はじめまして。
ご質問1:
<「~わけではない」はどんな意味がありますか。>
1.この用法で使われる「わけ」には次の意味があります。
(1)意味・筋道
(2)理由・事情
(3)意志
2.それぞれの意味で、以下のような言い回しの区別があります。
(1)意味・筋道:
「これで終ったわけではない」
=「これで終ったという意味・道理にはならない」
(2)理由・事情:
「それが彼が休んだわけではない」
=「それが彼が休んだ理由ではない」
(3)意志:
「君を侮辱するわけではない」
=「君を侮辱するつもりはない」
ご質問2:
<相手の考えていることを話し手が推測してそれを否定する という事でしょうか。>
ある意味、そうとも言えます。
1.この語法は、話の流れから「そういう意味・筋道になる」「そういう理屈・事情になる」「そういうつもりがある」と一般に解釈されそうなところを、「そういうわけではない」とその筋を折る否定表現です。
2.その意味で、一般的な推測=筋道通りの理屈、をひるがえすわけですから、一種の「聞き手の推測の否定」を示唆するとも言えます。
3.「わけではない」と否定する内容が、ポジティブな内容なら全体にネガティブな文になり、その逆ならポジティブな文になります。
(1)ポジティブな内容を否定する場合:
「君の昇進が決まった、わけではない」
暗雲が立ち込めます。
(2)ネガティブな内容を否定する場合:
「君の昇進がなくなった、わけではない」
希望の光が見えてきます。
4.また、同じような文でも、上記の3つの「わけ」が使われている場合もありますので、状況や前後文脈からどの意味で使われているのか判断する必要があります。
例文:「君を好きというわけではない」
(1)意味・筋道:
「君に笑顔を向けたからといって、君を好きというわけではない」
=「君に笑顔を向けたけれど、君を好きという意味ではない」
(2)理由・事情:
「君が金持ちだから、君を好きというわけではない」
=「君が金持ちというのは、君を好きな理由ではない」
(3)意志:
「そう言ったからといって、君を好きというわけではない」
=「そう言ったのは、君を好きという意志からではない」
以上ご参考までに。
お礼
こんなに詳しくありがとうございます! 今度「わけではない」と「わけである」の導入を模擬授業でするんです。 助かりました。