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身体性認知科学とは?基本的な概念や創発の重要性について教えてください
- 身体性認知科学は、人間や動物が生存するために必要な全ての要素を備えていることを指します。その中でも、自律性や自己充足性、身体性などが重要な概念となります。
- 身体性認知科学における基本的な概念は、食べることや子孫を残すことなど、生物が実際の振る舞いを行う上で必要な要素です。
- 創発は、環境との相互作用が重要な要素です。例えば、小さな蟻が浜辺で複雑な振る舞いを創発する一方、大きな蟻ではどうなるかは明確ではありません。
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こんにちは。 私はこれを勉強したわけではないので具体的な内容は知りませんが、「身体性認知科学」といいますのは「身体性」を加味することにより、これまでの認知科学よりも「より実践的な視野」を持つことを目的とするものではないかと思います。 「認知」といいますのは環境からの「外部情報(入力)」と脳内の「内部情報(学習記憶)」を統合することです。そして、この結果を基に行動や反応といった「出力結果」が再び環境に対して表出されます。 これまでの認知科学は環境からの入力に対してどのような認知が行われるかが専らその研究対象でした。これに対しまして、身体性認知科学では単に入出力の結果だけではなく、「身体機能を介した環境との相互作用」によって我々の脳の「より実践的な認知機能」を扱うことになります。 例えば、与えられた環境の変化に対し、右手を使うことで何とか上手く対処したとします。ここに「身体機能を介した環境との相互作用」があります。 では、コンピューターを使った「人工知能」の場合には身体性がありませんので、認知機能はあっても右手を使った環境への働き掛けはできないわけです。これと同様に、ロボットはお腹が空きませんので、カメラやセンサーは持っていても空腹という身体環境の変化に対して認知を行うことはできません。また、身体がなければ苦痛を学ぶこともできないです。身体性認知科学が専ら人工知能研究などの分野で注目されているのはこのためではないかと思います。 では、機械は苦痛や幸福を理解することはできませんが、我々動物の身体には最初からそれがあります。ならば、従来の認知科学が摂食行動や生殖行動といった自律機能の部分を切り離して扱っていたことの方が逆におかしいというわけです。たいへん実践的になりますよね。そして、この身体性が用いられることにより、果たして身体性認知科学では「愛」や「死」などといった哲学的な問題にまでその範疇を拡張してゆくことになります。このため、その辺りがまだごっちゃになっており、中には純粋な科学としては扱われていない内容のものもあるようです。 小さな蟻がどうして浜辺で複雑な行動を執るのかは知りませんし、大きな蟻がどうなるのかなどというのは私にはちょっと答えようがないです。ですが、ここで押さえておかなければならないのは、大きな蟻と小さな蟻に与えられていますのは浜辺という外部環境の違いではなく、身体の大きさという「内部環境の違い」であるということです。ですから、ここでは双方の身体性が浜辺という同一環境に対してどのような相互作用を持つかというのが創発結果の違いとして現れるのだと思います。 コンピューター・シミュレーションでは、浜辺という環境は同じですが、身体の大きさにより、個体当たりの生息領域や食料といったパラメータが変化すると思います。
お礼
この度は、ご丁寧に長文のご回答ありがとうございました。 非常にわかりやすく納得できる回答を得る事が出来てとっても感謝しています。ご回答していただいた文と自分の考えてわからなかった事がすっぽりと埋まったような感じです。 お忙しい中、ありがとうございました。