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有機フッ素化合物のメチル化
H-(CF2)6-COOH という化合物の末端のHをメチル化したいと考えています。 2当量のヨウ化メチルおよび炭酸カリウムを加えアセトン溶媒で還流しましたが,ほとんど反応しませんでした。末端Hよりも先にメチルエステルができると考え,ヨウ化メチルを2当量としたのですが...。 他に考えられる反応はあるでしょうか?有機フッ素化合物を扱うのは初めてで,通常と違う物性・反応性に戸惑っています。 ご助言頂けましたら幸いです。
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反応機構的にかんがえて、炭酸カリウムの役割が、ヨウ化水素を中和するためということはあり得ません。塩基として作用してH+を引き抜いていることは間違いないと思います。結果的に、式の上ではヨウ化水素を中和していることにはなりますが、それは反応の本質ではありません。アニオンにならなければ求核置換は起こりませんよね。 常識的に考えれば、文献があるのなら進む可能性のある反応と考えて良いでしょう。まれに、信頼できない論文もありますが・・・ 現実的な対応としては、ヨウ化メチル追加した方が良いでしょうね。特別な副反応は起こりそうにないですから、揮発して逃げた分の補償の意味もありますしね。それと、炭酸カリウムは固体でしょうから、それをすりつぶすなどの方法で表面積を大きくするのが有効な場合もあります。また、この手の反応では試薬の純度(というよりメーカー)を変えることによって、反応が進むようになる場合もあります。もしも、オリジナルの文献に試薬のメーカーやグレードが記載されていればそれを再現することも検討に値します。 もちろん、濃度や温度などを変えてみることも有効かもしれません。 個人的には相間移動触媒を添加してみたくなります。
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- piyoco123
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Scifinderでは長鎖フルオロアルキルの増炭は見付けれませんでしたので、 質問者さんがどういう文献を参考にされているかは分りませんが、 基本的に炭カリ-アセトンでのアルキル化はフェノール性水酸基ぐらいややアシディックでないと難しいです。 カルボキシル基は保護しておき、おもいっきり強い塩基でプロトンを抜くか、 ラジカル反応させる方が現実的だと思います。 あと、perfluorinatedな化合物は水にも有機溶媒にも溶けにくいので、 フッ素系の溶媒に変えたほうがいいかもしれません。
お礼
一旦締め切らせて頂きます。
補足
コメントありがとうございます。 いろいろ並行してやる中で私も同様のことを考えており,『おもいっきり強い塩基』を何にするか思案しているところです。なお,基質は水をはじめ極性有機溶媒に易溶で,今の時期,吸湿して取り扱いが大変です。 あと,HOOC-(CF2)6-COOH も入手できるためこれを何とかできるかな?などとも考えていますが,すぐにいい方法は思いつきません...
そもそも炭酸カリウムで末端がアニオンになるかどうかという問題もあるでしょうね。まあ、そのあたりのことはわかりませんが、もちろん文献例はあるんですよね。 だとすれば、ヨウ化メチルが低沸点であるために気化してしまっている可能性もあると思います。
補足
ヨウ化メチルと炭酸カリウムを使った文献例はあります。しかしそれは炭酸カリウムがHを引き抜くというより,生成したHIを中和する意味合いの方が強いと思います。 やはり,通常のメチル化とはワケが違うのでしょうか...
補足
コメントありがとうございます。とりあえずヨウ化メチルを追加してみます。 フッ素化学の本を借りてきて見ていると,2つ以上のF原子が結合している炭素上では求核置換反応は起こりにくく,SET(Single Electron Transfer)で進むと書かれています。 また同じ本に,MeONaによる水素引き抜き反応の相対速度の表があり, CF3-H → 3 (CF3)2CF-H → 2E5 (CF3)3C-H → 1E9 となっていました。この相対速度はpKaとも相関があるようです。 そこでpKaの値を比較すると,CF3-H(31),アセトン(20),アセトニトリル(25),クロロホルム(24)で,こんな値だとHは引き抜けないのではないかと思いました。 ちなみに,その本には相間移動触媒の記述もありました。不斉合成の分野で報告例が増えているとのことです。ただし,フッ素溶媒系での反応であり,含フッ素化合物を基質として使っているのではありません。 また経過をご報告させて頂きます。