回答者No.1です。
すみません。回答というより、一緒に勉強をさせて頂いております。
以下、厳密に証明を行ってみたのですが、再度読んでいただけますでしょうか?
---証明---
これからの証明のために、記号を整理いたします。
ベクトルは、v,uを用いたいと思います。
以降、v,uはすべてベクトルとします。
また、a,bはスカラーとします。
添え字は、例えば、v_1,v_2,...,v_rをv1,v2,...,vrと表すことにします。
上記に従うと問題文は次のようになります。
__<問題>__________________
集合{u1,u2,...,ur,...,un}
={v1,v2,...,vs,...,vn}とし、
その一部の集合
{u1,u2,...,ur}と{v1,v2,...,vs}
をそれぞれ一次独立な集合でr<sとします。
その時一次独立の集合{u1,u2,...,ur,up}、(r+1)≦p≦n
となるupが存在することを示せ。
_______________________________
次に、一般にベクトルw1,w2,...,wkの一次結合で表現できる集合の全体を<w1,w2,...,wk>と表すことにします。
つまり、
<w1,w2,...,wk>:={c1w1+c2w2+…+ckwk | c1,...,ckは実数(※)}
です。(※)ここでは実数としていますが、空間を考えているスカラーの全体として構いません。
(証明)
背理法を用います。
結論の『一次独立の集合{u1,u2,…,ur,up}、(r+1)≦p≦nとなるupが存在する』を否定して、『どのup((r+1)≦p≦n)を考えても、{u1,u2,…,ur,up}一次独立ではない』と仮定します。
【命題A】--------------------------------
{u(r+1),...,un}の任意の元uについて、
u=はu1,...,urの一次結合で表せる。
------------------------------------------
>>証明
任意にu∈{u(r+1),...,un}を選ぶ。このuについて、
du+d1u1+…+drur=o(o:零ベクトル)…(1)
を満たす(d,d1,...,dr)を考える。
例えば(0,0,...,0)は自明な解であるが、
いま自明な解以外の組み合わせが必ず存在する。
なぜなら、自明な解以外の組み合わせが存在すると、
背理法の仮定に反するからである。
そのような、自明な解以外の組み合わせについて、
特に、d≠0である。さもなければ、u1,...,urの一次独立性に反する。
従って、式(1)をベクトルuについて整理すれば、命題の主張が得られる。
<<証明終わり
命題Aより、さらに次が成り立ちます。
【定理A】--------------------------------
U:=<u1,...,un>=<v1,...,vn>の任意の元uは、
u1,...,urの一次結合で表せる。
------------------------------------------
>>証明
命題Aよりu(r+1)~unがu1,...,urの一次結合で
表せるので明らか。
<<証明終わり
定理Aより、U=<v1,...,vn>の元であるv1,...,vnも当然
u1,...,urの一次結合で表せることになります。
証明を次のステップに進めます。
【定理B1】---------------------------------
u1はv1,u2,...,urの一次結合で表せる。
-------------------------------------------
>>証明
定理Aより、v1∈<u1,...,ur>であるので、
v1=c1u1,...,crur…(2)を満たす(c1,...,cr)が存在する。
{v1,...,vs}が一次独立であることから、v1は零ベクトルではない。
従って、(c1,...,cr)の少なくとも1つは0ではない。
必要であれば、添え字を入れ換えればよいので、
特にc1≠0とできる。従って、(2)式をu1について整理すれば、
u1がv1,u2,...,urの一次結合で表せる。
<<証明終わり
【定理B2のための定理】-------------------
u2は,v1,v2,u3,...,urの一次結合で表せる。
-------------------------------------------
>>証明
定理Aより、v2∈<u1,...,ur>であり、
さらに、定理B1より、
u1∈<v1,u2,...,ur>であるから、
v2∈<v1,u2,...,ur>である。
従って、
v2=c1v1+c2u2,...,crur…(3)を満たす(c1,...,cr)が存在する。
もし(c2,...,cr)=(0,...,0)とすると、
v2-c1v1=oとなるが、これは{v1,...,vs}の一次独立性に反するためである。従って、(c2,...,cr)の中には少なくとも1つは0でないものが存在するが、必要であれば添え字を入れ換えればよいので、特にc2≠0として構わない。あとは、u2について(3)式を整理すれば、定理B2の主張が得られる。
<<証明終わり
【定理B2】--------------------------------
u1,u2は,v1,v2,u3,...,urの一次結合で表せる。
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>>証明
定理B1と定理B2のための定理より明らか。
<<証明終わり
以降、同様の議論を繰り返すことで、次の定理が導けます。
【定理Br】--------------------------------
u1,u2,...,urは,v1,v2,...vrの一次結合で表せる。
--------------------------------------------
さて、定理Aより
U=<u1,...,ur>ですが、(※U:=<u1,...,un>=<v1,...,vn>と定義しました。)定理Brにより
U=<v1,...,vr>
であるともいえます。
しかし、このとき、Uの元であるv(r+1)やvsなどもv1,...,vrの一次結合で表現できることになりますが、これは{v1,...,vn}の一次独立性に反します。(Q.E.D)
回答を残してしまい、大変な苦労をしてしまいました。
もしまた穴があればご指摘お願いします。
お礼
ご回答どうもありがとうございます! 大変素晴らしい回答だと思います。 今ちょうど次元の勉強をしている所でして、本に載っているのは、同型写像や行列を利用したものばかりで、私にはどれも直観的な感じがしなかったのですが、これは高校レベルの知識のみで次元の一意性までも証明するすごい証明だと感じました。 初めて見た証明だったので、理解するのに時間が掛かってしまい、御礼が遅れましてすみません。 お忙しい中、大変詳しいご回答本当にどうもありがとうございます。