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(生物化学) n valueの定義は?

しばらく前から生物化学を独学しております。ある英語の問題集に"In a mature spermatozoan, the number of chromosome complements(n value ) and the quantity of DNA present(c value) are expressed as 1n/1c.(後略)"とあったのですが、ここで出てきたn valueがどういうもの(定義)なのか今ひとつよく分かりません。ネット上の辞書(http://cancerweb.ncl.ac.uk/omd/)に chromosome complementの定義として"The whole set of chromosomes for the species. In humans, the chromosome complement(which is also called the karyotype) consists of 46 choromosomes." とあったのですが、これだと上の問題文とうまく結びつかない (精子は一倍体なのだからthe number of chromosome complementsは 0.5ではないのか?)気がしますし、「生化学辞典」(東京化学同人)などいくつかの本を調べてもn valueについては載っていませんでした。問題文の後半や(アメリカの大学の講義など)ネット上の文例から推量するに、半数体の染色体の本数をnと表して、 (1)染色体の本数(感覚的には"独立して存在する物質(=染色体)の数") (2)DNA複製によるコピーを無視したユニークな染色体(染色分体)の本数(感覚的には"遺伝情報の数") のどちらかかなと思ったのですが(細胞周期の各時期で (1)と(2)は大体一致するのですが、減数第一分裂でニ価染色体が生じたときには(1)では1n、(2)では2nとなります)。 正しい定義を御存知の方、御教示いただけないでしょうか(その際典拠やhaploid numberとの関係も教えていただければ幸いです)どうぞよろしくお願いいたします。

みんなの回答

回答No.5

>nの値はどうやって求めるのだろうか?というのが私の疑問なのです。 最初に書いた「nは相補対の数(the number of chromosome complements)、つまり相同染色体対の数、あるいは染色体の種類数、haploid genome (半数体ゲノム)に相当する染色体数をあらわします」ということなんですが。いろいろな表現のしかたをしましたが、同種の生物ならすべて一致します。nの値は生物種ごとに23だったり、24だったり、4だったり、不明だったりするけれど、nと言う記号で一般化されているわけです。あなたも書いているように「半数体の染色体の本数をnと表して」で正解といっていいでしょう。もともとは、ゲノム(相同染色体の存在による重複を排した、全遺伝情報の1セット分、今で言う半数体ゲノム)をあらわす記号ですが、染色体分析が盛んだったことにゲノムは半数体染色体一致するというのがconsensusになってn=(半数体染色体数)という表現が固定したのだと記憶します。どうやって求める、というものではなく染色体数の観察や、連鎖群の数を遺伝学的に分析した、観測値といっていいでしょう。 >だとすると精子(半数体)においては対は存在しないのでn value=0になると思うのですが。 the number of chromosome complementsと書かれているのは、二倍体生物を想定して相補対の数として表現してあるもので、配偶子で考えるなら半数体ゲノムに相当する染色体数です。結局、おなじ無名数になります。 >ある生物種における染色体の完全セット。ヒトの場合chromosome complementsは46本の染色体から成る これは誤りでしょう。そういう使われ方もするのかもしれませんが、本来 、chromosome complementとは染色体相補対のことで、父方からきた第一染色体と母から来た第一染色体はcomplementですし、第二、第三、、、、、についてもそうです。the number of ~は、その対の数のことを言っています。ヒトなら23ですね(それが46本の染色体からなっているというのはそのとおりですが)。相同染色体対と読み替えてもいいのですが(混交して書いてきましたが)、性染色体を相同染色体というのは不都合があるので染色体相補対と表現したほうがよいでしょうね(XとYはcomplement). LSDの共起表現検索や http://lsd.bioscinet.org/cgi-bin/lsdproj/conc_on_demand04.pl?corpus=LifeSci.txt&query=chromosome%20complement Google scholarでchromosome complementのusageを調べてみてください。

noname#156238
質問者

お礼

geneticist12様、再三にわたり丁寧な御回答をありがとうございます。 まず、先にも書きましたように私が知りたいのは (A)n value(という概念)の定義 なのですが、geneticist12様が書いてくださっているのはもっぱら (B)半数体における染色体の数を記号で表したn(の値) の説明であるため、私にとっては理解が難しく(納得がいかなく)なっております。(教えを乞うている立場でこのようなことを申し上げて恐縮ですが、率直な感想です。) それはさておき、 >the number of chromosome complementsと書かれているのは、二倍体生物を想定して相補対の数として表現してあるもので、配偶子で考えるなら半数体ゲノムに相当する染色体数です。結局、おなじ無名数になります。 上の御文の意味がよく分かりません。対というのは「二つ揃って一組となるもの(ペア、カップル)」というのが日本語での通常の意味だと思いますが、それに従えば半数体における染色体相補対の数は0になるのではないでしょうか。 > これは誤りでしょう。そういう使われ方もするのかもしれませんが、本来、chromosome complementとは染色体相補対のことで、 専門家の方から「"ある生物種における染色体の完全セット。ヒトの場合chromosome complementは46本の染色体から成る"というchromosome complementの定義は誤りだろう」という御意見をいただいたことは大変参考になりました。 どうもありがとうございました。

  • suiran2
  • ベストアンサー率55% (1516/2748)
回答No.4

精子や卵が持ちます染色体の1セットをゲノムといいます。このゲノムを何セット持つかを表すものがnです。nの実際の染色体数はgeneticist12のご説明のように生物で異なります。最少は馬の回虫で2n=2ですからn=1ですし,ヒトは2n=46ですからn=23です。 精子はnで,卵もnです。受精して出来た個体は2セット持つことになりますから2nと表します。自然界ではnと2nのみ存在します。(植物は胚乳が3nなのですが…)0nや0.5nや1.5n等は存在しないのです。 trisomyは無理に日本語にしますと「三染色体性」とでも訳すのでしょうか。我々は2n=46が一般的で,相同染色体を2本持っています。しかし,卵・精子の形成過程で1種類の相同染色体が不分離を起こしたものが受精した結果相同染色体を3本持つようになったものをtrisomeと呼び,その個体をtrisomyといいます。この個体は染色体が一本多いものですから一般に2n+1で表します。

noname#156238
質問者

お礼

suiran2様、再度の御回答をありがとうございます。 教えていただいたことを参考にさらに調べを進めていきたいと思います。 どうもありがとうございました。

回答No.3

>できれば(「nは~を表す」ではなく)「n valueとは~というものである(定義)」ということを教えていただきたかったのですが。 the number of chromosome complements (n value ) と書いてあるとおりで、それを解説したつもりなのですが。 訳すると「相補染色体対数の値」で、ヒトならn=23、ショウジョウバエならn=4、生物種ごとに異なるということです。 n value という術語があるというより、n(核相をあらわす記号)の値と普通に理解すれば済みます。 >精子は一倍体なのだからthe number of chromosome complementsは 0.5ではないのか? ある(二倍体の)生物の染色体対数(the number of chromosome complements)がいくつあるかということですから自然数以外ありえません。 >これは複製を終えた相同染色体同士が対合した状態、すなわち4本(種類としては父性、母性の2つ。交差によってすぐに4種類になってしまうかもしれませんが)の染色分体が対合によって1つになっている状態について書きました。 定義からいっても、この状態でも2nです。そもそも、相同染色体が対合して見た目が一体化しているとか、交差があるとか、無関係の概念です。 根本的なところで誤解がある心配がありますが、答えは2n/4cあっているでしょう。

noname#156238
質問者

お礼

geneticist12様、再度の御回答をどうもありがとうございます。 初めの私の質問文が言葉足らずだったようで申し訳ありません。私の疑問をより詳細に書きますと、 ある問題集で出会った"the number of chromosome complements (n value)"というn valueの定義について、chromosome complementが何なのか分からなかったので調べたところ「ある生物種における染色体の完全セット。ヒトの場合chromosome complementsは46本の染色体から成る」と出てきた。だとすると、精子は半数体なのだからthe number of chromosome complementsは0(あるいはちょうど半分だから0.5)なのではないか?しかしいろいろ調べてみると(ヒトの場合)配偶子でn=23、接合子で2n=46とするのがごく一般的なようだ。これはどういうことだ?... といったかんじになります。 > 訳すると「相補染色体対数の値」で、 相補染色体は相同染色体(homologous chromosome)と同じもという理解でよろしいでしょうか。だとすると精子(半数体)においては対は存在しないのでn value=0になると思うのですが。 > n value という術語があるというより、n(核相をあらわす記号)の値と普通に理解すれば済みます。 nの値はどうやって求めるのだろうか?というのが私の疑問なのです。 どうもありがとうございました。

  • suiran2
  • ベストアンサー率55% (1516/2748)
回答No.2

核相についてはgeneticist12さんの説明でお解りと思います。 精子形成の減数分裂の過程では,一次精母細胞→二次精母細胞→精細胞→変態しまして成熟精子になります。この間の核相(n value)の変化とDNA量(c value)の変化は下記のようになります。 一次精母細胞(2n/4c) → 二次精母細胞(n/2c) → 精細胞(n/c) 一次精母細胞は間期のS期にDNAを複製して染色体を複製します。この場合の核相は,染色体はコピーされたもので母方と父方の2種類の染色体しか持ちませんから2nです。しかし,DNA量は複製されていますので4cになります。 二次精母細胞は減数分裂第一分裂で母方と父方の相同染色体が分離し一方の染色体しか持ちませんのでnとなります。DNA量は半分になりますので2cになります。 精細胞は減数分裂第二分裂でコピーされた染色体(染色分体・娘染色体)が分離しますが母方または父方のみですのでnです。DNA量はさらに半分になりますのでcになります。

noname#156238
質問者

お礼

suiran2様、御回答をどうもありがとうございます。 御答えを要約するに("母方と父方の2種類の染色体しか持ちませんから2nです"といった御文から)「n valueとは、ユニークな染色体の数(染色体の種類の数)である」(私の質問文中の(2))という理解でよろしいでしょうか。 (「Essentials of Genetics 3rd」という教科書に"trisomyを2n+1で表現する"とあったのですが、「ユニークな染色体の数」としてはtrisomyも2nではないかと思いました。あるいはこの2n+1というのはn valueではないのかもしれませんが。) 質問を重ねてしまい恐縮ですが、もし御時間ありましたら御教示いただければ幸いです。

回答No.1

まず実例からはいると、ヒトの染色体構成は23対、46本、キイロショウジョウバエだと4対、8本です。 nは相補対の数(the number of chromosome complements)、つまり相同染色体対の数、あるいは染色体の種類数、haploid genome (半数体ゲノム)に相当する染色体数をあらわします。ヒトだとn=23、ショウジョウバエだとn=4です。 二倍体(diploid)生物では各染色体が2本1対になっていますから、この状態を2nであらわします。染色体数はヒトでは2n=46、キイロショウジョウバエでは2n=8です。配偶子ではそれぞれn=23、n=4です。 cは染色体数ではなくゲノムDNA量を示す記号で、二倍体の状態を2c、半数体の状態をcであらわしているのですね。種によって染色体数が異なるように、ゲノムを構成するDNA量も違いますから、ヒトのcとショウジョウバエのcでは、実際に含まれているDNA量は違います。ある生物のゲノムDNA量を半数体のときと二倍体のときとで相対的にあらわすのが、cと2cという理解でよいかと思います。 >減数第一分裂でニ価染色体が生じたときには(1)では1n、(2)では2nとなります)。 2倍体、2nの細胞周期のなかで複製が完了した状態では、染色体が倍加したから4nであるとは、ふつう表現しません(そういう教科書、参考書があるかもしれませんが)。相同染色体対数がnというのがもともとの定義ですから、姉妹染色体は勘定しないのです。ただしDNA量は、複製が終了した時点で4cと言えます。 各相同染色体が2本1対になっている状態を二倍体、diploidといい、配偶子のように各染色体が1本ずつになっている状態を半数体、haploidといいます。しかし、半数体が語源的にも歴史的にも正しいのですが、最近の高校生物学教科書では半数体ではなく一倍体と教えているようです(正式には一倍体はmonoploidの訳語で別の意味)。

noname#156238
質問者

お礼

geneticist12様、大変丁寧な御回答をどうもありがとうございます。 ただ、御教示をいただいたのにこんなことを申し上げるのは誠に恐縮なのですが、できれば(「nは~を表す」ではなく)「n valueとは~というものである(定義)」ということを教えていただきたかったのですが。 なお、 >減数第一分裂でニ価染色体が生じたときには(1)では1n、(2)では2nとなります)。 これは複製を終えた相同染色体同士が対合した状態、すなわち4本(種類としては父性、母性の2つ。交差によってすぐに4種類になってしまうかもしれませんが)の染色分体が対合によって1つになっている状態について書きました。(1)では1n/4c、(2)では2n/4cとなると思うのですが。 どうもありがとうございました。

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