こんにちは。
この試験官さんの指摘は正しいと思います。
それは恐らく学術的な解釈を述べよということでありますから、定義できるわけがありませんでは答えにはならないですね。
仰る通り、「心」というものを明確に定義することはたいへん難しいです。心のあり方はひとそれぞれですし、何を支点とするかによっても捉えるものが変わってしまいます。ですが、科学的に解釈するならば、少なくとも雨や風に心はないと断言できますよね。どうしてでしょうか。
心とは「脳の営み」でありますから、どのような状態で何処にあるのかといいますならば、それは「中枢系」に「機能」として存在します。では、このようにたくさんの様々な状態が現れる場合は、その共通する要因や性質に基づいてこれを分類します。
我々が思うこと。
我々が喋ること。
外に対して行動すること。
このような結果は全て「心を共通の要因」として分類することができ、雨や風など他の物理現象とは明らかに異なる性質を持ちます。従いまして、これを以ってその機能を「心」と弁別することが可能となります。そして、そもそも心理学といいますのはそれを対象とする学問でありますから、これが分類できないとするならばどうやっても成立しません。
身体に神経系を有するのは動物だけです。では、「心の機能」とはいったい何かといいますと、それは「我々動物が結果を選択するため」にあります。
我々の心は感覚系を介して外界からの入力を受けています。また、「記憶の想起」や「空腹」といったものは内部からの入力です。中枢系はこのような身体内外の状況に判定を下し、運動・自律系に出力します。これにより、「思考」「行動」「情動」「学習」「生理」といった結果が生み出されます。
中枢系は環境からの入力に対して処理を行いますので、その判定は必ずや「状況に対応する選択的な結果」ということになります。これにより、我々動物は「自分に与えられた状況に対応した適切な行動」を選択することができます。これが「心の役割」です。
従いまして、心とは唯一、環境との繋がりを持つ「身体の窓」であり、それは「入力に基づいた結果を選択する動物の中枢機能」ということになります。
このうち「生理」を心理現象と呼ぶかどうかは微妙なところではありますが、中枢系の処理結果として身体表出されるという点では、その解剖学的構造が思考や情動と特に異なるというわけではないです。
因みに現在では、生理学的構造と対応しない現象としましては、未だ「意識」というのが概念として残されています。まだ多くのことが解明されたわけではありませんから、色々ありますというのは間違いではありません。ですが、様々な解釈に目を通すのも大切ですが、心理学を学ぶというのでありますならば、一度はご自分の言葉で噛み砕いてみる必要はあると思います。
答えが正しくなければそれは間違いと採点されるだけです。ですが、答えられないということですと、それはおかしい、と指摘されることになります。
お礼
とても、丁寧な解答ありがとうございました。 とても、参考になりました。