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動的粘弾性の測定法を教えて下さい。
高分子の動的粘弾性の測定を行おうとしておりまして、測定装置(パーキンエルマ社製)はあるのですが、測定条件をどのようにすれば良いのか分らずに困惑しております。 書籍を調べ、測定原理については理解したつもりなのですが、周波数や加重をどのように最適条件を導けば良いのでしょうか。 周囲に詳しい方がおられず、総代理店に問い合わせてもらちが明かず質問させて頂きました。 どうかよろしくお願いします。
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> 一般に高分子の弾性率を測定する場合には周波数依存性のない範囲内で測定を行い、得られた値を真の弾性率と近似と考えて求めている とは限りません. Maxwell 模型が成り立つなら,G' の高周波数側の収束値が本来の G と一致するわけですが,実際に高周波である値に収束するより先に別の緩和現象が表われることもあり,収束値が得られる保証もないし,そこまで周波数を上げた測定ができないかもしれません.周波数依存性がない領域が実測できるかどうかはわからないからです.どういう場合にどういう解析をして,どういう値を求めればいいのかは,そもそも何が知りたいのかという問題と切り離すことはできず,ある周波数での G' の値がわかれば用がすむ場合もあるし,|G*|=|G'+iG"| でいいかもしれないし,あまりにケースバイケースです. > Static stressやDynamic stressに関してよく分かりました。私の場合には試料が自立フィルムではないので自立させるだけの応力をStaticとして加えておき、線形性と精度からDynamicの印加を力を決める方法でよかったでしょうか。 それはやっかいですね.与える static stress によって dynamic stress の設定値が制限を受けるので static stress の設定は慎重にやらないとわけがわからなくなります.まずは可能な限り小さくする方向で.また塑性変形がおこるような場合はどのくらい緩和させてから測るかも結果に大きな影響を与える可能性があります. > 推薦される弾性率に関する書籍 弾性率以前に粘弾性,動的粘弾性,というものの理解がないと測定条件などについての基本的なことを考えられません. 村上謙吉「レオロジー基礎論」は読みやすく,最初に読むにはいいかもしれません.小野木重治「化学者のためのレオロジー」は読みやすいとは言いがたいですが勉強になります.最近見たのでは「レオロジー工学とその応用技術」という本はいろいろな系に粘弾性測定を利用した実例が満載されていて,参考になることがありました. あとはやはりどっかのプロとコネを作ることは必要な気がします.適当に検索をかけて,実績のありそうな大学の先生を探して片っ端からメールでも出してみたらどうでしょうか.まじめに取り合ってくれる先生はけっこういると思いますが.
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- c80s3xxx
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> ある定温における物質の弾性率を求めるに必要な、周波数と変形応力はどのように導けばよいのかという事です。 まず基本的な問題として,大概の高分子材料は粘弾性体なので,真の弾性率を求めるのは困難であるということ,そして,動的粘弾性というのはある周波数での周期的変形に対する応力応答を調べることで,その応答をいわゆる Maxwell 模型に割り当てたときの貯蔵弾性項 G' と損失項 G'' を求めているのです.この G' は試料の静的な意味での弾性率 (無限に遅い変形をかけたときの定常応力応答) とは違います.ある周波数で求めた G' はその周波数での応答を示しているだけであって,それ以上でもそれ以下でもありません.もちろん,系の力学的緩和時間によってはその値が (ある周波数範囲内に限定すれば) 周波数にほとんど依存しないある値になるかもしれませんが.あなたが求めたいという「弾性率」はそもそも何なのでしょうか. > 変形応力には動的弾性を測定する場合にStatic stressとDynamic stressをセットする Perkin-Elmer の機械は使ったことがないので違うのかもしれませんが,言葉だけをふつうに考えれば static stress は定常変形をかけておいてそこでの変形を微小に摂動をかけて微分応答を取るためのバイアス値,dynamic の方はその摂動用の応力でしょう.であるなら static は 0 で最初はやるしかないでしょう.Dynamic の方を線形性と測定精度の問題を勘案して決めればいいのでは? 非線形応答を解析するためには static stress を与えておくのは意味があるでしょう. > つまり試料の変形は、周波数0つまり静的状態での弾性変形領域ではゼロと考えられるのでしょう それは違うでしょう.周波数 0 ということは戻ってこないだけで一定の変形なり応力をかけているというだけのことです.バネなら一定の変形を与えれば,それに対応する一定の応力応答が発生し,この比が要するに弾性率です. しかしスライムのようなものでは最終的には流動しきってしまうかもしれません.この場合は無限大時間かければ応力応答は 0 になるわけです.つまり,変形に対する応答が時間依存する,ここが問題になるわけです.このような系は Maxwell 模型で考えればバネとダッシュポットが並列であると考えるのが簡単で,周期的な変形に対する応答からバネ定数=弾性率とダッシュポットでのエネルギー損失=粘性率を求められるわけです.原理的には周波数をいろいろと変えた条件での G' と G" の測定値から弾性率と粘性率を計算可能です.しかし一般の粘弾性体が単純な Maxwell 模型で表されることはまずありませんので,そこから先はどうするかは目的に応じていろいろと考えるしかないわけです.
お礼
たびたびの詳細なご説明ありがとうございます。 私がまるで理解していないという事がよく分かりました。 私なりの解釈ですが、一般に高分子の弾性率を測定する場合には周波数依存性のない範囲内で測定を行い、得られた値を真の弾性率と近似と考えて求めているということでよろしかったでしょうか。 Static stressやDynamic stressに関してよく分かりました。私の場合には試料が自立フィルムではないので自立させるだけの応力をStaticとして加えておき、線形性と精度からDynamicの印加を力を決める方法でよかったでしょうか。 >一定の応力応答が発生し,この比が要するに弾性率です. そうです。何を勘違いしていたのか。おっしゃられるとおりです。 詳細なご説明ありがとうございます。 ここまでご説明頂恐縮なのですが、勉強しなおしたいと思いますので、推薦される弾性率に関する書籍がございましたらご連絡いただけますでしょうか。
- c80s3xxx
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> 測定したいのは、弾性率なのですが、振動数や加重、温度によってかなり測定値が変化してしまい。困惑しています。 困惑も何も,温度で物性が変わるのは当たり前です.粘弾性に限った話ではありません. 動的粘弾性というのは,そもそも変形に対する応答が変形速度に依存するからこそ意味があるのです.振動数に依存するのは当たり前です.理論の本をお読みになったのならわかっていると思いますが,振動数を無限に小さくすればどこかで振動数依存のない,静的な弾性率に収束するはずです.ただし,その値が有限の値になるかどうかはわかりません.ゼロに収束するかもしれないので. 逆に無限に大きくしていっても (また別の) 一定値に収束するはずですが,その場合は静的な弾性率とはかけ離れた値になりますし,物理的意味を議論するのも難しいですが. どのくらいの振動数範囲でこのような現象が起こるのかは,その系の力学的緩和時間がどのあたりにあるか,裏を返せば緩和現象の本質が何かという問題になるので,簡単にこうこうなどと言うことは不可能です. > 例えば、最初に調整する加重や周波数はどちらを先に決定すべきでしょうか。 加重というのは変形応力ということでしょうか. そもそも応力とひずみが線形性を持っている領域でしか,通常の動的粘弾性装置はデータを適切に解析できません. 応力を小さくすれば線形性の担保には有利ですが,変形量が小さくなるために測定の精度が下がります.応力を大きくすれば線形性が保たれているかどうかを常に気にする必要が出てくる上,変形そのものによって試料が経時的に変性を受ける可能性も考慮する必要が出てくるかもしれません. さらに線形応答領域がどの程度であるかは,周波数によっても変わることもあります. こういう話は販売代理店に聞いてもほとんど無駄です.周囲にエキスパートがいないなら,どこかの大学の先生辺りにコネはないのですか? 高分子材料のレオロジー屋さんはそれなりの数がいるはずだと思いますが.
お礼
再度のご回答ありがとうございました。 質問を分りにくく書いてしまい申し訳ありません。私が知りたかったのは、ある定温における物質の弾性率を求めるに必要な、周波数と変形応力はどのように導けばよいのかという事です。 c80s3xxxさんのおっしゃられる、変形応力には動的弾性を測定する場合にStatic stressとDynamic stressをセットすると思うのですが、それは一般にどのようにして決めていくのでしょうか。 つまり試料の変形は、周波数0つまり静的状態での弾性変形領域ではゼロと考えられるのでしょうが、周期的に応力を変化させた場合の弾性変形とみなせる領域はどのように変化するのかということであります。 当施設には測定装置のみが有るだけで、大学の先生にもコネが無く困っております。 すみませんがよろしくお願いします。
- c80s3xxx
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線形応答する領域を調べ,その範囲内で,振動数とかは機械的に取れる限り広く取ってみる.その結果を見てから次の手を考える. 素性も特性もわからない試料にはこれ以外に取り付く島はないかと. 最適条件ってのも,知りたい特性がなんだかわからないのでは議論にならないでしょう.
お礼
ご回答ありがとうございます。 測定したいのは、弾性率なのですが、振動数や加重、温度によってかなり測定値が変化してしまい。困惑しています。 一般的に高分子材料ならば、どのような手順で弾性率の測定条件を導けば良いのかお教えいただけますでしょうか。 例えば、最初に調整する加重や周波数はどちらを先に決定すべきでしょうか。 何から何までお聞きしてすみませんが、どうかよろしくお願いします。
- yumetbt
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条件は試料によってさまざまですので、代理店に聞いてもわからないでしょうね。測定温度によっても違いますし。 論文を調べてはどうですか。
お礼
ご返信ありがとうございます。 実は新規物質でして、完全にマッチした論文が無いので測定条件に自信が無いのです。 このような場合の条件出しの方法はございますでしょうか。
お礼
ご回答ありがとうございます。 なるほど。周波数による弾性値の収束値が得られない場合もありうるのですか。一度測定しなおしてみます。 Staticstressの設定はやはり慎重を要しますか。弾性変形域に納められると良いのですが。 書籍の紹介ありがとうございます。さっそく取り寄せて勉強してみたいと思います。 今の自分のレベルでは恥ずかしいので、もう少し勉強してから大学の先生に問い合わせてみようと思います。 c80s3xxx様本当に、ありがとうございました!!