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「赤と黒」を読み終えている方へ、恋愛心理について

スタンダールの「赤と黒」を読んだことのある方へ。 主人公のジュリアンは、レナール夫人に銃口を向けますが、自分の愛した女性にそんなことするでしょうか?彼が本当に愛していたのはマチルダではなくレナール夫人だったのですよね。 それはマチルダへの結婚が邪魔され、というよりも出世が邪魔されて、我を失ったということですか? 結局、野心は恋心に勝るということでしょうか?

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  • aoneko
  • ベストアンサー率52% (65/125)
回答No.1

>自分の愛した女性にそんなことするでしょうか? しちゃったんだと思います。 >彼が本当に愛していたのはマチルダではなくレナール夫人だったのですよね そのとおりと思います。 >それはマチルダへの結婚が邪魔され、というよりも出世が邪魔されて、我を失ったということですか? それを言っては実も蓋もないかも…^^; >結局、野心は恋心に勝るということでしょうか? タイトル『赤と黒』(軍服と僧衣)に象徴されるように、 野心を打ち砕いた当時の市民社会への批判と合わせて、 この作品は第一級の恋愛心理の書ともうたわれていますので、 恋愛を軸に私の解釈を述べさせてくださいな。 侯爵令嬢マチルダとの恋愛は、レナール夫人のときと違って、 明らかに支配-服従の図式化にありました。 そもそもジュリアンにとって、恋愛とは征服することであり、対象はブルジョワ女性のみ、野心とは切っても切れないものでした。 それが思いがけず、ジュリアンはレナール夫人を本当に心から愛してしまいました。 それをたまたま(?)密告によって二人は離れ離れになり、 ジュリアンは初心に返るわけです。 「マチルダをオトせば、オレの野心は叶う!」 ところが、嫉妬に燃えた元愛人、レナール夫人から、過去の秘密を暴く手紙が届きます。 怒りを抑えられなくなったジュリアン。 …この時のジュリアンの心理、つまるところは「恋愛」の過程のひとつだと思います。 このときジュリアンの中で、恋愛より野心が勝っていたら、 レナール夫人を撃ったりはしなかったんじゃないかと私は思いました。 愛した女だから、撃った。そう感じられます。 スタンダールは『恋愛論』の中で、恋には七つの過程があって、 六つめには「疑惑」と書いてました。 レナール夫人は嫉妬に燃えて手紙をしたためた。 ジュリアンはレナール夫人の裏切りのために銃を撃った。 二人の裏切られた心が、お互いを疑ったために悲劇が起きたわけです。 そしてその「疑惑」を乗り越えて、ついに恋愛の最終形態(?)「第二の結晶作用」を迎えることができる。 二人が愛を確かめ合う獄中でのラストシーンは、ジュリアンが恋愛を貫いたその最終結果なんだと思いました。 今思ったのだけど、 野心を砕いたのが愛人レナール夫人じゃなく町長レナールだったとしたら、 なんか別の物語になっちゃいますね。 やっぱ恋かしらん、と思いました。 長文ごめんなさい~。

nuageblanc
質問者

お礼

なるほどねー。「疑惑」も恋愛のひとつですか。 とっても参考になります。 それにしても、恋愛心理って複雑ですね。

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