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積分可能条件について
積分して得られる関数が一価である為の条件が積分可能条件であると言うのは正しいのでしょうか? 例えば簡単には以下の状況を想定しています。 df(x,y,z)= u dx + v dy + w dz fが積分して得られる関数、u,v,wが被積分関数とここでは書いています。 具体的には弾性体力学のひずみ(被積分関数)-変位(積分して得られる関数)の関係において出てくる適合条件は三変数における積分可能条件に相当しますが、この条件はひずみを積分して計算した変位が一価である為の条件であると書いてある本がありました。 他にも以下のようなことが疑問です。。。 1.積分して得られる関数が多価関数ならば積分可能条件を満たされないといえるか? 2.積分して得られる関数fが三変数(x1,x2,x3)以上の場合、∂^2 f/∂x_i∂x_j -∂^2 f/∂x_j∂x_i=0 (i=1,2,3, j=1,2,3)の一回微分を非積分関数で置き換えたものは積分可能条件として十分か? また、この話が何らかの形で不連続性と関係がありましたら、その関係についても教えていただけると幸いです。 表現が下手くそですみませんが、よろしくお願いいたします。
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- niwa0617
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現在、博士課程にて、建築学を専攻しているものです。もう解決しているかもしれませんが。。。 今、丁度同じ疑問から出発して、色々調べています。間違っているかもしれませんが、自分の理解の範囲内で頑張って説明してみます。(的外れかもしれません) 歪が変位の勾配であれば、勾配の回転は必ず0ですので、一階微分の関係式になります。(また、歪は変位の勾配の対称成分です。)サン・ブナンの歪適合条件式と呼ばれているものは、2階微分の関係式なので、それとは異なります。棚橋先生の参考書には、∇×E×∇=0と書いてあります。 歪テンソルは対称テンソルですので、例えば二次元の場合、第一基本形式ds^2=e_1dxdx+2γ_12dxdy+e_2dydyと書くことが出来ます。このように、第一基本形式から出発する学問をリーマン幾何学といいます。サン・ブナンの歪の適合条件式は、第一基本形式の与えられたリーマン多様体の曲率テンソルが0という条件であるようです。そう考えると、第一種リーマン・クリストッフェルの記号の一階微分係数の関係式であるように見えてきます。また、変位が3成分、歪が6成分。3つ条件が必要なわけですが、歪の適合条件式は6つ。多すぎるワケです。実は、リーマン曲率テンソルの成分が3次元の場合6つで、ところが、ビアンキの恒等式というのが3本立られて、それで、つじつまがあう、ということのようです。とにかく、棚橋先生の弾性力学の本を読むことを勧めます。
- grothendieck
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ベクトル解析の言葉で言えば、 「ひずみのベクトル場Aが積分可能条件(rot A = 0 )を満たすならばStokesの定理より「穴があいてない」空間内の任意の閉曲線Cに沿ったAの線積分は ∫cA・dl = 0 変位を求めたい2点をこの閉曲線上にとっておけば、この式は任意の経路に沿ってのひずみの積分が同じになることを示している。」ということです。数学的には「穴のある」空間上で考えることがドラームのコホモロジーとして重要になっています。
- grothendieck
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「可縮空間で1-形式φが閉形式dφ=0(積分可能条件を満たす)ならばポアンカレの補題の逆により「ポテンシャル」は1価関数として存在する。」 の対偶をとって 「可縮空間でポテンシャルが多価ならば積分可能条件を満たさない。」 です。ポアンカレの補題により変数がいくつでも同じです。 私ごときものが回答するより森羅万象の深遠な問題に絶句するような見事な見解(誤差関数の不定積分が置換積分でできるとか)を堂々と披露されているお歴々に是非ご回答頂きたいものです。
お礼
xご回答いただいてからしばらく考えてみました。 積分可能条件は多変数でも一形式Φに対してdΦ=0で与えられ、 これを満たせば一形式Φを積分した量∫Φは必ず一価になるということですね。 逆にこの量∫Φが多価であれば、それを微分したΦは積分可能条件を満たさず、dΦ≠0となるということですね。 お蔭様でポアンカレの補題の意味が良く分かりました。 お礼が遅れて申し訳ありません。ありがとうございました。
- grothendieck
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ポアンカレの補題の逆により、星型領域(一般には可縮空間)であれば1-形式が完全形式である十分条件はいわゆる積分可能条件で与えられます。したがって積分して得られる関数が多価関数ならば積分可能条件を満たさないということも言えます。3変数以上であっても同様です。星型領域でなければ高価関数であっても局所的に積分可能条件を満たす例があります。例としてよく挙げられるのは原点を除いた2次元ユークリッド空間上で φ = (1/(x^2+y^2))(xdy - ydx) とするものです。これは「積分可能条件」dφ=0 を満たし、 f = Arctan(y/x) はdf = φを満たしますが、fは多価関数になります。 私ごときものが回答するより森羅万象の深遠な問題に想像を絶するような見事な見解を堂々と披露されているお歴々に是非ご回答頂きたいものです。
補足
ご回答いただきまして大変ありがとうございます。 なるほど、非常に参考になります。 1.多価関数であれば積分可能条件は満たさないについてはOKなのですね! 「多価関数であれば完全形式でない」というのを使っていると考えてよろしいでしょうか?この部分はそういうものなのでしょうか? また、「積分可能条件」dφ=0とありますが、これは微分形式を使った表式ですよね? 普通に計算するとd df=∂_i ∂_j f dx_i dx_jとなってしまうので、∂_i ∂_j f=∂_j ∂_i fと同じものが導出できないので…。 d df=∂_i ∂_j f dx_iΛdx_jであれば基底の反対称性から導出できますが、一般に多変数の場合にdφ=0が積分可能条件と考えて差し支えないのでしょうか? つまり∂_i ∂_j f=∂_j ∂_i fだけで十分なのでしょうか?例えば∂_i ∂_j ∂_k f=∂_k ∂_j ∂_i fなんていう条件が必要ないのか気になるところです。。。 たくさん疑問が出てきてしまって申し訳ありませんが、 もしご存知でしたら是非教えていただければと思います。 ※∂_i:変数x_iでの微分を略記しています。 (i=1,…,n) ※和の規約を使っています。
お礼
なるほど。そのように言えるのは直感的にわかる気がします。 もともとこの質問をさせていただいたのは、 転位などで生じる変位の特異性で適合条件が成り立たず新しい項が出てくる状況と、 電磁場を生む非可積分位相とのアナロジーを考えていたからでした。つまり、転位の力学をゲージ理論として考えられないかと思ったわけです。 ゲージ理論でいうところの磁場または重力(曲率テンソル)が0というのと、転位がない(適合条件を満たす)ことが対応していると考えれば、niwa0617さんの仰っていることはすっきり通ります。 ほとんどそのものですね。 その後調べてみると、転位の話はベリー位相の一種としてベリーはすでに例に出していたみたいですし、あまり市民権は得られていないみたいですが転位のゲージ理論的な定式化もすでに考えられているみたいです。 最後に、面白そうな本の紹介ありがとうございます。