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インフレ・デフレについての調査結果
- デイマンド・プル・インフレについては、企業や家計の過剰投資や過剰消費、所得の増大、財政上の赤字、輸出超過、預金通貨の膨張などが原因とされています。
- デフレの原因は、不景気が主な要素とされています。
- スタグフレーションの原因は、不景気による失業者増加と企業が商品価格で利益を取り戻そうとすることです。
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(1) 投資というのは、企業で言えば、工場を作ったり、機械を据え付けたりする事です。乱暴に言えば、将来の収入の為に、直ぐに金で全額回収できない支出をする、という事になります。企業の「過剰投資」というのは、設備増強等の投資をやりすぎる事ですが、「何をもってやりすぎ」というかは難しいので、単純に「投資活動が増える」と考えておいたほうがわかりやすいと思います。家計の場合、投資活動の代表は住宅投資ですが、総体で見ると家計が投資超過になる事(わかりやすく言えば収入<支出になる事)は滅多に無く、「過剰投資」というよりも、これも「支出が増加する事で、収入と支出のバランスである貯蓄が減る」と考えた方が良いと思います。 企業が投資を増やしても、家計が支出を増やしても、いずれもそれは需要が増える事を意味しますから、それにあわせて生産能力も増えない限り、デマンド・プル・インフレの原因となります。 (2) 思い切り乱暴に言えば、ケインジアンは、総需要の不足が不景気となって、その表れの一つとしてデフレがある、と考えるのにたいし、マネタリストは貨幣供給量の不足が物価の下落&不景気をもたらす、と考えます。立場によって違うと思います。 (3) スタグフレーションとは、景気停滞とインフレーションが同時にやってくる事です。そういう状況になれば、原因は問わず、すべてスタグフレーションと呼ぶので、例えばオイルショックのような外的要因で、物価の激しい上昇と景気の低迷があっても、やはりスタグフレーションと呼ぶでしょう。 (4) インフレターゲットとは、「中央銀行が目標とするインフレ率を置く」というだけの事です。それを達成する手段は、通貨供給の調整だけでなく、金利操作もあります。(金利操作の結果として、通貨供給量=マネーサプライが変動する事は勿論ありますが。) 今日本で「インフレターゲット」を主張する人は、通貨供給量の方ばかりをいいますが、それは金利が低すぎて、金利操作のやりようがないからです。 中央銀行の金融政策としては、国債買いオペなどによる通貨供給量の調整と金利操作ぐらいが主なものですが、一般論としては、財政出動も当然デフレ対策になります。 (5) 「悪性のインフレ」というのは、色々な定義があるでしょうが、簡単に言えば、「中々止められないインフレ」って事ですね。一旦インフレになると止まりにくくなるのは、皆がインフレを予想して「なるべくものを早く買おう」という行動に出て、それが更にインフレをひどくする、というスパイラルに入るからです。中央銀行がインフレターゲットを出しておくと、「インフレになりすぎると、中央銀行が抑えにかかるだろう」という予想が働き、ある程度の抑止効果があるでしょう。インフレターゲットを実際に実現する手段としては、既に述べたように通貨供給量の調整や金利操作があります。 (6) 繰り返しになりますが、インフレターゲットは、単に「目標とするインフレ率を明示する」というだけの事です。一方、調整インフレとは、「デフレスパイラルから脱出する為に、ある程度コントロールしながら、意図的にインフレを起こす」事を言います。 現在の、インフレターゲット論者というのは、「日銀はインフレターゲットをだして、それを達成するまで国債買いオペなどで通貨供給量を増やせ」と言っているわけですから、正しくは「調整インフレ論者」と言った方が良いのでしょう。 尚、質問中に「紙幣を増やし続ける」「紙幣を減らす」とありますが、「通貨供給量を増やす(減らす)」といった方が正解だと思います。通貨供給量(別名マネーサプライ)は、定義は色々ありますが、民間が持っている現預金の内、現金、当座預金、普通預金等、流動性の高いものの合計です。日銀は、直接これをコントロールする事はできませんが、金利を動かしたり、国債買いオペで民間銀行から国債を買ってその代わりに、その銀行が持っている日銀での当座預金を増やしたりする事で、間接的にコントロールします。政府が直接コントロールするものを、ハイパワードマネー(ベースマネー、マネタリーベースとも言う)と呼び、それは日銀券、貨幣(あわせて現金通貨)と日銀での当座預金からなります。つまり、紙幣は日銀の調整対象の一部に過ぎません。(それも、紙幣は、必要に応じて出しているだけなので、調整手段としては国債買いオペなどに比べれば重要度は低い。)ご存知かも知れませんが、念の為。