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イスラム原理主義過激派の思想について
イスラム原理主義過激派の思想、その長点と欠点について教えていただきたいです。
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他の方々がおっしゃるように、「原理主義」と「過激派」は別のものです。 原理主義/Fundamentalism 根本主義と言われることもあるようです。 もともとは、その宗教の原理・原則そのままに厳格に従う主義のこと。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E7%90%86%E4%B8%BB%E7%BE%A9 長所 人々がまとまりやすい。内輪の結束。ある意味ではコミュニティが安定する場合もあるとか。 (空爆以前のアフガニスタンの場合、タリバーンは『北斗の拳』におけるラオウのようなものだったのかも・・・それ以前の社会的混乱をとりあえず力で収拾。 怒られるかな、こんなこと言ってると) 短所 行き過ぎたり、暴力に走ることがある。西洋的な“自由”がない。 社会的・経済的に発展しづらい(これも西洋的観点からですが)。 自分が信仰する宗教の教えや考え方が原則、ということは、他宗教の人を認められなくなる。 真面目も行き過ぎると不寛容に。 補足しますと、8世紀から15世紀までのイスラム勢力支配下のスペインではユダヤ教、キリスト教が認められていました。 旧約聖書を共有する「啓典の民」ということで。 カトリック両王が再征服してからのほうが異教徒に厳しい環境になり、「キリスト教に改宗するかスペインを出て行け」という方針が採られました。 イスラム=いつでもどこでも不寛容とは言えないみたいです。 キリスト教も怖い面がありますしね。
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- nacam
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原理主義という考え方は、キリスト教原理主義が元にあり、そのキリスト教原理主義と同じ手法をイスラム教に持ち込んだものを、イスラム原理主義と言います。 キリスト教原理主義を唱えるのは、「福音派」を称する教派です。 基本的に、キリスト教原理主義者は、キリスト教原理主義に誇りを持っていますから原理主義者であることを隠す事はありません。 キリスト教原理主義者でも穏健派(自分自身が原理主義を貫く事を目的とする)と過激派(世界をキリスト教原理主義世界にする事を目的とする)にわかれます。 その過激派は、ネオコンと事実上同一となっています。 イスラム原理主義の考え方は、かなり初期から色々な派閥として存在します。 最も古いものは、ハワーリジュ派で、スンニ派、シーア派の考え方を共に否定します。 弾圧を受けると、テロ行為に走り、分裂を繰り返して現在ではごく少数派が残っているだけです。 ハワーリジュ派では、主たる敵は、イスラムを裏切ったとするスンニ派でありシーア派でした。 スンニ派のなかの原理主義的考え方の中心は、ハンバリー派です。 ハンバリー派の考え方は、預言者ムハンマドの時代を理想として、「その時代に戻るべきである」とするものです。 ハンバリー派自身は穏健的なのですが、そこから過激思想としてワッハーブ派が生まれます。 ワッハーブ派では、「賛同しない相手には、武力をもって当たる事が正義である」とします。 サウジアラビアの国教であり、アルカイダなどのイスラム原理主義者の精神的思想の根幹をなしています。 アルカイダにしろタリバンにしろ、ワッハーブ派の拠点であるサウジアラビア(政府ではなく民間)からの支援でなりたっています。 スーダンにおける原理主義思想の中心は、マフディ派となります。 マフディ派は、スーダンの民族主義と深く結びついており、「アラブ系スーダン人に敵対する者、外国と結び利益をあさる者は全てジハードの対象となるばかりか、そのジハードに参加しない者もジハードの対象となる」というものです。 そしてそのジハードは、イスラム教徒に課せられたメッカ巡礼などよりも優先されるとしています。 シーア派系の原理主義過激集団としては、ニザール派があります。 ニザール派は、シーア派といいましてもイランなどの十二イマーム派ではなく、イスマイール派(七イマーム派)系の分派で、別名アサッシンと言われ、イスラム系の暗殺者集団を組織していました。 なお、私としましては、「ムスリム同胞団」、「ハマス」、「ヒズボラ」などは、イスラム原理主義過激派とはみていません。 特にハマスを過激派とみなす事は、完全に誤りであると思っています。
お礼
とても詳しく回答していただきありがとうございます。 参考にさせていただきます。
- A-Tanaka
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こんにちは。 たぶん、さっき質問欄を拝見したら、ネオコンについても同じ質問をされていたかと思いますので、一気に答えてしまいましょう。 両方の基本思想は、根っこでは同じところに依拠しています。具体的には、経典原理主義とでも言いましょうか?経典に書かれていることは真実であり、かつまた、そのような世界を実現しなければならないというところでしょう。 よって、このような視点からすれば、長所も短所も同時に見えてくると思います。 1.選民思想(虐げられているのは、神の教えに従っているからである。もしくは、これまで虐げられてきたのは、神の教えによって自分達が生き残るため、もしくは、選ばれた民の証拠である)。 2.世界の中心は自分達である。 3.神の教えを実現するためには、手段を選ばない(例えば、コーランにはこんな記述があります、「剣か?コーランか?」。しかしながら、原典のコーランには、このような教えはなく、後から追加されたものと思います。同じように聖書(創世記)にも、こんな記述があります。神は自分達の姿に似せて人を創造した、この世界を統治させるために。しかしながら、この記述も原典に当たってみると、違う表現になっています。)。 列挙すると切がないのですが、元々どちらも一神教(たぶん、ゾロアスター教あたりかな?)のため、根っこでは喧嘩の種になっているのです。 現代宗教思想の視点からは、教義は倫理規範として今日に生きています。そこから、法治主義概念が生じて、片方は欧米法(起源はローマ法)として、片方はイスラム法として現在に至ります。 振り返って日本は、欧米法の枠組みの中で、法治主義を達成しているわけです。戦前は、専制主義の法律体系、戦後はフランス共和制やアメリカ・リベラリスト(主としてピューリタン)の法体系に整備が行われ現在に至るのです。 詳しくは、 * 宮田律,イスラム過激派をどのように見るのか?, 岩波書店, 2004 * ロバート・ケーガン, ネオコンの論理, 光文社, 2003 * サミュエル・P・ハンチントン, 文明の衝突, 集英社, 1998 * ポール・ケネディ, 大国の興亡, 草思社, 1993 などを参考にされると良いと思います。
お礼
ネオコンについても回答していただきありがとうございます。 さっそく参考書も探しに行こうと思います。 ありがとうございました。
- gungnir7
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まず最初に言葉としては過ちだと述べておきます。 イスラム原理主義過激派という表現は、こと宗教観念の薄い日本においては イメージがテロと結びつきやすく、大変な誤解を招きます。 既にマスメディアではイスラム原理主義の過激派がおこしたテロでも イスラム過激派と表記するように申し合わせています。 とはいえ原理主義に批判的なニュアンスがあることも否めません。 原理主義という言葉を取る以上、開祖マホメットへの忠実なる回帰を目指します。 これがサウジ王家に代表される穏健派の原理主義なら軋轢もあまり発生しません。 もともとイスラムには他の宗教は邪悪という考えがあり、 日本人のような無宗教は憎悪の対象ですらあります。 (幸いなことに彼らの多くは日本人は熱心な仏教徒だと思っていることでしょう) すると西洋文化(キリスト)は悪なのです。 元来が他宗教は悪とするイスラム教だけに超攻撃的な一派が発生しても不思議ではありません。 さらに具合が悪いことに、欧米は世界を牛耳っています。格好の標的です。 このような超攻撃的な一派が存在するメリットは群衆の支持を集めることができること一点です。 支持者がいればこそ、その地域を治めることができ、あるいは資金も集まります。 イスラムはいってみれば、このような弱小の勢力があちこちにある連合国家です。 日本でいえば戦国の頃の群雄割拠といえば分かり易いでしょうか。
お礼
わかりやすい回答ありがとうございます。 参考にさせていただきます。
お礼
とても詳しく回答いただきありがとうございます。 参考にさせていただきます。