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補装具の基準額と消費税について
こんにちは。 例えば、「遮光眼鏡(6D未満)の基準額は30,000円 の100分の103に相当する」とありますが、なぜ 最初から30,900円としないのでしょうか? どなたかよろしくお願いいたします。
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こんにちは。 最後の追加回答となりますが、お約束していたとおり、「なぜ補装具基準はANo.2のように3つに分けられているのか?」という事情を説明させていただきます。 これは、下記の「消費税法に基づく定め(厚生労働省告示)」によるものです。 「身体障害者用物品」とありますが、これらは、身体障害者の福祉の向上を目的として、消費税は非課税とされます。 重度の身体障害者は、その障害に応じて専用の製品・商品を用いることが多くなりますが、障害の特性上、製品や商品は大量生産になじみません。言い替えますと、一般の市場には出回らないわけですね。 そのため、結果として、製品や商品の価格はかなり高価にならざるを得ません。 加えて、障害が重複している場合には複数の専用製品・商品を使用せざるを得ず、定収を確保することが困難な重度の身体障害者にとって、その出費は、消費税額と合わせると非常に大きなものとなってしまいます(実際、1か月分の障害基礎年金はいともあっけなく、軽く吹っ飛びます)。 そこで、少しでも身体障害者の経済的負担を軽減させようと、「身体障害者用物品」が定められました。 ところが、経済団体、障害者団体や業界等の激しい駆け引きがあった結果、「補装具」や「日常生活用具」とくらべて物品の範囲を少々アレンジしてとらえたために、補装具基準で定められている物品とは必ずしも一致しなくなってしまいました。 さらに、消費税法施行後に介護保険制度や支援費制度、障害者自立支援法が成立して障害者施策が大きく変わったために、「補装具基準の物品」もたびたび見直しがなされ、ますます「消費税法での身体障害者用物品」とは一致しない部分が拡がってゆきました。 このような経過から、少しでも両者の差異を少なくし、かつ、非課税とはならない「修理のときの、業者の技術料・手数料」「業者が物品を仕入れるときの経費」等にも配慮した結果、ANo.2のような3通りの補装具基準となりました。 うち、第3項については、法で定められた「障害者自立支援法の抜本的見直し」(平成21年3月末が期限、と明記されています)に合わせて「×1.03 ⇒ ×1.05」へと改正しようと、その是非がいま、識者による専門の審議会等で議論されています。 ということで、以上です。 要点をおさえた上でできるだけ詳しく記してみよう、と心がけてみましたので長文になってしまいましたが、ポイントはほぼすべて述べさせていただいたつもりです。 ご活用いただければ幸いです。 ======================================================================== 消費税法施行令第14条の4の規定に基づき厚生労働大臣が指定する身体障害者用物品及びその修理 (平成3年6月7日 厚生省告示第130号) (最終改正:平成20年4月30日 厚生労働省告示第300号) ● 義肢 ● 装具 補装具基準告示を満たす物のみ ● 座位保持装置 ● 盲人安全つえ ● 義眼 ● 眼鏡 弱視眼鏡、遮光眼鏡のみ ● 点字器 ● 補聴器 補装具基準告示を満たす物のみ ● 人工喉頭 ● 車いす ● 電動車いす ● 歩行器 ● 頭部保護帽 ヘルメット型で、個別採寸して製造されるオーダーメイドの物のみ ● 装着式収尿器 ● ストマ用装具 ● 歩行補助つえ 松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、多点杖のみ ● 起立保持具 ● 頭部保持具 ● 座位保持いす ● 排便補助具 児童用で、ポータブルタイプの物のみ ● 盲人用カセットテープレコーダー 点字の操作ボタンが付き、再生・録音速度を可変(2分の1速または4分の1速)な物のみ ● 視覚障害者用ポータブルレコーダー DAISY方式による再生・録音が可能な物のみ ● 盲人用時計 腕時計か懐中時計で、文字盤に点字等がある構造の物のみ ● 盲人用カナタイプライター ● 点字タイプライター ● 盲人用電卓 ● 盲人用体温計 ● 盲人用秤 ● 点字図書(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)別表第一第十二号に規定する教科用図書に該当するものを除く。) ● 盲人用体重計 ● 視覚障害者用拡大読書器 ● 歩行時間延長信号機用小形送信機 ● 点字ディスプレイ ● 視覚障害者用活字文書読上げ装置 ● 視覚障害者用音声ICタグレコーダー ● 聴覚障害者用屋内信号装置 ● 特殊寝台 ● 特殊尿器 ● 体位変換器 ● 重度障害者用意思伝達装置 ● 携帯用会話補助装置 ● 移動用リフト ● 透析液加温器 ● 福祉電話器 ● 視覚障害者用ワードプロセッサー ● 改造自動車 イ 手動装置 ロ 左足用アクセル ハ 足踏式方向指示器 ニ 右駐車ブレーキレバー ホ 足動装置 ヘ 運転用改造座席 ========================================================================
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- kurikuri_maroon
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補足質問をありがとうございます。 制度がきわめて複雑となっているのは、以下の補装具受託報酬基準が厚生労働省告示として定められているためです。 ごらんになっていただくとおわかりのように、3つに分かれます。 長くなりますので、3分されている事情についてはANo.3に譲ります。 =============================================================== 補装具の種目、購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準 (平成18年9月29日 厚生労働省告示第528号) (最終改正:平成20年3月31日 厚生労働省告示第147号) ※ 受託報酬の額(= 業者が受け取る報酬の額)を定めた基準 ■ 第3項(= 製品自体が「非課税扱い」であるもの)↓ ● 受託報酬の額 = 基準額 × 1.03 ● 基準外給付補装具(= 第1項ただし書き) 身体障害者更生相談所等の意見に基づいて、市町村ごとに定めた額 (※ 基準外給付補装具 = 障害の状況や生活環境等を特別に考慮した上で、独自に交付される補装具) ■ 第4項(= 製品や交換・修理代自体が「非課税扱い」とはなっていないもの)↓ ● 受託報酬の額 = 基準額 × 1.05 【購入のときに適用するもの】 ○ 遮光眼鏡および弱視眼鏡を除く「眼鏡」 ○ 歩行補助つえのうち「プラットホーム杖」 【交換・修理のときに適用するもの】 ○ 盲人安全つえのうち「マグネット付き石突き」 ○ 遮光眼鏡および弱視眼鏡を除く「眼鏡の枠」 ○ 遮光矯正用レンズを除く「眼鏡のレンズ」 ○ 補聴器のうち、以下のものの交換・修理 イヤホン、重度難聴用イヤホン、 骨導型ポケットレシーバー、眼鏡型平面レンズ、 骨導式ポケット型ヘッドバンド ○ 車いすのうち、以下のものの交換・修理 クッション、フローテーションパッド、 夜光反射板、ステッキホルダー、 泥除け、屋外用キャスター、転倒防止装置、すべり止めハンドリム、 キャリパーブレーキ、フットブレーキ、 携帯用会話補助装置搭載台、酸素ボンベ固定装置、人工呼吸器搭載台、 栄養パック取付用ガートル架、点滴ポール ○ 電動車いすのうち、以下のものの交換・修理 バッテリー、外部充電器、オイル、グリス、 ステッキホルダー、転倒防止装置、段差乗越補助用クライマーセット、 溝脱輪防止用フロントサブホイール、 携帯用会話補助装置搭載台、酸素ボンベ固定装置、人工呼吸器搭載台、 栄養パック取付用ガートル架、点滴ポール ○ 歩行補助つえのうち「凍結路面用すべり止め(ゴム系は除く)」 ○ 重度障害者用意思伝達装置のうち、以下のものの交換・修理 本体、アーム式テーブル、テーブル置き式テーブル、入力装置固定具、 呼び鈴、呼び鈴分岐装置、 接点式入力装置、帯電式入力装置、筋電式入力装置、光電式入力装置、 呼気式入力装置、圧電素子式入力装置 ■ 第5項(= 特別な法人等が設置した補装具製作施設が製作した、第3項や第4項に該当するもの)↓ ● 受託報酬の額(1) = 第3項に該当するもの × 0.95 ● 受託報酬の額(2) = 第4項に該当するもの × 0.95 ※ 「特別な法人等」とは? 国、地方公共団体、日本赤十字社、社会福祉法人、民法第34条法人(= 公益法人) ※ 「公益法人」とは? 主に「財団法人」「社団法人」を指す ===============================================================
お礼
kurikuri_maroonさん、こんにちは。 度重なる詳細な解説ありがとうございます。 もやもやしていたものが、少しずつ分かるように なってきた気がします。ありがとうございました。
- kurikuri_maroon
- ベストアンサー率85% (1980/2320)
ご質問の件ですが、補装具給付基準で定められた指数(掛け率=×1.03)があるからなのです。 すべての補装具(修理費も含む)がそうですよ。 なお、×1.05(消費税相当分)としないのは、補装具となる商品が元々は「非課税対象商品」だからです。 しかし、業者側としては仕入れ等のときに消費税相当分がかかるため、それを特例的に勘案し、「厚生労働予算の制約上、早期に×1.05とすることはできないけれども、×1.03とする」としたものです(注:×1.05に改正する予定は、既に議論されています。)。 たとえば、「高度難聴用耳掛型補聴器」を「イヤモールド(特殊な耳栓で、型を採って作ります)」付きで両耳に装用する場合は、以下のとおりです。 (注:イヤモールドも両耳装用も、その必要性が身体障害者福祉法指定医の診察によって認められなければ、これらを受けられません。受けられない場合には、あくまでも「補聴器1台のみ」となります。) ■ 基準額(※ 1.03=定められた指数) 高度難聴用耳掛型補聴器 @67,300円×1.03×2台=138,638円 イヤーモールド @ 6,400円×1.03×2台= 13,184円 ──────────────────────────────── 計 151,822円 ■ 補装具費(障害者自立支援法) 公費負担額(基準額×9割)[業者代理受領]136,640円 差引自己負担額(基準額×1割)[本人支払] 15,182円 ──────────────────────────────── 計 151,822円 ★ 差引自己負担額は自治体独自の補助により、後日還付される場合があります。 なお、ご承知とは思いますが、実際の商品価格が公費負担額を上回ってしまう場合(注:基準額の範囲内の商品価格に収まることは、むしろ稀です。)には、その差額についても自己負担しなければなりません。 より詳しく専門的な内容を知りたい場合には、テクノエイド協会(補装具の基準などを国に諮問したりしている、厚生労働省の外郭団体)のホームページにある行政通知集(下記URL)をごらんになってみて下さい。 障害者自立支援法施行後(つまり、改正後)の基準などが載っています。 http://www4.techno-aids.or.jp/gyousei.html
補足
kurikuri_maroonさん、こんにちは。 詳細な解説ありがとうございました。 つまり、34,000(税込35,020)円の遮光眼鏡は 【公費負担】30,900×0.9=27,810 【自己負担】30,900-27,810=3,090 3,090+(35,020-30,900<基準超過分>)=7,210 ということですね。 ところで、遮光眼鏡などを除く眼鏡や歩行補助つえは 100分の105が基準となるようですが、何故このような煩雑な 制度なのでしょう?現場が混乱したり誤りの元かと思いますが 何か理由があるのでしょうか?引き続きお願いいたします。
お礼
kurikuri_maroonさん、こんにちは。 裏話を交え、詳細な解説をありがとうございました。 「政策」は、いつの時代も本当に困っている人の声 が届いていないところで作られ、そして、不具合 を指摘されては場当たり的な修正が加えられ、複雑 で理解できないものになっていく気がします。 どうもありがとうございました。