これは「構造の取り出し方がわからない」というご質問として回答します。
一度、構造を取り出すことができるようになったら、あらゆる作品を構造から眺めることができるようになると思います。
あらゆる物語はひとつの文章にまとめることができます。
ここでは映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」を取り上げましょう。
一作目を取り上げるのは一作目です。二作目は完結していないし、三作目はずーっと見に行こうと思っているにもかかわらず、いまだにわたしがまだ見に行けていないからです。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」はどういう物語か。
これを一語でまとめてみましょう。ジョニー・デップに惑わされないよう。あと、サルにも。
・ビル・ターナーがジャック・スパロウの助けを得てエリザベスと結ばれる物語である。
これは何かを思いだしませんか?
・桃太郎はイヌ・サル・キジの助けを得てお姫様と結ばれる物語である。
そうです、桃太郎と同じ構造を持つ作品なのです。キャプテン・スパロウはイヌ・サル・キジだったんですね。
つまり、「構造を取り出す」というのは、こういうことをやることです。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」は、もうひとつ別のまとめかたがあります。
・鍛冶屋の徒弟ビル・ターナーが自分の父親を見つけ、父の跡を継ぐ物語である。
これも何かを思いだしませんか?
・一寸法師が自分の父親(堀川の中納言)を見つけ、父の跡を継ぐ物語である(堀川の少将→中納言へ)。
このように、あらゆるストーリーは
・主人公が何かをする物語
・主人公が何かになる物語
の二種類に要約することができます。
これが構造の一番基本的な型です。
そうしてあらゆる物語の構造は、すでに昔話に出てきている。
そういう角度から物語のモデル(範型)を、昔話に求めるのです。
もひとつおまけね、『ハムレット』を、
・主人公が父親の敵討ちをする物語
とまとめたとする。これは『かちかち山』と一緒。
あるいは別の角度から
・主人公が父親の死因を探す物語
とまとめたとします。
これは『オイディプス王』と同じ構造を持っている。
『オイディプス王』は「あらゆる物語の範型」とも言われています。授業で扱った作品にはあげてありませんでしたが、きっとやってると思います。
「テーバイの名君オイディプスは、自分の真の父を知る。父を殺したのは自分であり、現在の妻は自分の母であった」
というやつです。ここには「自分探し」もあれば「父殺し」もある、「近親相姦」もある、「隠された過去が現在に浮かびあがる」もあれば「運命」もある。いろんな「物語」が電話帳のようにつまっているわけです。もちろん「パイレーツ・オブ・カリビアン」が同じ構造を持っている部分もあります(だからジャック・スパロウの父親は出てきちゃいけないはずなんですが、どう処理がしてあるんだろう。気になる)。
まずは質問者さんが選ぶ小説を上記の二点で要約してみてください。
そうしてその構造はほかのどれと同じか。
そうすることで、物語の基本構造を取り出すことはできるようになると思います。
お礼
とってもわかりやすいです!! これらを参考にして、自分なりに考えてみます。 ありがとうございました。