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実存主義の理解を深めたい サルトル
こんばんは。 サルトルを読みたいのですが、哲学頭ではないので敷居が高く入り込めない状態です。今までサルトルで読んだのは「嘔吐」「水入らず」「実存主義とは何か」です。実存主義の理解を深めたいのですが、他に何から読むとよいでしょうか?なるべく、哲学用語だらけだったり、長すぎないものがよいのですが、わがままを言わず読みたいと思っています。初心者がおさえるべきサルトルの著作を勧めて頂けると幸いです。よろしくお願い致します
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サルトルの著作という事になると、 「嘔吐」「水入らず」「実存主義とは何か」は読んだのであれば、 次は戯曲を読んでみるのがよいと思います。 「蝿」「出口なし」「汚れた手」「悪魔と神」がさしあたりお勧めできます。 「悪魔と神」以外は新潮世界文学47「サルトル」の中に収録されています。 評論では岩波新書に収録されている「ユダヤ人」も読みやすいでしょう。 サルトルの実存主義は、彼自身の哲学理論から来ています。 実存主義とは何かは存在と無のある種の通俗化と取ることができます。 ですから、実存主義を深く理解しようとすると、サルトルの哲学的著作に どこかでぶつからなければならないでしょう。 存在と無は哲学書の中ではかなり読みやすいほうだと私は思いますが、 それでも予備知識がない状態で読みこなすのはかなり困難です。 初期の哲学論文である自我の超越などは量的にも少なく、 論旨もわかりやすいのですが、やはり一定の哲学的予備知識 (以前の哲学理論をどうサルトルは受け止め、そしてどういう立場から それを批判し、どう乗り越えようとしたのか)を知らないと辛いと思います。 ですので、哲学的分野に関しては、今回はサルトルの著作ではなく、 サルトル哲学の解説書としてよいと思うものを挙げます。 手に入れやすいものの中でまず挙げるとすれば、 「サルトル―失われた直接性をもとめて 」梅木 達郎著です。 NHK出版のシリーズ・哲学のエッセンスの一冊ですが、 存在と無の内容をコンパクトながら丁寧にまとめてあり、 まずお勧めできると思います。 清水書院人と思想シリーズの中の 「サルトル」村上 嘉隆著も、紙数の都合か若干駆け足ですが、 サルトルの著作を解説しながら生涯を伝記的に追っており、 読む価値はあると思います。 「同時代人サルトル」長谷川 宏著は、サルトルの解説もさることながら、 著者がサルトルをどう読み、どう時代と向き合ったかについても多く書かれています。 純粋な解説書とは言えませんが、全体を通して著者のサルトルに対する 共感があふれており、好著だと思います。講談社学芸文庫に収録されています。 「図解雑学 サルトル」永野 潤著はわかりやすいのですが、 簡潔にしすぎていて、内容的に物足りなさが残ります。 「90分でわかるサルトル」ポール ストラザーン著、 「サルトル」ドナルド・D. パルマー著も単純化しすぎに思います。 岩波新書の「サルトル―「人間」の思想の可能性」海老坂 武著と、 クセジュ文庫の「サルトル」アニー コーエン=ソラル著は、 サルトルが生きた時代状況と絡めての解説という趣が強く、 読む価値はじゅうぶんにあるのですが、 著作の詳細な解説という側面は薄くなっています。 古本屋へ行くこともいとわないのであれば、 「サルトル哲学序説」竹内 芳郎著がだんぜんお勧めです。 存在と無の解説として内容が充実しているのはもちろん、 叙述が生き生きとしかつ明快であり、 私が読んだ中ではこれを超える本はないと思います。 ぜひ入手してみてください。 以上、参考になれば幸いです。
補足
何とお礼を申し上げたら良いか!ご丁寧に教えて頂き、有難うございます!どこから手をつければよいのか、サルトルだけで検索すると死ぬほど書籍がでてくるし、、、悶々としてました(笑)。やはり「存在と無」を読まなければ哲学体系を理解するのは難しそうですね、でもお言葉通り私にはかなり困難だと思われますので、回答者さんの仰るとおり、解説書を読んでみようと思います!詳しくご説明してくださって、大変参考になりました。回答者さんお勧めの「サルトル哲学序説」を早速ネットで探してみたところ、古本で手に入りそうなので、是非これから読んでみたいと思います!本当に、ありがとうございました!!