。界面の形状が球面の一部で、水と固体の接触角がθの時 P1-P2=2σcosθ/r...(1) です。接触角は水滴を固体の上に落としたときの水玉の水面と固体の為す角です。よって接触角が大きいものはぬれないのです。テフロンなどは丸い水滴になり、接触角は90°より大きくむしろ百数十度になります。こんなものは毛管凝縮は起きません。毛管凝縮が起こるためにはθが90°より小さいもので、なるべくゼロに近いものがよいのです。σは水の表面張力、P1は球面の内側、P2は球面の外側です。風船の張力はいわゆる表面張力とは挙動が違いますが、Imageは似ていて、凹側(内側)が圧が高く、凸側(外側)は圧が低くて表面の張力でつりあっています。 さて、気相に蒸気圧(そもそも毛管に凝縮が起こるには、そこに凝縮できる蒸気圧が必要です。)があれば、それに従って固体に物理吸着は起きます。蒸気圧vs吸着量曲線(吸着等温線といいます。)は、飽和蒸気圧下であれば際限なく上がることもありえます。梅雨時に壁がぬれたりしますね。これは吸着が凝縮に進んだものです。 もし管の内側に多分子層吸着が起こると、管の内側に薄い液相ができるのと同じで同時に内径rはじわじわと小さくなります。管の場合圧力差は ΔP=σcosθ(1/r+1/∞)...(2) です。(2)に書きましたように、もともと毛管圧は主曲率半径の逆数の和に界面張力を掛けたものです。(2)でrは管の半径、∞と書いたのは管の長さ方向の曲率半径で管がまっすぐならば半径∞です。 勿論程度問題で管の径が太ければ、薄い水の吸着層が出来るだけです。しかし、毛管凝縮レベルのrなら吸着が進むにつれてrは小さくなり、(2)に従ってΔPが大きくなり、さらに凝縮が進み管を水がうずめてしまうのです。 >あと,もうひとつ質問なのですが,物理吸着でwikiを調べてみたらミク >ロ孔の場合は理解できたのですがメソ孔の場合の気体から液体への相転 >移のところがよくわからないので教えていただけますか? Wikiの話で申せば、これまで書いてきた毛管凝縮の説明がメソ孔の話です。ここでは、やや粗視的なImageが有効で、(繰り返しになりますが)曲がった界面の両側での圧力差に基づいて議論できます。そして物理吸着が多分子層で進むとき固体表面に付く水が液相的で(凝縮に近い)、吸着する場所が径の小さい毛管内部ならば毛管凝縮に繋がって行きます。 「相転移」ということばをWikiで使っているのは、気相の水が多分子層吸着して吸着層として重なってゆく時、その層が薄層の液体の水に近い、つまり液化しているようなものだ、といっているのです。(気体の水が液体の水になる凝縮は相転移です。) ミクロ孔は、径が直径が2nmより小さいところです。物理吸着においては分子の大きさは、たとえば水分子なら分子断面積は0.11 nm^2程度、窒素なら分子断面積は0.16 nm^2程度です。したがって、分子径という意味ではおよそ0.3-0.4 nmと評価できます。これが直径2 nmより小さい径に入るのですから、界面とかいう描象は適当ではありません。これは分子と個体表面のあいだの力について別の計算をして決めるもので、分子は固体内の空孔に分子として充填されていくものです。これはいわゆる毛管凝縮ではありませんね。
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>なぜ凝集したものと平衡状態になるのか教えていただけますか? 哲学的な答えになってしまいますが、科学では「可能性のあるもの」は全て起こりうるのです。 その結果エネルギー的に有利な物は安定に存在し、不利な物は時間と共に消失し、充分長い時間の後に到達する「平衡状態」では安定度によって分配されてしまいます。 ある温度におけるボルツマン分布などが良い例です。
お礼
おっしゃっていることの意味はわかりますが,それは毛管凝縮に限らない一般論で,毛管凝縮の場合どういう過程を経て平衡状態にいたるのか具体的に教えていただけますか?
- jamf0421
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物理吸着という現象があります。van der Waals力などで進行し、多分子層吸着が起こり、これは凝縮に近いものです。 仮に両端が開いた管でも内側に多分子層吸着吸着が進行します。管の半径がrとするとその界面の主曲率半径は、rと∞になります。円筒形に曲がった面に多分子層吸着から凝縮しつつある水側は気相より圧力差、(水の表面張力をσとして) ΔP=σ(1/r+1/∞)=σ/r だけ低い圧になります。そして多分子層吸着が進むほどrが小さくなって行きますのでより凝縮がおきやすくなります。これにより管に速やかに水がつまり、今度は両端での主曲率半径は二つともrになり ΔP=2σ/r(接触角をゼロとしています。) となってバランスします。
お礼
回答ありがとうございます. だいぶ理解できました. つまり,表面で分子レベルで水が凝集しており,毛管レベルのrになるとσ/rの場合のrはものすごく小さく,表面張力が強くなり,その結果蒸気圧が下がり,凝集するという理解でいいでしょうか? あと,もうひとつ質問なのですが,物理吸着でwikiを調べてみたらミクロ孔の場合は理解できたのですがメソ孔の場合の気体から液体への相転移のところがよくわからないので教えていただけますか?
>表面張力は凝集してから初めて形成されるもので 平衡ですからそれで良いんです。
お礼
なぜ凝集したものと平衡状態になるのか教えていただけますか?
お礼
丁寧なご回答をありがとうござます. おかげで理解することができました.