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杭の曲げモーメントとせん断力
すいません、ド素人です。地震時の水平力に対して杭にかかる曲げモーメントとせん断力がどのような方向でどのような力がかかるのか教えてください。正直、曲げモーメントとせん断力の違いも理解できていません。素人でもわかるようなお答えお願い致します。
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今晩は cyoi-obakaです。 やっと時間が取れたので、回答します。 この質問は、投稿された時から気に成っていたのですが、相当説明が長く成りそうな案件なので、困惑してました。 サワリは#1~2のnikilaudaさんが説明してくれましたので、楽に成りました。 偶力の件は理解出来ましたか? 建築の構造解析で、偶力が作用したらアウトですから、その件は触れません! さて、本題の杭の曲げモーメントと剪断力について、お話を致します。 >地震時の水平力に対して杭に掛る曲げモーメントと剪断力がどの方向でどの様な力が掛るのか? 杭の場合、地震時でない時は軸方向圧縮力だけが作用してます、 しかし、地震時には軸方向圧縮力だけでなく、あなたが仰るように水平力が作用します。 その水平力の荷力により、杭自体の水平抵抗と地盤の水平抵抗によって反力が生じます。 反力が生じるから、曲げモーメントや剪断力が発生すると考えると理解し易いですネ! では、水平力はどのように杭に伝達されるか? ですが、 杭と基礎(フーチング)は、回転を拘束する関係(固定端)になっています。 本来は、平常時でも杭に上部構造物の軸方向圧縮力だけでなく、モーメントや剪断応力も伝達されているのですが、一次設計における鉛直荷重時の応力は軸方向力だけとしています。 水平荷重というのは、建物が横方向に移動しようとする力ですネ! 水平荷重が上部建物に作用すると、上部建物の重量によって地震時の水平荷重が算出されるのですが、その総水平荷重を杭径及び本数によって分配さてるのです。 従って、分配された水平荷重が杭頭部(基礎との接合部)に作用する水平力(杭に対する剪断力)になるのです。 さて、杭頭部に水平力Qが作用すると、その力に対抗する力(反力)が生じます(前述した、杭と地盤の水平抵抗)。 さて、ここからは難しく成りますよ~!! ここでは、杭頭回転拘束条件で話を進行させます。 杭は、長い杭と短い杭に分けて考えています。 これは、理論上仕方のない事なのですが、どうしても包括した理論が成立し難いのです。 ■長い杭:Changの理論とReese and Matlockの理論をベースとした無限長の杭の解析方法があります。 これは、杭の曲げ変形を前提とした弾性設計領域の解析方法です。 この場合、杭と地盤の水平抵抗で解析しますが、その曲げモーメントは杭頭部M0が最大と成ります。 Changの理論をベースにした場合 杭頭モーメント:M0=Q/2β β=(kh・B/4EI)^1/4 kh;水平地盤反力係数 B;杭の見付幅(杭径) E;杭のヤング係数 I;杭の断面2次モーメント 杭頭変位:y=Q/4EI・β^3=Q・β/kh・B で求める事が出来ます。 ■短い杭:Bromsの理論による解析方法があります。 これは塑性設計領域の解析方法です。 この解析の特徴は、降伏ヒンジ(杭の降伏位置)を杭の上部と下部の2ケ所に設定して、 まず杭上部で降伏が発生し順次下部に進行して行くと過程しているのです。 この場合の大前提は杭の下部での降伏が確認されるまで、上部の杭は崩壊しないで変形することです。 短い杭であればの理論で、長い杭になると杭自体の変形耐力が膨大に必要に成り、大変不経済な設計となるのです。 この場合の極限水平抵抗力Quと最大曲げモーメントMmaxを求める式もついでに記載しましょう。 そうそう、この理論は、杭周辺の土質によって理論式が違います。 〈粘性土〉 Qu=9CuB^2{(L/B)-1.5} Mmax=Qu(0.5L+0.75B) Cu;qu/2 qu;地盤のコンシステンシー B;杭の見付幅(杭径) L;杭の長さ 〈砂質土〉 Qu=3/2(Kp・γ・B・L^2) Mmax=Kp・γ・B・L^3 Kp;受動土圧係数 γ;土の単位体積重量 B、Lは上式に同じ こんな関係式ですね! この2つの理論の使い分けですが、 Changの理論等:杭頭を拘束した長い杭 Bromsの理論;短い杭、中間長さの杭、 でしょうね~。 さあ、これであなたも杭設計のスペシャリストです!!! 後は、建築基礎構造設計規準・同解説(日本建築学会)でも入手して気長に勉強して下さい。 以上、参考資料です。 疲れた!!!
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- nikilauda
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>「支点が外力の内側にありその左右の外力が上下方向に働く場合は、板に対してのせん断力は働かず回転することになります。」 言葉で表現するとややこしいと思うでしょうが、シーソーや車のハンドルを思い浮かべてみればよいと思います。 シーソーの片方に人が乗って反対側を下方に押した場合もモーメントが発生しますが、誰も乗らず片方を上方に外力を与え、反対側を下方に外力を与えると回転するだけですよね。 これが偶力でモーメントの一種です。「力×2力の距離」で中心がずれてもモーメントの和は変わりません。同じ上下の働きでも根本的にせん断力とは違いますよね。 なお、モーメントは板を曲げたイメージを考えると想像できると思いますが、圧縮と引張が働いている状態です。(曲げた内側が圧縮、外側が引張) 部材の中心から外側に向かうほどその力が大きくなります。この力が「曲げ応力度(σb)」で、部材の中心より一番離れた端の部分が曲げ応力度が最大になる所ですので、「許容応力度」は曲げ応力度の最大値以上になります。 せん断力は中心に行くほど「せん断応力度(τ)」が大きくなります。 大雑把?にいうと、モーメントは断面に対しに垂直の応力度、せん断力は断面に対し水平の応力度ということです。
お礼
何度もご回答いただき、ありがとう御座います。 nikilaudaさんとcyoi-obakaさんのご回答を 自分の頭の中で整理して考えてみます。 また行き詰まった時には質問させていただくかと思いますが、 よろしくお願いいたします。
- nikilauda
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名前の通り曲げようとする応力を曲げモーメントといい、ずらそうとする応力をせん断力といいます。 分かりやすく例えれば、両端に脚がある長椅子などに座ったとき、座ることによる下方向の外力に対して左右から時計回り・反時計回りに上方向に反力が働き長椅子の板がわん曲します。これを曲げモーメントといいます。 この場合、長椅子に対し垂直にずらそうとするせん断力も働いていて、上向きと下向きの力が切断しようと(ずらそうと)します。(せん断力) ただ、支点が外力の内側にありその左右の外力が上下方向に働く場合は、板に対してのせん断力は働かず回転することになります。これを偶力といいます。これもモーメントで内側の支点はどこをとってもモーメントは同じです。 たぶん矢印(ベクトル)を図に書くと分かりやすいと思いますよ。 片方を固定した棒の先などに外力を与えた場合(例えば下方向に押す)もモーメントが発生します。 この時固定された部分にモーメントの反力が生じますが、棒の部分にもモーメントが働いています。 上記で説明したように、この場合下方向に時計回り・反時計回りの左右の力がつり合っているので、わん曲はしますが棒は真直ぐのまま回りません。(堅い材質は見た目は真直ぐでわん曲していないように見えますので、柔らかい材質をイメージしてもらった方がよいでしょう)この左右のつり合うモーメントが曲げモーメントです。(分かりにくい?) ただし、棒に対して垂直方向に力をかけないとモーメントは発生しません。斜めに外力を与えた場合は、例えば5の斜めの力を与え水平方向が4の力だとすると、3・4・5の法則でその棒には3の外力がかかったという事になります。 地震時の杭の応力や解析については私にはちょっと分かりません。他の先生方の意見をお待ちします。慣性力や地盤変動、軸力変動、杭の材質の特性などまた少し話が違ってくる内容も含まれてくるのでは?
お礼
大変わかりやすいお答えありがとう御座いました。 本当に助かりました。ただ下記の箇所だけが、頭の中でイメージできないのですが・・・・ お時間が、ありましたら宜しくお願い致します。 >支点が外力の内側にありその左右の外力が上下方向に働く場合は、板に対してのせん断力は働かず回転することになります。
お礼
ありがとう御座います。 なんとか、頭でイメージができるようになりました。