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幕末の金流出

嘉永5年でしたでしょうか、条約のまずい金融システムで、国内の金が大量に海外に流失したことがありました。これは、幕府役人の失態なのでしょうか?それとも、予想された事なのでしょうか?

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  • hirosi3
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回答No.3

 ●世界中で日本だけが管理通貨制度をやっていた●  金本位制、銀本位制、あるいは金銀本位制は貴金属の価値を基準にしているので、世界中で金と銀との交換比率はあまり違いません。でも日本では当時違っていたのです。銀が世界の標準よりもずっと高く評価されていたのです。何故かというと、日本では銀は、本来の価値ではなく、金の補助通貨として評価されていたのです。現在日本の1万円札は製造原価はいくらでしょうか?1万円はしませんね。でも、1万円として通用します。これは管理通貨制度の考え方です。日本では、元禄時代に荻原重秀はこのように言っています、「貨幣は国家が造る所、瓦礫を以ってこれに代えるといえども、まさに行うべし。今、鋳するところの銅銭、悪薄といえどもなお、、紙鈔に勝る。これ遂行すべし」と。つまり瓦礫でさえ国家が「貨幣だ」と言えば、貨幣として通用する、ということです。銀も、「貴金属銀としての価値は金の10分の1だけども、幕府は、金の5分の1の貨幣として認める」と言えば、金の5分の1として通用します。  この場合、日本総領事のタウンゼント・ハリスが香港で銀5単位を仕入れて日本に持ってくると、日本では金1単位と交換できる。その金を香港に持っていくと、銀10単位と交換できる。今度は、その銀10単位を日本に持ってくると金2単位と交換できる。これを香港に持っていくと銀20単位と交換できる。  ハリスをはじめ、外国人はこのようにして日本から金を持ち出し、銀を持ち込んだのでした。  この、「国家が保証すれば瓦礫でさえ貨幣になる」との荻原重秀の言ったことは管理通貨制度の基本的な考えです。世界で管理通貨制度が優れているとハッキリ認められたのは、1971年8月15日ニクソン・ショック以後のことです。  では幕府の役人はどのように考えたのでしょうか?私はこう考えます。「銀は、金の補助貨幣なのだから、貴金属貨幣の価値と違っても当たり前だ。元禄の時代からそうだった。今さら、何故だと言われても困ってしまう。でも、ハリスと喧嘩するのはいやだから、言われる通りにしよう」との弱腰だったのだと思います。日本の金融制度は進んだものだったけれど、西洋ほど理論武装できていなかったのだと思います。

noname#41852
質問者

お礼

経済は難しいですね。ご丁寧に解説していただき、ありがとうございます。 勉強になりますね。幕府役人は致しかたなかったという感じですか。

その他の回答 (2)

  • kgu-2
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回答No.2

 金と銀の交換レートが、国内と国外では違っていたことに原因があるようです。幕府の役人は、薄々気がついていたようです。以上は、佐藤雅美氏の「大君の通貨」(講談社文庫のハズ)からの受け売りです。  江戸幕府は、米が中心の経済です。鎖国をしていたわけですから、長崎の出島を通じての交易だけでは、変動相場の為替の仕組みについて明るかったとは思えません。ですから、為替のような金融システムの原理を明確に理解しろというのは酷でしょう。 >これは、幕府役人の失態なのでしょうか?それとも、予想された事なのでしょうか?  自由貿易のシステムの経験が皆無なので、誰も予想できなかったでしょうから、誰の失態ともいえないでしょう。  これを防ぐには、現在の中国のように、外国人の入場料を高くするのように、二重価格にするしかないと想います。それでも、外国人は、貿易の支払い時に金ではなく銀で支払うでしょうから、防げない。まして、外国から武力を背景に脅されているので、日本に不利だからと分かっても、外国人が自分に有利な銀の持込を止めるはずも無く、そう簡単には変更できないでしょう。  結局、小判の金の重量を減らすしかなかったようで、実際には1/3にしたようです。そうすると、今度は、小判の枚数を単純には3倍にできるので、インフレになり・・・。

noname#41852
質問者

お礼

経験不足が響きましたか。納得ですね。勉強になりました。江戸の経済って言うのは奥が深いものですね。

  • Willyt
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回答No.1

 これは経済の中での当然の成り行きでした。銀と金の交換比率が日本では世界のレートよりも遙かに銀にとって有利だったからです。だから外国の商人は銀を持ち込んで、これを金と交換したのです。  これがある程度続くと日本国内から金が流出し、金相場が上がりますから流失は自然に止まります。  これで日本が損失を蒙ったのかというとそうではありません。その代わりに大量の銀が日本へ入って来たので不満はなかった筈です。商取引というのは不正がない限り、このように両者が潤うのです。そこで変な介入をするとそれが不正の素になったり、金相場が不安定になって投機筋が不当な利益を上げたりするのです。

noname#41852
質問者

お礼

ありがとうございます。 日本での、特殊なレートというのは何か理由があったのでしょうか?介入しないでもよかったことだったのでしょうか?

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